パオズになったおひなさま

著者 :
  • くもん出版
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774322674

作品紹介・あらすじ

ひなまつりに、愛花の家ではおばあちゃんだけがつくれるごちそう、肉まんが食卓にのぼります。小学5年生のひなまつりに愛花は、「おばあちゃん、うちの家では、どうして、ひなまつりに肉まんを食べるの?」とたずねます。クラスのみんなから「そんなの、聞いたことない」と騒がれ、先生に「理由を聞いて、発表してください」といわれたからです。
「おばあちゃんの肉まんはね、ふつうの肉まんじゃないんだよ。パオズ。中国で、肉まんのことをパオズっていうの」
そう前おきして、おばあちゃんが話し始めたのは70年ほど前に中国の大連に住んでいたこと、中国人のリンちゃんと仲のよい友だちになったこと、順調に商売をしていたお父さんが憲兵につかまり家に戻ってきたときには心を砕かれていたこと、リンちゃんとの友情も引き裂かれたこと、夢破れ一家で日本にもどると決めたこと・・・・・・。
おばちゃんが話してくれた、海のむこうでの生活や出来事、戦争が原因で起こった悲しかったことやくやしかったことに驚く愛花。おばあちゃんがつくるパオズには、そんな出来事が詰まっているのでした。

感想・レビュー・書評

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  • パオズをたべたい。アイがかわいかった。
    ※図書館で借りた本

  • 日中戦争から第二次世界大戦の頃に中国で暮らしていた家族の話。

    普通の女の子の話かと思えば、当時の中国人と日本人の微妙な関係がよくわかる。

    戦争理解にも役立つ良書だと思います。

  • 2015年度課題図書(3&4年)

  • りんちゃんと仲良くなって、面白い2016年読了。

  • 戦争で引き裂かれてしまった二人の友情に心痛みました。

  • 戦中の 中国 大連の町での お話。戦争のために 離ればなれになってしまった 日本人のよっちゃんと、中国人のリンちゃんの お話。

  • 今年の課題図書 小学校中学年向き
    やさしくて苦しくてあったかいおはなし
    児童文学としてよくまとまってるな
    時代背景もこどもたちに伝わるといいな
    パオズ大好き
    《 大連の 街に育った 友情は 》

  • りんちゃんが港までよっちゃんを追いかけてきたのは、大切な友達が日本に帰るって聞いたから。もう会えないかもしれないと思って、大事なおひなさまをくれたよっちゃんに、いつまでも友達でいたいという願いを込めてパオズを渡したところが、感動した。戦争で離ればなれになるという悲劇が起こらないような、平和な国にしたい。

  • おばあちゃんが大連で暮らしていた頃、仲良くしていたリンちゃん家でいただいたパオズ。戦時中、引き揚げる時、手放さなければいけなかったひな人形。日本への舟が出る時、持って来てくれた温かいパオズ。おばあちゃんとリンちゃんの心をつなぐ思い出となる。

  • …好みです。
    肉まん、食べたくなった。

  • 2015/6/16 ブックトーク 朝3年生
    2015/6/16 ブックトーク 朝4年生

  • 戦争の時代の中国との関係が、子どもの目を通して、少しわかる本だと思う。ぜひ、読んでほしいが、小学校中学年には、少し難しいのでは?

  •  パオズというのは、肉まんのこと。愛花の家では、なぜかひなまつりの日に肉まんを食べる。おばあちゃんにその訳を聞くと、70年ほど前のおばあちゃんがまだ子どもだった頃の話を教えてくれた。大蓮で生まれ育った「よっちゃん」は、中国人の女の子リンちゃんと仲良くなる。

  • 平成27年度読書感想文課題図書(中学年)

  • 愛花のうちでは、ひなまつりのごちそうにおばあちゃんが「肉まん」をつくる。なぜ?尋ねる愛花に、おばあちゃんは
    子どもの頃住んでいた大連の町のこと、仲良しだったリンちゃんとのこと、家族のことを話す。
    子どもにとって、戦争が人と人を引き裂き、傷つける体験だったこと、それでも人と人とのつながりがあったことが伝わってくる。小学校中学年にはどう読まれるのだろうか。(i44)

  • H27.6.3

  • 2015年課題図書(中学年)その2。

  • 愛花のおばあちゃんは、ひな祭りになると肉まんをつくってくれます。
    どうして肉まんなのかとおばあちゃんに聞くと、おばあちゃんは、今から70年前に中国ですごした子どもの頃の話をしてくれました。

  • ~ひな祭りの日に愛花の家では、肉まんを食べます。おばあちゃんが家に来て作ってくれます。この習慣を特に気にしたことがなかったのですが、友人たちは珍しがります。いつものようにおばあちゃんが作りに来てくれました。そこで、愛花はおばあちゃんにどうしてひなまつりの日に肉まんを食べるのか訊いてみました。おばあちゃんは、子どもの頃中国の大連で生活をしていました。お父さんは、お茶やゴマなどを販売するお店(枡屋)をしていました。従業員には中国人を雇っていました。その頃、肉まん(パオズ)のお店の娘、リンちゃんと友だちになりました。リンちゃんの家に行くと、リンちゃんのお母さんが手作りのおいしいパオズを食べさせてくれました。日中の戦争が激しくなると、お父さんは中国人を雇っているということから「スパイ」の疑惑をかけられ、憲兵からひどい仕打ちをうけました。お客さんもお店に来なくなってしまい、お店やめ、日本へ帰国することにしました。たくさんの荷物を持って帰ることができません。おばあちゃんのおひなさまは日本へ持って帰ることができなかったので、友だちのリンちゃんにあげることにしました。リンちゃんは別れの日に港までパオズを持ってきてくれました。温かいパオズは、お腹だけでなく日本へ帰る人々の心も満たしてくれました。おばあちゃんは、リンちゃんにおひなさまをあげて良かったと思いました。日本へ帰ってから、ひなまつりにパオズを作るようになりました。おばあちゃんの話を聞いて愛花は心がほっこりとしました。学校の友だちにこのあたたかさを伝えたいと思いました。~
    佐和みずえ:愛媛県。一卵性の双子で「佐和みずえ」は二人で共有するペンネーム。『よみがえる二百年前のピアノ』、『鷹匠は女子高生!』、『走る動物病院』、『草原の風の詩』、本作2015年課題図書。
    今年戦後70年を迎えるので、戦争や平和を題材にした作品が児童文学においても多く出版されそう。課題図書にもなっており、夏休みに多くの子どもに読まれる。8月15日(終戦日)を迎えるので、戦争、平和について考えるきっかけになると思う。女の子が主人公、「おひなさま」がタイトルに入っているので、女の子っぽさが少し強い。

  • 小学5年生の愛花の家では、ひなまつりの日におばあちゃん手作りの肉まんを食べます。でも他の家では食べないと知り、おばあちゃんになんで作るのかと尋ねました。そして、おばあちゃんから肉まんは中国語でパオズということ、そしておばあちゃんが小学生の頃なかよくしていた中国人のリンちゃんとの思い出を聞きました──。
    2015年度夏、第61回青少年読書感想文全国コンクール、小学校中学年の課題図書。戦時中に大連で生まれ育った祖母の思い出のおはなし。3~4年生向けの課題図書ですが、ルビをもう少し増やしても良いかなと思った。読みやすい文章でかつ心が温かくなるラストに感動しただけに、それだけが残念。よっちゃんもリンちゃんも、その家族もとても良い人だから、お父さんが軍事警察官に連れられてからの展開がとてもつらかった。最後は仲直りできて良かった、きっと元気で暮らしていると信じたい。あと食いしん坊なので、具だくさんのパオズをほおばりたくなりました(笑)おすすめ。

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。一卵性双生児。大学卒業後、劇画作者として執筆活動に入る。劇画の原作を書くかたわら多くの少女小説や児童書を手がける。著書に『花炎』などがある。現在、大分県と愛媛県に在住。

「2006年 『別府華ホテル 観光王と娘の夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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