盗みは人のためならず

  • 彩流社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779121852

作品紹介・あらすじ

2012年に映画化された『温故一九四二』の作者にして、
現代中国きってのユーモア作家が描く人間喜劇!

開発ラッシュの北京を舞台に、自分の女房を寝取られた
主人公が、寝取った罪を認め数年後に数万元を払うという
相手の約束手形も盗まれて…。
そこに、政府高官が浮気の現場を押さえられたデータの
入ったUSBも盗まれるという事件が思わぬところで
絡み合い、やがて……。
政府高官、不動産王、工事現場監督、コック、スリ、
スリの元締め、売春兼業の美容院経営者、出稼ぎ労働者、
警官、偽酒製造業者たちが巻き起こす、
盗み盗まれての人間喜劇。
社会のあらゆる階層の人間たちが犯罪を犯して、
二重三重に絡み合う意外な展開を、
下世話でユーモアある語り口で描いた弱肉強食の中国社会!
※ 原タイトル『我叫劉躍進』

「…劉さんのユーモアは寸鉄人を刺す鋭い表現力だ。
そして、深刻なことを決して深刻には語らずに、
冷静な洞察力で導いた自論を洒脱な語り口で展開する。
私はいつも劉さんの話の面白さにさんざん笑った後で、
そのユーモアの背後にある深い意味に気づかされ、
なるほどなと思い至る。
それこそが劉さん自身と彼の小説の最大の魅力であり、
病みつきになる所以である。(訳者あとがきより)

感想・レビュー・書評

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  • 現代においてもこの混沌が中国なのであれば、それは永遠に変わらないような気がする。

  • 293頁:ラジオではパキスタンとイスラエルがまた衝突したことを告げていた。パキスタン人は自爆テロを引き起こし,イスラレルは戦闘機を動員していた。
    ・ユーモア小説だから?パキスタンとイスラエルは,いったいどこで衝突したのだろう?
    314頁:『紅楼夢』の和綴本である。
    ・意味は分かりますが,中国で和綴本というのは,なにかひっかかる。原文は「綫装本」とか書いてあるのだろうか?
    377頁:金のためでもあるが,江東基業(31)のためなんだ。/訳注(31)江東起業=三国時代……
    ・たぶん,訳注の「起業」のほうが間違っているのだろう。
    ★345頁:天下に悪人は一人どころか,天下はカラスのようにたくさんの悪人がいて真っ黒だった。その暗黒のためにカラスを捕まえるのか,別のカラスどものために,他のカラスたちを捕まえているのか,邢は自分の仕事に意義を見出せなくなっていた。

  • 『阿Q正伝』を途中で挫折した私には、ちと荷が勝ちすぎてる気がしたしたが、頑張って最後まで読みました。
    登場人物全員の人物紹介があるのと、その人たちに全部カナがふってあるのに助けられました。
    とてもよくできた群像劇で、ポール ハギスの『クラッシュ』と、ダシール ハメットの『マルタの鷹』をミックスしたような感じです。
    最後のオチで、力が抜けました。

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著者プロフィール

りゅう・しんうん
1958年、中国河南省延津県生まれ。
1973年から1978年まで人民解放軍兵士、
1978年、北京大学中国文学科入学、
1982年、同大学卒業後「農民日報」勤務、
1987年、この年発表の『塔鋪』で注目される。
2003年、『手機』が映画化される。
2010年、『我叫劉躍進』が映画化される。
2011年、『一句頂一万句』で第八回茅盾文学賞受賞。
2012年、『温故一九四二』が映画化される。
邦訳は本作の他に
『ケータイ」(桜美林大学北東アジア研究所)、
『温故一九四二』(中国書店)、
『盗みは人のためならず』『わたしは潘金蓮じゃない』
『一句頂一万句』(全て、彩流社)がある。



「2018年 『ネット狂詩曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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