鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 67
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778323127

感想・レビュー・書評

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  • 3,5

  • はあ…しんど…

  • 卯月妙子の新刊。
    2003年に序章のみ描かれた段階で中断されたものを書き下ろしで全面改稿したもの。「人間仮免中」以前、(最初?)の夫の自殺未遂後、症状の悪化により閉鎖病棟に入院した作者の体験記。時代的には90年代だろうか。「人間仮免中」「人間仮免中つづき」は自分自身の経験についてだったが、この本では自分自身だけでなく同じ閉鎖病棟に入院中の他の患者に関する話も多い。感じとしては吾妻ひでおの「アル中日記」に近い。こういうセンシティブな問題をギャグ漫画として描くことに賛否はあるだろうが、90年代の悪趣味・鬼畜ブームを「そういう時代だった、若気の至り、気の迷いだった、悪かった今は反省している」的な文脈で回収しようとする昨今、悪趣味・鬼畜ブームの残滓ともいえる卯月妙子には頑張ってほしい。
    あと、卯月妙子には第三者の手による評伝が必要だと思う。誰か書かないか。

  • 何冊か紹介している卯月妙子さんの最新作です。
    この本は、精神疾患について、それらの患者さんについて、また精神科病院(主に病棟)について書かれています。
    主観的に見える部分を、とても客観的に書かれていて、テンポよく読めますので、これらに興味を持った方はぜひ手に取ってください。

    自分語りになりますが、私も精神疾患を持っていて閉鎖病棟への入院が3回あります。ですが、その時のことをこんなにぐいぐい読ませるようなものを書けるとは思えません。
    それは、私にとってその時のことは主観でしかなくて、客観視できないからだと思うのです。途中、客観視するきっかけも書かれているのですが、そう思えたことがまず、素晴らしい気付きだな。と。まだまだ記憶の中のあの場所を主観でしか語れない私にはたどり着けない世界だな。と。

    後半、病院を出てからの書けなくなってしまった作者のお話はとてもぐさぐさ来ました。ここでも現れる主観と客観の違い。この本のテーマの一つでもあるな。と感じました。
    その後、ファンの方々と居酒屋で飲んだ時の、一人のファンの一言が本当に本当にぐっさりくるのです。あぁ。私もツイ廃している場合じゃないな。と思ってしまいました。(でも、ツイ廃してしまう)

    あとがきに書かれていた励ましの言葉がとてもとてもじんときました。そう。タフな自分になってる。これは私も感じています。
    漫画の一コマ一コマだけではなく、あとがきも全部全部味わってほしい一冊です。

  • 『鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟』卯月妙子。おじいちゃんではなくなりました。菩薩の境地体験した。東大生君の処し方など、多く心に残る。人ってなんだ?どこからが「人」なのか?自分と自分以外に優しく出来るのが人だろうか?でもこれ犬や猫でも出来ることだよなぁ。力強い人間賛歌の物語である。

    20年前旅先で手にした「実録企画モノ」が #卯月妙子 との出会いだった。こんな本東京にしか棚差ししてないよ!的感慨。自分とは真逆の個性に衝撃を受けた。ほぼ10年後の「人間仮免中」。卯月さん生きてた!書いてる!ハレルヤ!からのとうとう来たぜ!「鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟」家宝だ。

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