- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774329284
作品紹介・あらすじ
12歳の少女・萌黄は、育ての親の叔母が遠国に行くことになったのを機に、中宮のための役所・職御曹司(しきのみぞうし)で、下働きをはじめる。別れぎわ、叔母は萌黄に「お前の父さんがつくったものだよ」といって、白い紙を預けてくれるが、萌黄には父の記憶はない。
先輩の瑞木(みずき)や、庭で暮らす木守(こもり)の親子、牛飼い見習いの幼なじみとともに、充実した日々を送るが、父から預かった紙を、「清少納言から盗んだ」と勘違いされ、職御曹司を追い出されてしまう。
途方に暮れるなかで、路上で歌をうたって日銭を稼ぐ紅葉と出会い、ともに暮らしはじめる。しかし、突然の別れがあり……。
萌黄は、清少納言が藤原行成に送る手紙を届けたり、枕草子の一説を読んでもらったり、書き損じの紙を集めたりするなかで、言葉が紙を通じて広がっていくことの不思議を知る。そして次第に、紙というものに惹かれていく。
歴史のなかでたくましく生きる、名もない庶民を描きつづけてきた久保田さんが次に描くのは、平安時代に土を踏みしめて力強く生きた人々。枕草子から着想を得た、枕草子の裏側にあったかもしれない、一人の少女の物語。
感想・レビュー・書評
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久保田さんの本を読むのも何冊目でしょうか。作家読みするたちなのでハマるとその方の本ばかり読んでしまいます。粗筋を読んだ時にちょっとヘビーそうな感じだったのでしばらく寝かせていました。心の余裕ができたので読み出したのですが、前半はちょっと辛い展開でしたね…。後半はそれなりに幸せそうで良かったですけど。
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【内容】天涯孤独になった平安時代の内向的な少女「もえぎ」。会ったこともない父からの贈り物と言われた紙の束(貴重品)を胸に、清少納言もいる職御曹司(しきのみぞうし)で働き始める。もえぎと和紙、「枕草子」や「梁塵秘抄」や、「源氏物語」もちょっとからむ。
【感想】個人的に紙やペンや言葉は好きなので共感しながら読めた。
また、昔の貴族の暮らしぶりはある程度知ることができるが、庶民のことは意外にわからず、ずっと関心は抱いていた。もっとも、本当に知りたいのは平安京その他の貴族たちが暮らしていた枠の外にいた人たちのことなのだけど、ここではまだ枠内の人たち。 -
なかなかつらいところもあるお話だった…。けど清少納言の言葉とか出来事がほぼ事実だとは驚き。この時代に当然のようにあった身分の違い、上の者と下の者の違いを感じた。枕草子読んでみたくなった。
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図書館の児童書のおすすめ棚にあった本で装丁に惹かれて借りた。
読んでみると面白く、一気読み。
舞台は平安時代中期らしい。清少納言が出てくる。
貴族に仕える萌黄、清少納言にも意地悪されて貴族のお屋敷を追い出される。
萌黄の先輩の瑞木や木守の子の小竹丸、幼馴染の犬丸など厳しい環境の中でも逞しく上を目指して進んでいくのが気持ちがいい。
紙が貴重だったこの時代、その貴重な紙を軸にして話が進んでいく。
現在では考えられない社会背景ではあるが、希望を持って成長していく子どもの姿は爽やかで感動的だ。
偶然だが良い作品に出会った。 -
清少納言のいる屋敷で働いていて、紙を盗んだと濡れ衣を着せられ、都で芸人と一緒に懸命に生きて、父と再会し紙作りの職人として歩み始めためでたしめでたし。のシンプルでまっすぐな児童書でした。
清少納言が中宮と雪がいつまで残っているか賭けるエピソードや、貴族との文のやりとりの雅なエピソードは知っているモノでしたが、立場変わって雑仕からみればいじわるに見えたりするのかと思い、私から見れば新しい視点(教科書にしろ、新書にしろ、清少納言は褒められがちなので若干の悪役で)面白かったです。 -
2022.07.09
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時代物はあまり得意ではないのだけれど、こちらはなかなか読みごたえがあり面白かった。清少納言の言動などはわりと史実に忠実とのこと。
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萌黄(12歳)。平安時代、紙屋紙、清少納言