ヒルサイドテラス物語―朝倉家と代官山のまちづくり

著者 :
  • 現代企画室
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773802177

作品紹介・あらすじ

まちづくりの稀有な成功例として海外でも注目されている代官山ヒルサイドテラス。施主と建築家、数多くの関係者が紡いできたステキなまちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 代官山のヒルサイドテラスを、施主である朝倉家と建築家槙文彦が30年以上の歳月をかけて創ってきた過程を記した本。

    朝倉家は、元々この土地に先祖代々住み続けてきた地主で、明治から米屋を営んでいて、その後戦況下で食糧管理法が制定されて米屋が廃業になってからは、不動産賃貸業を本業としている。

    朝倉家の養子となった虎治郎(明治30年)は、精米商として成功する中、渋谷町会議員として地域の自治に関わる。そこで、渋谷区のまちづくり(道路の敷設や、河川改修、ゴミ処理施設・制度の施行、区画整理など)を行った。

    虎治朗の養子となった誠一郎は、不動産業を本格化させ、関東大震災や戦後の混乱の中、なんとか朝倉家の不動産業を守り抜き、その後ヒルサイドテラスを建築する槙と知り合い、設計を依頼する。

    虎治郎の息子の徳道、健吾が本格的に槙と共に住宅、商業施設を兼ね備えたヒルサイドテラス開発を行っていく。

    ○民間が質の良い住宅を提供でいないから、公営住宅を建設するというのが国の住宅政策の言い訳だが、不動産賃貸業への融資を国が保証してくれれば、質の良い住宅をリーズナブルな賃料で民間が提供することは可能。銀行は土地や家を売ることを前提とした融資には積極的だが、賃貸物件に対しては融資条件が厳しい。「持ち家」重視の国の住宅政策、土地売買を優遇する金融政策が日本の土地利用を貧しくしている。(分譲すると、最低限のルールは持ち込めても、土地・建物の権利と責任を譲ってしまうことになり、土地を細切れに売ってしまうことになる。土地は利用して初めて価値を持つものであり、その利用方法を分かっている人が行う方が良い場合も多い←日本は地震などで土地のみが残る場合が多いので、土地所有に対する意識が強い?!)

    ○ヒルサイドテラスは多くの文化事業を提供しているが、これは本業の延長線上にある。不動産業とは単にスペースを切り売りするだけではなく、環境を育てて行く必要がある。
    「賃貸業は、商業主義に行き過ぎても、文化的になりすぎてもいけない。バランス感覚が重要。
    ブライベートな部分が増しすぎても良くない。建築が生き残るためには、パブリック性を広げていくことが不可欠。パブリックな部分が増えると経済的な負荷は増えるが、それをどれだけ踏ん張れるかが不動産業の力量。」→素晴らしい朝倉家の哲学!!

  • 時代による変化と街の作られていった過程。
    住民による住民のための能動的な街づくり。
    そうして人も景観の一部へ。

    あたらしくできた代官山の蔦屋で推すべき本と思うのだか!かなり!

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著者プロフィール

1962年生まれ。フランス語圏カリブ海文学。アートフロントギャラリー勤務。元「アパルトヘイト否! 国際美術展」実行委員会事務局員。

「2014年 『新装版 ネルソン・マンデラ伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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