どすこい 出版流通

著者 :
  • ポット出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780801170

作品紹介・あらすじ

筑摩書房元取締役営業局長の名物コラム



●出版業界のインフラ整備に尽力した、故・田中達治氏が軽妙につづる「出版流通思想」

●筑摩書房の書店向け「蔵前新刊どすこい・営業部通信」に1999年〜2007年まで掲載されたコラムを収録

●書店、取次、出版社……出版流通に携わるすべての人のテキストに

●「版元ドットコム」の若手出版人有志による詳細な脚注、索引付

感想・レビュー・書評

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  • 筑摩書房で長きにわたり図書営業に従事した故・田中達治氏が書店・取次向けの業界誌(?)のメッセージコラムをまとめたもの。図書営業の世界のことはさっぱりだったので、基本的な知識を知る上でも参考になったが、版元の営業マンがここまで軽快かつ辛口に業界に進言できるというのは現場の現状を的確に捉え、かつ先を見据えたいたからにほかならない。いままでの業界の当たり前に果敢にぶつかり、流通インフラまでも構築した。版元の営業と取次、書店の不思議な関係が魅力的にも映るのは、田中氏が指摘するように各プレイヤーが共同でメディアとしての出版業界を支えているからだろう。

  • とてもよい言葉がたくさん詰まっている。
    出版というメディアの魅力を感じさせてくれる。

  • 故・田中達治さんの業界向け日誌をまとめた本。

    本を扱うにあたって商流・物流の整備の大切さや上手く活用された際の情報の有用性が感じられる。

    また、著者の出版に対する思いが言葉にしていなくとも溢れていて心地良い。

  • 図書館について考えたくてどかどか借りてきた本、3。

    出版状況クロニクルとはうってかわって、今度は出版側からみた出版についてのあれこれ。出版状況クロニクル読んだ後は「なんか出版系もうやばいな働きたくないな」って思ったけど、この本読んだら「出版ちょう楽しそう働きたい」ってなった。用語の説明もたくさん入っていて、だいぶすらすら読めるようになってきた。もう少し出版系について勉強できたら、もう一度読みたい。

    経済的にーとか国際的にーとか考えると暗い気持ちになりがちだけど、やっぱ本を扱う仕事というものにロマンを感じてしまうなって思った。どちらの感情もバランスよく持てるひとになりたい。

  • おもしろかった。『蔵前どすこい』のあの欄に載せる文字数なだけあって無駄なく書かれていて、その連なりなのでどんどん読める。もっと早くに手にするべきだった。

  • 出版・本に関する本
    筑摩書房の営業通信、1999年~2007年までのものを註釈をつけて出版したもの
    「たぬきちの野良犬ダイアリー」で、出版や書店など本の世界に興味がある人、現在働いている人は一度は読んでい置いて欲しいと書いてあったので、読んでみる


    内容はというと
    基本的には営業部長が書いているだけあってやはり業界人向けの内容
    専門用語も多々出てくるが、もうすでに関連本を読んでいるのでそこは抵抗なく読めた
    良くある「昔は良かった」的な論調ではなく、過去のやり方の長所短所、現状の問題点、改善点、改善したところ、著者の経験、業界事情などなど、内部からではいないと絶対に分からないような内容が多く、しかもそれが親近感溢れる視点で述べられていて、非常にためになった

    出版されたの2008年7月だから、今はまた状況が全く違うのだとは思うが、電子書籍が本格的なブームにあってきた中で、本の世界がどのように変わるのか、自分なりに考えていく上でとても参考になる

    特に細かい実務について伺い知れる箇所があってそこが業界外の人間からすると新鮮だった


    あー、どうにかして本に関わる業界の仕事に就けないものかなあ

  • 出版流通のことがわかった!! という類の本ではないけれど、出版業に携わる人はみんな読むべき本。倉庫勤務経験を活かして業界の流通、営業の在り方を切り開いていった著者を知り、私は出版社のなかで何を武器に何をもたらせるのかを深く考えさせられた。

  • 現状に対する認識の深さとそれに則して行動していく強さについて考える。問題を正しく捉えできるだけ効率よく問題を解決していく、ということの大切さ(大切さ!なんて陳腐な言いまわし!)も考える。この人の「してきたこと」の力強さを目の前にすると、こちらの情けなさが浮かび上がってきて、涙がでてきてしまう。

  • リストラなう、から

  • もっと早く読まなきゃいけなかった本

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著者プロフィール

1950年7月23日千葉県銚子市で生まれる。
1976年3月法政大学文学部英文科を卒業。
同年筑摩書房に入社。
管理部(倉庫部門)に配属。
1978年同社倒産劇を倉庫(管理部)で迎える。
1980年12月営業部へ異動。千葉、埼玉、北関東の書店営業を担当。
1988年課長に昇進。
1993年4月営業部次長に昇進。
1999年6月営業部長に昇進。「営業部通信」を菊池営業部長から代わり執筆開始。
2000年6月取締役営業部長に就任。
2001年10月「筑摩書房全集謝恩セール」(再販弾力運用)を実施し盛況に終わる
(2002年も実施)。
2004年10月組織改編で取締役営業局長就任。
2007年7月病気療養に専念するため取締役を退任し顧問に就任。
また、長年にわたり業界インフラ整備にかかわる。主なものは次のとおり。
1990年出版社10社合同での全国主要38書店の売上スリップ回収を行い売上げ分析
システム、レインボウネットワーク創設に参加。
1991年からの出版VAN立上げ、書籍バーコード普及。
1997年新潮社、文藝春秋、筑摩書房3社で文庫補充システム「コロンブス」
(ColmBuS 文庫補充のハンディターミナルシステム)。
1994年「S-NET」(スリップ共同回収)。
1996年「P-NET」(POSデータ配信ネットワーク)。
1997年7月共有書店マスタ・ユーザ会代表世話人。
2000年「出版ゴールドサービス」(共有書店コードを利用したファクシミリ一斉同報サービス)。
2001年「Book-Order.Net」(出版社・書店共用サイト)、7月物流部門も担当。
2002年4月有限責任中間法人日本出版インフラセンター設立にかかわる。
2003年4月日書連加盟店のみならず日本国内すべての書店を網羅した「書店データベース」(S−DB)を整備するため、共有書店マスタ・ユーザ会と日書連の協業化に尽力。
2007年1月12日「田中達治さんに感謝する会」参加者へのお礼状で「病は誰にも等しく訪れるものです。私は思いもよらず早くその日を迎えてしまいましたが、悲観はしておりません。「明日」をイメージすることができる限り、病に向き合い、治療に取り組む覚悟です。またいずれそれが及ばなくなる日が訪れても、静かに流れるようにすべてを受容したい、そのような自分でありたいと念じております。
出版業界はますます厳しい未来に直面しています。しかしながら、メディアとしての出版は他のメディアと比較し、深く、重く、誠実に伝える力を持っています。
その力を最大に発揮するための業界システムをみなさんで築き上げてください。
私はもとより、無数の読者がみなさんを応援しています。頑張ってください。」
のメッセージを残し闘病生活に入る。
2007年11月23日午前0時45分(2003年5月発病の前立腺癌で)癌研有明病院にて、
永眠 57歳。

「2008年 『どすこい 出版流通』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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