本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784773376913
感想・レビュー・書評
-
「パリの空の下に踏ん張り続ける鉄の巨人。」
東京スカイツリーに先んじること120年、1889年3月31日、「鉄の魔術師」と呼ばれたギュスタブ・エッフェルの設計によりエッフェル塔は完成した。花の都パリのランドマークとして、お膝元のパリっ子はもちろんパリを訪れる世界中の人々から愛され続けてきたエッフェル塔の知られざるあれこれ。
パリ万国博覧会の目玉であったエッフェル塔は、普仏戦争の敗戦で打ちのめされたフランスが産業立国として立ち直りその威信を取り戻すために建てられたという、誕生の経緯からして興味深い。両足をデンと踏ん張って鋭く天を衝くエッフェル塔の姿が、世界に向けたフランスの意地とも見えてくる。
「鉄」は19世紀と言う時代の一つのキーワードなのだという。当時、鉄道や橋、建物などいたるところに鉄は欠かせないものになっていた。その中で300メートルを超える天を突く高さの鉄塔を作るということが、当時の世界の人々にとってどれほどのインパクトのある出来事であったかは想像に難くない。
エッフェル塔誕生の経緯に始まって、意外にも風には強いが鉄の身体を持つ故温度に左右されエッフェル塔の塔身が伸び縮みするのだとか、そこに設けられた電信所の存在が謎の女スパイ・マタハリ逮捕に繋がったなど、数々のエピソードから、あたかも無数の小人が鉄の巨人に纏わりつくかのような、人々の、エッフェル塔をめぐる狂騒ぶりと興奮が伝わってくる一冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示