現代奴隷制に終止符を!: いま私たちにできること

  • 凱風社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773635065

作品紹介・あらすじ

もっとたくさんの奴隷が解放できるはずだ。著者は本書で行動の指針を具体的に提案する。個人ができること。共同体の一員としてできること。政府や、市民としての私たちにできること。国連・世銀・世界貿易機関ができること。消費者、企業、政府ができること。開発組織、慈善団体と手を携えて私たちができること。

感想・レビュー・書評

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  • 騙されて日本に来た上で、その渡航費を借金として労働を強いられる。仕事は、主に風俗業。これも一種の奴隷制と著者は言う。自らの判断で自らの行動を決められず何者かに隷属する状態を奴隷化と呼ぶならば、現代の日本であっても、経済的、物理、心理的に自由を得られない状況は、ままある。しかし、問題はこれを暴力や脅迫、拘束などにより、自らの力では打破できない場合であり、貧困や暴力とセットで世界に蔓延っている。黒人奴隷に限らず、古代ローマやギリシア、民族紛争の結果して、人類は、同じ人類を奴隷として使役してきた。寧ろ、奴隷制が悪習として否定された時代の方が短い。

    本著は、各国の奴隷制や対応の欺瞞を挙げながら、対策の構造的な難しさを説明した上で、具体策を示している。国単位が閉鎖空間である場合、他国の介入は必要だろう。原始社会ほど、奴隷状態が発生し易い。相互に自由を認め合うためにお互いにルールを守ろうというのが、近代社会の前提だ。国家介入。北朝鮮や中国を思えば、決して簡単な問題ではないが、SDGsなどを声高にするならば、合わせて解決せねばならない問題だろう。

  • 『現代奴隷制に終止符を!――いま私たちにできること』
    ケビン・ベイルズ[著]大和田 英子[訳]

    奴隷の歴史はほぼ文明の歴史と重なる。二一世紀の現代にも奴隷はいるが、古代ほど目立たないし、いつでも「使い捨て」にできるとびきり廉価な労働力だ。南アジアや南アメリカでは奴隷労働で多くの安価な製品がつくられているが、米国にも奴隷はいるし、イタリアや日本では性奴隷が街で暮らしている。チョコレート原料のカカオ豆はコートジボワールで児童奴隷が栽培・収穫をしていた。国連やILOなどの国際機関を利用して、今こそみんなで奴隷制に終止符を打とうと、提案する。
    ◆定価2800円+税
    ◆四六判 408頁 並製
    ◆ISBN978-4-7736-3506-5 C0036
    http://www.gaifu.co.jp/books/ISBN978-4-7736-3506-5.html

    【別サイトでの目次】
    https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20160711/1469187072

    【目次】
    口絵

    序 章 五〇〇〇年の歴史
    鏡の世界/分水嶺

    第1章 挑戦――新しい奴隷制の世界を理解するために
    奴隷になる条件/突然の価格下落/奴隷はどこからやってくるのか/賄賂をねらって/ふーん、簡単だよ

    第2章 計画を立てる
    蚊に刺されたように……/疑問とその答え/英雄にならえ/厳しい目でみる

    第3章 現代奴隷の救出
    悪魔との競争/自由だが安全ではない/ランチのあとはまたランチ!/木の根、カタツムリ、そして村を去る/漁業か、エサか?/「あの娘の魂までも自分のものだと思っていたのよ」/「まるでゼロから始めているようです」/青写真/実現のために/もっと多くの奴隷を自由にするために個人ができることとは

    第4章 自分の国で自由を育てよう
    無言の革命/自由になってお返しをする/三人寄れば文殊の知恵/サンディエゴのモーニングコール/官僚的境界を越えて/チョコレートの味/もどることな/家族の絆/進むべき道/事を起こす/肝心なこと/もうひとつ、肝心なこと(基金を設立する人のために)/まず種、次に木、そして森/私たちの町/共同体の一員として、奴隷をより多く解放するために、できること

    第5章 政府の役割――最強の圧力団体
    地獄への道を舗装する/高まる期待/勝利を目前に災害をつかみ取る/奴隷所有者が対処する/フライパンが盗まれたら直火で調理するしかない/これでは生きていけない/日本における問題/無為無策の政府/(外国人に)「やりたい」とつぶやく/援助交際/「慰安」から「興行」へ/先頭に立つルラ/政治的意志=現場の行動/ルラと奴隷制に対する闘い/ブラジルの通知表/結局、悪いのは私たちなのか?/事を起こさせる/少しでも多く奴隷を解放するために政府は何ができるか、市民の私たちは何ができるか

    第6章 地球規模の問題と射程
    国際連合はどうすれば反奴隷制運動の原動力となれるか/世界に実際的効果を与える/他方、メコン・デルタ下流域では/「くそっ」のつく語を使わないようにする/舟をゆらさずに大海は渡れない/拒否できない申し出/持っている道具を使う/厳罰/パンと薬と銃とバラと衛星と/銀行をいっしょの舟に乗せる/貿易は奴隷制より重要か?/世界貿易から奴隷制を駆逐するには/事を起こさせる/国連・世銀・世界貿易機関がより多くの奴隷を解放するためにできること

    第7章 サプライチェーンを根元で断つ
    ビタースイート/一杯のココアで落ち着く/カカオ豆を追う/では、チョコレート会社殿、奴隷使用はいつ中止されましたか?/画期的成功/人生にはチョコレート以上のことがある/それを実現させる諸法規/憲法修正第一三条とグローバル経済における奴隷制度/奴隷制度による利益と製品を禁止する/奴隷制に依存する食べもの、着るもの、乗りものの終わるとき/奴隷をより多く解放するために、消費者、企業、政府ができること

    第8章 貧困をなくして奴隷制に終止符を打つために
    奴隷制をなくして貧困を撲滅する/空想的社会改良家であるということを恥じない/奴隷制度の頼みの綱/順序を転倒させる/女たちが(重い半分の)空を支えた/奴隷制度のメガネをかけて見る/事を起こさせる/お金の重要性/より多くの奴隷を解放するために、開発組織、慈善団体、それに私たちは、海外開発支援者として、何ができるか

    終章 奴隷制度の終わりの始まり

    結び 奴隷制度を撲滅するためにみなさんは何ができるか
    ヒトとカネと組織――資源を活用する/ことばにして主張する/みんないっしょに行こう!

    訳者あとがき [-]
    原注 [-]

  •  今現在も昔の奴隷とほぼ同じように自由がなくとんでもなく安い賃金で働かされている人々が世界中に多くいる。その対策に迫った一冊。

     この本がいいのはそういう現実があるということに留まらずその対策について詳しく書かれている点だ。
     日本の外国人女性労働の問題についてもふれられている。現代奴隷は他人事ではない。
     多くの人に手にとってほしい一冊。

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