モンキーブリッジ

  • 彩流社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779114663

作品紹介・あらすじ

これは新たな戦争小説の登場である! アメリカが初めて敗北したベトナム戦争の裏側で、ベトナム系移民の人々にいまだに続く「心の戦争」――アメリカの生活のなかに滲み出る戦争の影を、母娘の心の葛藤を通して描く本格的作品。

「作品の冒頭、病に倒れた母タインを見舞うマイが、首都ワシントンD.C.郊外にある
アーリントン病院とサイゴン軍事病院をダブらせていく場面がある。マイをはじめと
する若いベトナム系移民が持つ過去の記憶がトラウマとして、現在の生活に少なから
ぬ影響を与えていることを示唆する描写だ。マイの心の動きを通じ移民の間で静かに、
しかし、決して終わることなく続く「心の戦争」の存在が浮かび上がる。戦争がそれ
を生き延びた人々の心に巣食い続けるものならば、ベトナム系移民にとっての「戦争」
は今でも新天地アメリカで続く現実の一部なのである。」(「訳者解説」より)

感想・レビュー・書評

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  • ベトナム戦争を体験したベトナム人母娘がアメリカへ移り住んでいろいろと。
    世代間のギャップやベトナム系移民のin-betweenさがひしひしと伝わってきます。

    表題の「モンキーブリッジ」とは、ベトナムはメコンデルタ地帯において運河をまたぐように張られている、竹を組んで作られた簡素な橋のこと。
    足場は枝1本と細く、この橋を渡りきるためには身の軽さ、それから足元や後ろをふり返らず進み続ける勇気が必要だと言われています。

    故郷を離れベトナム戦争後のアメリカ社会で暮らし始めた彼らもまた、それぞれの「モンキーブリッジ」を渡る必要があったんだよ、とゼミの先生が言ってましたw

    この作品は、現在アメリカで大学教授となっている著者の半自伝的な小説です。(でもフィクションです)
    親子間のギャップが強いのはそこらへんも大きく関係していると思うので、同じベトナム系アメリカ人作家で、ベトナム戦争を体験していて、しかもあまり高学歴じゃない人の作品も読んでみたいと思いました。

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著者プロフィール

1961 年ベトナム、サイゴン生まれ。1975 年サイゴン陥落の年にアメリカへ渡る。チャプマン大学法科大学院で教鞭を執る国際法の専門家、作家。著作に『モンキーブリッジ』、『蓮と嵐』( 彩流社)、『アジア系アメリカ人の歴史について知っていなければならないこと』( 共著、未訳) など。

「2022年 『ランとハーラン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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