人がヒトをデザインする―遺伝子改良は許されるか―

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  • ナカニシヤ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779505683

作品紹介・あらすじ

人は遺伝子テクノロジーを制御できるのか。ナチスの優生政策・リベラル優生学・人類の分化の可能性…人の"改良"を巡る古今の驚くべき事件や思想を検証し、遺伝子改良への依存に警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • 古典的優生学やリベラル優生学に対してその失敗事例をあげながら反論を試みます。

    「こういうこともある」レベルの理論的な反論にとどまり、データの積み上げによる確実な反証を提示するには至っていません。100年以上にわたる遺伝子改良の実績から何か見つけられなかったのでしょうか。

    一つ一つの失敗をあげるだけでは、それが遺伝子改良そのものに起因する問題なのか、やり方の問題なのかが不明です。

    また遺伝子改良は必要ではないとする事例として、マレー半島のセマイ族が挙げられていました。かれらは徹底して穏やかで非暴力的であるそうです。ここでの論理は自然界でこれほど優れた人間を作り出せるのだから遺伝子改良など必要ない、ということのようですが、セマイ族が非暴力的であること以外述べられていません。明らかに不十分です。

    あとは、精子バンクによって生まれたヒトのアイデンティティの問題。"ノーベル賞受賞者の"精子バンクということでここで取り上げられたようですが、普通の精子提供でもこういうことは起こるでしょう。

    遺伝子改良に対する反論として理解できるのは遺伝子改良によって取り返しのつかない事態が起きる、という保守主義からの議論です。金融工学の発展による金融危機の例を挙げながら、なんとなく恐怖をあおります。内容はわかるだけに具体的なシナリオがほしいところです。

    難解な文章ではないので入門として読むのはありだと思います。

    参考文献は充実しています。

  • 遺伝子改良依存への警鐘、だそうな。
    いつかデザイナーズベビーが生まれるのですかね…
    発注なし

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著者プロフィール

小坂洋右(こさかようすけ)1961年札幌市生まれ。旭川市で小中時代を過ごす。北海道大学文学部卒。英オックスフォード大学ロイター・ファウンデーション・プログラム修了。アイヌ民族博物館学芸員などを経て北海道新聞記者に。現在、編集委員。著書に『破壊者のトラウマ――原爆科学者とパイロットの数奇な運命』(未來社)、『流亡――日露に追われた北千島アイヌ』(北海道新聞社)、『アイヌを生きる文化を継ぐ――母キナフチと娘京子の物語』(大村書店)、『〈ルポ〉原発はやめられる――日本とドイツ その倫理と再生可能エネルギーへの道』(寿郎社)、『日本人狩り――米ソ情報戦がスパイにした男たち』(新潮社)、『星野道夫 永遠のまなざし』(山と渓谷社)、『人がヒトをデザインする――遺伝子改良は許されるか』(ナカニシヤ出版)などがある。北海道庁公費乱用取材班として新聞協会賞、日本ジャーナリスト会議(JCJ)奨励賞を受賞。『原発はやめられる』で第27回地方出版文化功労賞奨励賞(ブックインとっとり主催)を受賞。

「2015年 『大地の哲学 アイヌ民族の精神文化に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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