- Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
- / ISBN・EAN: 9784773898071
作品紹介・あらすじ
65年、家族ともカストロとも別れキューバから忽然と消えたゲバラ。信念に基づいて赴いたコンゴ・ゲリラ戦の運命は?敗北の孤独感を噛みしめる痛切な証言。
感想・レビュー・書評
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ゲバラを中心としたコンゴでのゲリラ活動の内容が記されている。
ゲバラの「革命戦争回顧録」、「ゲバラ日記」には見られないほどの苦悩が綴られている。研究資料としてはいい参考になったが、一読書としてこれを読むと別のイメージが生まれる。
それは共闘するコンゴ人、ルワンダ人の道徳心の醜さに見る人種や民族を超えた多くの「人間」に共通する不甲斐無さであった。
・ゲリラという身分を選んだ自分を忘れ、戦闘が始まると生への執着心から逃走し、結果引き起こされる部隊陣形の崩壊と有能な戦士の損失。
・民族伝統の宗教的習慣という悪習。
・自分の感情を制御できない。(+主張の強い人間性)
・道徳性の欠如(自分を棚に上げた他人の避難、責任転嫁、嘘をつく、社会の利益を第一に考えない自己中心的な諸行動)など
上記の問題の性質は現代人にも当てはまる。
戦局を悪化させたコンゴ、ルワンダ人ゲリラの社会性の欠如、エゴは日本人のそれ同等である。つまり、現代日本人が彼らと入れ替わったとしたら更に酷い状況を引き起こしていただろうということは想像に難しくない。
同時にこの記録にはキューバ人の見事なまでに規律統制され、勇猛な戦いぶりが記されていた。開放的な民族性という点でコンゴ人、ルワンダ人とキューバ人にはあまり違いはない。両者を分けたものはチェの徹底した訓練にあった。教育と訓練によりエゴや道徳心の欠如は克服できる。至極当然のことだがこれを備えた人間というのは残念ながら当時の世界の人々にも、現代日本人にもあまり多く見受けられないと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示