認知資本主義―21世紀のポリティカル・エコノミー

  • ナカニシヤ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779509377

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  • 生産と組織のフレキシブル化、金融化の進行、労働として動員される「生」
     1960-70年代以降の激動がもたらしたポスト・フォーディズムは、非物質的なものをめぐって旋回する――Y・ムーリエ=ブータン、A・フマガッリ、C・ヴェルチェッローネ、C・マラッツィ、M・ラッツァラートらが論じる現代のグローバルな趨勢「認知資本主義」を、様々な事例を取り上げ、政治経済学的な視角から分析。
    http://www.nakanishiya.co.jp/book/b222112.html


    目次
    序論(山本泰三)
    一 はじめに
    二 資本蓄積の変質
    三 包摂される知と生
    四 コモン、レント、金融化
    五 問題の形跡
    六 フォーディズムの危機と新たな主体性
    七 「社会などというものはない」
    八 具体的分析のために
    九 本書の構成

    第一章 認知資本主義――マクロレジームとしての特徴と不安定性(内藤敦之)
    一 はじめに
    二 認知資本主義論の概要
    三 認知資本主義レジームの不安定性
    四 結  論

    第二章 労働のゆくえ――非物質的労働の概念をめぐる諸問題(山本泰三)
    一 非物質的労働
    二 「暗黙の実務」の労働過程
    三 スミス的分業と認知的分業
    四 賃金労働
    五 人的資本
    六 むすびにかえて

    第三章 認知資本主義と創造都市の台頭 (立見淳哉)
    一 はじめに
    二 知識創造とイノベーション
    三 「創造」都市の構築
    四 おわりに

    第四章 コモンにおける真正性の試験と評価――テロワール・ワインと有機農産物を事例に(須田文明)
    一 はじめに
    二 認知資本主義下のコモンの地主的領有
    三 テイスト:コモンにおける真正性の評価
    四 対立した二つの行為レジーム
    五 テイストを通じたコモンの地主的領有と
    市場のハイブリッド化:おわりにかえて

    第五章 企業と動態能力――日本企業の多様性分析に向けて(横田宏樹)
    一 現代日本企業と多様性
    二 動態能力分析の方法論的枠組み:動態能力構築メカニズム
    三 ケーススタディ:トヨタとホンダの動態能力
    四 成果と残された課題

    第六章 コーチングという装置――認知資本主義における労務管理?(村越一夫・山本泰三)
    一 問題の導入
    二 企業という装置
    三 コーチングの機制
    四 ニューソートからエビデンス・ベーストへ
    五 コーチングの効果と測定?
    六 むすびにかえて

    第七章 クリエイターの労働と新しい地域コミュニティ(今岡由季恵)
    一 日本のクリエイティブ産業
    二 認知資本主義時代の〈共〉的コミュニティ
    三 クリエイター集積地域のコミュニティ
    四 新町コミュニティの実態と価値観
    五 NPOが示す現在の地域コミュニティのありかた
    六 〈共〉的地域コミュニティのこれから

    第八章 ドイツの労働組合による組織化戦術の新展開(北川亘太・植村 新)
    一 はじめに
    二 生産過程及びマクロ経済レジームに関するIGメタルの認識
    三 アメリカ型の組織化戦術の特徴
    四 学習と内省を通じた組織化戦術の受容
    五 派遣労働者の組織化
    六 問題発見・問題解決型コンセプトとしての「良い仕事」
    七 IGメタルの組織化戦術の新展開
    八 認知資本主義論からの解釈

    第九章 「継続的本源的蓄積」としての研究開発――ネオコロニアリズムと研究者のプレカリアート化の関係について(春日 匠)
    一 「寿命が延びること」の意味を問い直す
    二 経済成長を! そのために知識を財産に!
    三 暗黙知に対する海賊行為
    四 イノベーションのための「継続的本源的蓄積」を問う

    第十章 認知資本主義と統治――貨幣が国家から離れるとき (中山智香子)
    一 はじめに
    二 「認知」の意味とその資本主義的構造
    三 「金融化」における貨幣と統治

    コラム
    1 認知資本主義の論者たちとその周辺、日本への紹介
    2 ベーシック・インカム
    3 アレントにおける労働
    4 ジェントリフィケーション
    5 インターネットとグーグル的蓄積?
    6 認知科学
    7 協働コーディネーターという仕事(京都府の場合)
    8 フーコーにおける生権力・生政治とマルクスにおける包摂
    9 カルチャー・ジャミングの終焉

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著者プロフィール

京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。
大阪産業大学経済学部経済学科教授。

「2023年 『プラットフォーム資本主義を解読する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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