- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781609201
感想・レビュー・書評
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大河ドラマは観ていないけど、気になって読んでみました。
幕末を生きた八重さんがとても素敵に描かれていました。
夫、襄の為に赦しを祈る時に、いつも己の罪の赦しを祈ってくれていた襄の心に気がついた時…
ここが一番私の心に響きました。
心から祈る事の尊さ。
私も八重さんの様に、正しく生きる人でありたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大河ドラマで話題の新島八重の物語。
ドラマを見ていないので比較はできないが、読んで良かったと思う。
信じていた何かを否定されること、自分に近しい人たちが死んでいく事。
何よりも戦いに赴く人に「生きて帰ってきて欲しい」と伝える事すら許されなかった時代。
その時代を生き、自分の思いのままに生き抜く事の難しさ。
新島襄に出会い、彼の考え方に触れる事で八重の人生が穏やかになったことを祈ります。 -
著者の小説を久しぶりに読みました。
というのも、近刊はエッセイが多かったので、
まず、久々に菅野さんのお話が読めた!という喜びは一入です。
実在の人物を描いているので、
ジャンルとしては「時代小説・歴史小説」に分類されていますが、
必要最低限な情報で描かれているので、時代小説になじみのない人にも読みやすい作品だと思います。
ただ、史実を知らずに大河の展開を楽しみに見ている方は、
当然のことながら先の展開がわかってしまうので、ご注意を。
私は、著者の描く「こころ」がとても好きです。
自分の心の内にある小さな棘というものを、誰もが持っていると思います。
命をとるようなものではない、けれど消える訳でもない。
誰かに話すようなことではなかなかないけれど、話して、それを赦されたとしても、
自分ではうまく消化できないまま、いつまでも身の内に抱えていくしかないもの。
そういうものを描いてくれるから、私はずっと彼女の作品が好きです。
この作品も、そうだったと思います。
幕末の争いの中で、多くの人が死んで行きます。
会津では、自害した人も多い。
どういう思いで死を選ぶのか、どういう思いで生を選ぶのか。
どちらが正しいのか。
どう受け止めればいいのか。
勝った側と、負けた側。
戦いが終わった後、そこに生まれる複雑な思い。
それが、丁寧に描かれています。
思えば随分長いこと、著者の作品を読んでいる私は、
エッセイに『女に生まれてみたものの』所収の
「寛容を求めて、長州紀行」と「会津紀行」の項を読んでいたので、
今作の発行を知って小躍りするほど嬉しかったです。
上記のエッセイは、会津出身の著者と、長州出身の担当者が、
互いに互いの故郷を訪ねる旅です。
自分が教えられてきた歴史と思い、そして実際に目の当たりにする今の姿、
新しく生まれる様々な思いが描かれています。
そこに描かれていた思いが、今作に繋がっているのでしょう。
素敵な作品です。