人魚の誘惑 (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
2.69
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本棚登録 : 46
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778114664

作品紹介・あらすじ

離島での海底資源調査に参加した分析員の大島理人は、面倒見の良いメカニックの加鳥圭吾と島に住む不思議な青年・凪と仲良くなる。台風が接近するある夜、大島は凪に突然キスされた。驚いて逃げ帰ったものの性的経験のない身体はキスだけで興奮してしまい、自室で一人慰めている姿を、部屋を訪ねてきた加鳥に見られてしまう。大島は何とか平静を装うとするが、なぜか凪との仲を誤解した加鳥にまで迫られて…。

感想・レビュー・書評

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  • 【観点別評価】展開☆2~3、オリジナリティ☆3、作品としての質☆2~3、個人的嗜好☆2

    【総合評価】「なんだかなー」というのが正直な感想。テクストが何を語ろうとしているのかよくわからない。☆2

     攻が二人(本命攻+当て馬攻)いて、三人でのプレイが数回あるのだが、そのときに本命攻×当て馬攻(挿入あり)がある点が特色。ただし当て馬攻×受に関しては挿入がない。そのあたりで地雷だなと思う方は回避推奨。

     序盤は何が起こるんだろう、とどきどきしながら読んだのだが、途中から妙に冷めてしまった。何故だろう、と考えて、自分なりに出した結論は以下のとおり。

     結局のところ、読んでいてこのテクストが語ろうとしているものがいまひとつ見えてこない。受さんの性愛の目覚めなのか(ううん……だとすると掘り下げが甘い)、当て馬攻さんの解放なのか(だとすると呆気ない)、それとも本命攻さんの罪悪感からの救済なのか真実の愛の発見なのか(うううううんなんか違う)。特に本命攻さんに関してはクライマックス手前で自分のあれこれを告白するわけなのだが、そういう重要なことを一気にネタばらしされると読者は「はあ……そうなんスか」としか思えないので、そういう設定にするならするで、そこに至るまでにもう少し暗示を重ねた方がいい気がする。PCを操作した形跡だけでは効果的とはいえない。おまけにじゃあその設定がその後物語の鍵になるのかといえば、それきりだったし。あ、それとも本命攻って重要じゃなかったの?じゃあいったい……(以下無限ループ)。
     で、この小説のキモは3Pなのだ!と視点を切りかえれば、少し納得できる。でも濡れ場メインと言い切るには、描写はなんだかあっさりめ。もやもやばかりが募る。

     もう一つ気になったのが、お仕事BLじゃないんだから、と言われたらおしまいなのだが、やはりもう少し仕事描写をした方が良かったんじゃないかという点。調査に来ているはずなのにセックスしてイルカと遊んでいるだけのように見えてしまった。そのため設定の割に閉塞感や切迫感、緊張感が稀薄で、更に話の規模が実はとんでもなくでかい割に実質的な登場人物が少なく、それぞれの動きが(そこは設定に忠実に)限定されておりちまちましているため、終始ちぐはぐな感じがつきまとった。

     良いところを褒める方がレビューとしては良心的だし精神衛生上も良いんでしょうね……と思いつつこんなレビューしか書けませんでした。すみません。

  • 自分に自信のない理人。そんな理人が突然2人からアプローチされたら、信じられないのも当然かも。大事にする方法は少しずつ間違っていたかもしれないけれど、加鳥も凪も間違いなく理人のことを大切にしていたと思う。3人それぞれが進む道が、良い方向に向かっているといいな。

  • 海底資源の発掘から始まるお話。学生時代にいじめがトラウマになっている主人公。それ以来、人と深く関わらないように生きてきた人生が加鳥と凪との出会いと閉鎖された島の中で少しづつ変わっていく。ここで感じたのは天涯孤独の凪を思う剛先生の優しさだ。主人公の恋愛よりもその事を深く感じた。

  • ★3.0。ラブも萌えも消化不良感。三者三様の過去と思惑と慰めが何やら複雑に絡まってる割に描写がぼんやりとしていて、正直三人共よくわからなかったです。なぜ3Pになったのか、なぜ受は加鳥を好きになったのか、気持ちの面でもあまり理解出来ない。とりあえずセックスを通して三人が抱えた過去から解放された話なのでしょう。身代わりネタとか本命攻が3Pで受以外に挿入するとか(実質攻1受2?)地雷だったんですが、誰にもあまり感情移入出来なかったせいか意外と耐えられました。ちょっと変わった3P本と思えば面白かったです。

  • カテゴリを3Pにしていいんだよね?とちょっと悩んでしまった(笑)


    攻め:加鳥 と 凪
    受け:大島


    秘密の調査をする為にとある島に集められた男達。
    人との付き合いが苦手な大島は仕事仲間の加鳥から何かと構われる。
    調査をする離れ小島に到着すると島民の中では唯一の若者である凪から親しく声を掛けられて…。


    二人から求められてる話かと思いきや、二人から利用されてた大島。
    表紙も挿し絵も3人だったから3Pとして購入したけど、設定がとんでも設定で、結局片方とだけ付き合うことになったらしいし、なんとなく面白くなかったかな。
    途中何度も読むのを中断した。
    攻めの加鳥と受けの大島の名前が鳥と島で字面が似ついて、“かしま”と読んでしまったりで脳内が混乱した。似たような漢字だと混乱するのって他の人はないのかな?

    絵師さん買いしたようなものだしなぁ…。


    この凪のその後の話は読んでみたい。で、同時収録でその後の加鳥と大島の福岡での様子とか書いてくれないかな。

  • 三角関係もの
    離島に住む美青年・研究のためにきた野性的な男×さえない研究員

    学生時代、親しくしていた友人に裏切られた経験から、
    主人公は以来人と関わることが苦手だった。
    ソリがあわない女性上司から逃れるように、
    離島での研究のための出向に手をあげた。
    同じく離島にメカニックとしてやってきた男は親しげに声をかけ、
    性的な関係に誘うようなそぶりをみせてくる。
    そして施設にくわしくイルカと仲の良い青年は主人公に突然キスをする。

    さんぴーきたぁぁぁ。
    ってかんじです(笑)
    三角関係がずーっとつづいていくんですが、
    関係性がなかなかに独特でした。
    バチバチと火花が散っているんだけど、
    そこにある関係は一筋縄じゃいかない感情なんですよね。
    さすが剛しいらさんです。
    なので、最後がちょっと違和感があったりもするのですが、
    これはこれで、うん、そうだねそういう感じでという納得もします。

    ただ・・・挿絵なんですが、
    3Pで、ひとり服を着てるのはなんか指定ミスなのかなとも思ったり。
    完全なる挿絵買いなので、ちょっと残念です。
    ささいなことなんですけどね。

  • 面白かったです。不思議な話だなぁ。なんかよくわからないのに面白かった。なんだろう。何でそういう展開するんだろうってすごく思うのに、なぜだかそういうもんかぁと納得して読んでて不思議!

    とってもネタバレしますよー。

    表紙3人だしあらすじ的にもそういうのかなーと。地味な主人公が突然2人から言い寄られて戸惑ってどうしよう的な話なのかと思ってたらどっこい、2人に求められてるようで2人に利用されてましたっていう。どっちもか!てなりました。さらっと結構酷い(笑)しかも主人公未経験なのに。それ知っても2人とも普通に利用したって事だよなぁと。まぁ利用したけども解放もしたって事で、あと途中ずっと3Pになってたのは主人公の優柔不断さも一因という書き方だったから、悲壮感とかそういのは殆どなかったから読んでて辛くはなかったです。そしてそれぞれに少しずつ欠けてて、歪んでて、保つ為に正す為に必要だったという話だったから、何でそうなるのー?と不思議に思いつつも納得してたんだと思います。利用しつつも純粋なところに救われてもいたんだろうなと。
    最終的には2人エンドです。最初全然予想つきませんでした。3人なのか、2人ならどっちなのか。いやまぁ口絵でそうかなとは思ったけど。1人は当て馬だったわけでもないので、三角関係の苦手な理由が入らないからそれは良かったです。あぶれて切ない思いする人がいない。最初から好きな人がいると言ってたし。主人公と別れて終わるわけでもなく、今後良い関係を築いていけるんじゃないかなという終わりだったのも良かった。ずっと自分は自由だよって何でもない事の様に生きてたけど、最後に泣いたのが良かったなぁ。主人公だけでなく、表面上は正反対だったけど凪も人間関係の輪には入れずにずっと独りだったんですよね。特殊な出生のせいで。初めて真剣に助けてくれる人に出会えて良かったと思いました。無事自由になれると良いんだけど。まぁ最後、襲いそうだからってのにはどんだけですかと思いましたが(笑)
    3人の立ち位置は、攻2受1のような攻1受2のような。1人がどっちもOKて事です。サンドイッチはなかったけど、してたんじゃないですかね(笑)ゲーム、遊びだと言ってたし。全員の暗黙の了解、共犯者。
    身代わりにされてたけど、自分も重ねてたかもしれないとか、主人公が途中から被害者意識じゃなくなってくるところも良かったです。過去の経験のせいで仕方ないんだけど、はっきり最初の方で言われてたし。
    イルカって鮫より強いんですねー。知りませんでした。
    ところで表紙の色がなんか黒ずんでるなぁと思いました。海の中に居るっていう描写なんだと思いますが。そういう比喩的な話だったし。でもなんか濁って見える…。

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著者プロフィール

6月9日生まれ、双子座。雑誌「小説イマージュ」(白夜書房)1996年5月号に「一枚の遺書」を発表して、新人賞と第12回月間イマージュクラブ賞に選出され作家デビュー。以後、女性向け小説を中心に様々なジャンルで活躍中。主な著作は『スワンドール奇譚』シリーズ(エンターブレイン)など。

「2015年 『恋愛事件捜査係 担当官は恋愛オンチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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