電気自動車が加速する! ―日本の技術が拓くエコカー進化形―

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  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774137926

感想・レビュー・書評

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  • 1997年にトヨタからだされたハイブリッド車プリウスは、今年には三代目が登場し、ホンダからはインサイトが改良されました。一方で、2009年は三菱自動車から電気自動車が量産車としては初めて売り出された記念になる年だと思います。

    電気自動車はそれ自体は二酸化炭素も排出することなく、温暖化防止のためには電気自動車の普及が必要だという議論も聞こえてきます。自動車関係の潤滑油に関係した企業に勤務している私は、電気自動車が普及することにより潤滑油が車から不要となるため、大きな影響を受けることになると思います。

    本当に電気自動車が普及するかどうかについては、この本においても解説されていますが、私としては「自分が買いたくなるか、乗りたくなるか」という観点から、しばらく見続けていきたいと思います。現時点においての私の結論ですが、集合住宅に住んでいる私には、電気自動車は持つ資格が無いと思いました。

    もっとも、コンビニが一斉に充電装置を導入するとか等の動きが起きれば話は別ですが。航続距離は160キロ程度(10・15モード)とのことですが、カタログ燃費と実際燃費がことなるように、実際の運転をした場合(電気を普通に使う、エアコン・ライト・カーナビ・窓が曇ったときのヒータ等)にどの程度になるのかというデータが気になりました。この本においては、エアコン使用で160→100kmに落ちる(p192)とされていますが、本当はどの程度落ちるのでしょうか。

    以下は気になったポイントです。

    ・90年代後半に、ニッケル水素・リチウムイオンが登場するまで、バッテリーの進化は無かった、電気自動車ブームが去った要因はバッテリー技術の停滞が最大の原因(p13)

    ・電気自動車が高価な理由は、バッテリーが効果であるから、解決には量産化によるコスト削減と、行政による補助金た期待される(p31)

    ・ガソリンのエネルギー密度は、質量エネルギーで12kwh/kg(体積:16kwh/リットル)、最も優秀なリチウムバッテリー(0.1kwh/kg,0.2kwh/リットル)と比較すると、重量で120倍、体積で80倍高いことになる。三菱iMiEVを400km走らせるためには、40kWhのバッテリーが必要で、重量400kg(容積200L)となる(p36)

    ・リチウムイオンバッテリーの欠点は、1)安全性(ノートPC用ではしばしば発火、電解液が可燃物)、2)大電力を瞬間的に取り出す出力特性のアップ(すでに達成済?)、である(p44、48)

    ・バッテリーとモーターを結ぶインバーターの役割は、直流からの周波数を交流周波数に変化させてモーター回転数を決定、電流量も調整してトルクも決める、ガソリン車でいう、スロットル及び燃料発射装置の役目をする(p68)

    ・モーターは低回転ほどトルクは大きいので、トランスミッションが不要になる、特に後退用ギヤが不要(電流の正極・負極を逆転で対応)、アイドリング回転も不要(電気をとめるのみで対応)でクラッチ機構が不要、左右のタイヤを別モータで回転(インホイールモータ式)させればデフまで不要だが、当面は装備の予定(p75、76)

    ・急速充電器は3百万程度であるが、ガソリンスタンドの建設と比較すれば、1桁安く設置可能、イオン(越谷市)やパーク24、ローソンは業務用にEV導入開始は取り組みを始めている(p92)

    ・自宅で充電することが困難な人は、集合住宅に住んでいる、自宅とはべつに駐車場を借りている人であり、急速充電スタンドが近くにあることが購入の前提となる(p94)

    ・iMiEVは満充電で、160km走行可能(10・15モード)、一般的な電気料金は386円(16kWhバッテリー、1kWh=24円)、夜間電力を利用すると151円、同じクラスのガソリン車と比較すると、160Km走行比較で1L=100円としても電気代のほうが半分以下(p96)

    ・燃料電池車において、ガソリン改質方式は、メタノールの300℃に対して800℃での改質が必要等、課題解決のハードルが高いためメタノール改質よりも先に立ち消えとなった(p119)

    ・トヨタのハイブリッド方式(シリーズパラレル方式)は、走りと充電にエンジンの動力を分割して使うために、遊星歯車を利用したハイブリッド・トランしミッションを備える(p228)

    ・郵便事業会社は、所有するすべての自動車(2.1万台)を、8年程度かけて順次EVに切り替える、主な郵便局にEV用急速充電器を設置する方針で、一般の利用者も使えるように検討している(p250)

  • 専門知識が無くても分かりやすいと思います。現時点では燃料電池車に関してはあまり興味ないので、その分EVの内容が付加されると良かったと思います。
    車を動かすために必要なエネルギやLi-ionバッテリのエネルギ密度など
    専門的な内容が個人的には参考になりした。

  • 電気自動車の構造から今後のあり方まで、専門知識がない人でも理解できるような内容となっている。また、水素、燃料車などにも触れられており、
    次世代カーの行く末、問題点が書かれている。

著者プロフィール

玉川大学工学部機械工学科(流体力学研究室)卒業。1978年から1979年にかけてFL500レースに参戦。1981年にはFJ1600クラスで優勝経験がある。1984年よりフリーランスライターに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本EVクラブ副代表。「図解エコフレンドリーカー」(オーム社)、「燃料電池のすべてが面白いほどわかる本」(中経出版)、「未来カー・新型プリウス」(日経BP社)、「ホンダトップトークス~語り継がれる独創の精神」など著書多数。

「2014年 『ミニの至福』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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