別に法学部であったことはなかったのですが、ご縁があっていろいろな法学の先生の授業を聞く機会があり(覚えているだけで4人。なんというか、ありがたいことですよね……)、なかでも非常にわかりやすくておもしろい法学の授業がありまして、これまで受けたいくつか法学の授業のなかでもこれほどおもしろい、と思ったことがなかったため先生を毎週のように質問攻めにしていたところ、耐えかねて? 先生がくださった一冊。ところどころ先生の書き込み(というか突っ込み)がしてあって、時折噴き出しながら読んでおります。タイトル通り、初心者向けの憲法学の本です。
ただ、やはりこの本よりは先生の授業のほうがおもしろかったのですよね……先生自身はやや感情的なモラリストで、先生の視点に賛同できない場面もそこそこあったのですけど、大学の授業がテキストをなぞる形では高い学費を払う意味がなくて、その周辺に脱線していく、先生方のまとまりきっていない頭の中のフワッフワした部分も含めて、タイムリーな話題や際どい話題を拾いつつ、より自由度の高い講義が形成されて初めて、ああー大学の授業きいてよかった! となるのだと思う。単なる本の焼き増しでは面白くない、というか読めばわかることなのだし。そういう意味では、授業の副読本として活用していました。
まだ全部読めていないのですけど、整理してノートにまとめていたら、けっこうわかりやすい本だということもわかりましたので、憲法の条文がどういうふうに解釈され適用されているのか学ぶにはよい本でしょう。ただやはり初学者向けということで、具体例等も最低限に抑えられ、誰でも一度は聞いたことのある事件が主に扱われていますから、より詳しく突っ込んだことを学びたい方には不足でしょう。まるっきり初心者の私には適しています。
それから、脱線しますが、法というのは思っているよりよほど感情的なものに支配されているものなのだと思うようになりました。どちらかといえばこれは授業を通してなのですけど、法という視点からのみ法を考えると、現実に即していないものになるなあというのも痛感しましたので、その世界にどっぷりつかるというより、ある程度幅広く学んだほうが、危ないことにはならないんじゃないかと思いました……あとはやっぱり、世論というかね……ヒステリックで感情的な法整備は避けねばらならないと思うし、法というのはどういうものか、考える機会をこれまで持たなかったなと反省しました。