レズビアン的結婚生活

  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781611075

作品紹介・あらすじ

それぞれの思春期、周囲との軋轢と孤独そして運命の出会いから試練多きプロポーズを経て、TDR史上初の同性結婚式へと-。二人の軌跡のすべてを、繊細かつビビッドに描く初にして唯一の、コミックエッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • 『ふたりのママからきみたちへ』と同じふたりによる本(マンガはすぎやまえみこ、本文構成は早川ひろみ)。「結婚式がすべてじゃないけど したい人ができないのは やっぱりなんかちがうと思う」(p.12)ふたりの話がこの本には書かれている。

    ▼ただフツーに結婚式を挙げたかっただけなのに、レズビアンの前にはいくつもの壁がありました。(p.5)

    ふたりが女性同士で結婚式をしたいと東京ディズニーリゾートへ問合せの電話をしたとき、当初の対応は「どちらかが異性に見える服装で」「園内にも出ていただくプログラムですので一般のお客様への影響を考えますと…」という、言外に同性同士の結婚式の「悪影響」をにおわせるものだった(表紙カバーのマンガはその場面)。

    「法律がなくても結婚式はできますよね?アメリカのディズニーはできるって聞きましたが」と話をし、アメリカ本社と相談した東京ディズニーリゾートからは「おふたりが希望されていたウエディングドレス同士で結婚式を挙げていただけます」と回答がきた。

    結婚式を挙げるまでのいくつかの事件、これで一緒にやっていけるのかという悩み、もっとさかのぼってふたりが出会うまで、高校生のときには同性愛の話ができる友達がいた小雪の話と、女の子が好きなんて絶対言っちゃだめだ、誰にも言えないとひとりつらい思いをして大人になったひろこの話、親や家族の話などが書かれている。

    両親へのカミングアウト、とくにひろこがフランスへ留学して、やっと自分のことを受け入れだした頃、ひろこ母が留学先にやってきて、ひろこがレズビアンであると知り、「うそでしょ…」「どうして…」とショックを隠しきれなかった、という話のところが印象に残った。

    ▼大学の友人も「よく言ってくれたね」「つらかったでしょ?」
     パリの友人も「いいじゃん」って言ってくれるのに…
     どうしてママは「いいじゃん」って言ってくれないんだろう。
     わかってもらいたくてフランス人の彼女を紹介してみたりしたけれど
     ママも理解しようと一生懸命なのが伝わってくるだけに
     これ以上話すことはできませんでした。
     なんだか心が離ればなれになったまま
     ママは日本へ帰っていきました。(pp.90-91)

    留学を終えて日本に戻ってからも、パリで勉強しながらママの鳴き声を聞き、ママを悲しませてると思ってしまったひろこは、「私のセクシュアリティの話は永遠にNGだ」(p.93)と思っていた。

    それでも、まじめに働き、これからもLGBTの活動をやっていきたい、顔も名前も出すからには親にちゃんと理解してもらおうと、両親に話したとき、ひろこ母は「いいんじゃない?がんばりなさいね」(p.95)と笑顔で言ってくれたのだ。

    あとでわかったのは、パリから帰って「どうしよう…ひろこが…レズビアンて何…?どうゆうこと…」と混乱していたひろこ母を、ひろこ父が説得し続けていたらしいということ。

    ▼「びっくりしたよね」
     「20人に1人はひろこみたいなセクシュアリティを持っているそうだよ」
     「すぐに理解できないママの気持ちもわかる」
     「でもねママ」
     「いろんな人がいて いろんな生き方があって いろんな人生があって」
     「人それぞれいろんな幸せがあっていいんじゃないかな」
     「ひろこ自身がいちばん悩んできたのかもしれないし」(p.96)

    そんな、なにかのお手本のようなひろこ父の説得に、ひろこ母も理解しようと本を読んだり話を聞いたり、時間をかけてゆっくりと理解してくれた、のらしい。

    巻末に、ひろこからこゆきへのメッセージがある。その中の「大切な人が私たちにくれた「共に生きるとは、共にゆるすこと」という言葉を大切にして、ずっと仲よしでいようね」(p.130)というところ、「共に生きるとは、共にゆるすこと」がエエなと思った。

    (7/26了)

  • 「LGBTI差別をなくしましょう!!!」ダイバーシティ推進がウリの自分の会社は意気揚々とそう叫ぶが、実態はよく分からない。そんなときに何となく手に取った本書は本当に分かりやすくためになりました。残念ながら事実婚解消されてしまったが、主人公のおふたりが残したら好影響は大きいとおもう。

  • 2018/06/30読了

  • レズビアンの二人がディズニーで結婚式を挙げるまでの物語です。

    二人とも、過程に問題があったりカミングアウトの際に心に傷を負った過去があります。だからこそつながりも深いし、悩みも多いです。

    軽い絵なのでサクサク読めますが、中身は深いです。嫌われて一人になることを怖がる小雪さん、「私って何者?」と悩み孤独を感じる裕子さん。

    世間一般通りの性自認で、セクシャリティーだとまず考えないことをLGBT当事者は考えなくてはなりません。

    二人の結婚式で友人が中島みゆきの「糸」を歌ってくれたあたり、この歌詞を知っている身からしたら本当に泣きそうです。そして、この結婚式の時の裕子パパのスピーチが本当に素晴らしい!!こうやって考えてくれる人が身近にいるだけでどれ程心強くいられるでしょうか。

    私自身は、男性と法的に結婚して女性の役割(家事とか育児とか出産とか)を押し付けられるのはごめんだ。と思っています。自分は自分でいたいし、それを認めてくれる人と共に在りたいと思っています。

    それを叶えた二人の悠木と行動力を素晴らしいと思います。

  • 返却の棚の中に入ってた本で、なんとなく手にとってみた本です。
    レズとかゲイとか多分全く偏見が無いわけじゃないけど、どういう気持ちで過ごしてるのかなって思う所はあった。
    ただ好きに好きになった人が同性だったって事でなんの問題も無いんだなって素直に思えた。
    男女で付き合っても問題は色々出てくる。同性同士だったら異性よりかなりの大きい課題が出てくるんだなって感じた。私には同性を好きになる感覚が分からないけど、周りでいたら否定せず笑って祝福したいなって思います。

  • 「TDLで初の同性婚」、曖昧な記憶ですが、TVのニュースか何かでリアルタイムに接していた記憶があります。もっとも、その時はLGBT関連の著作を読んだり問題意識をもって取り組んだりということがなかったのでスルーしておりましたが、こうして本にもなったんですね。改めて、東小雪さん、増原裕子さん、ご結婚おめでとうございます。『同性婚のリアル』と合わせてAmazonで購入させていただきました。
    帯のウェディングドレス二人でキスする写真、思わず見とれてしまいますね。読み終わった後も、いろんな友人に「借りていい?」とせがまれ、何かと私の周りでは人気でした。
    さて、早速レビューさせていただきます。

    ひろこ父のスピーチには感動しました。泣きました。本当に、素敵な人たちに支えられているんだなぁ、ということが伝わってきました。

    そして、改めて結婚って何だろう、家族って何だろう、愛し合う関係って何だろうということを考えさせられました。どのカップルでも、結婚前はもちろんのこと、結婚してからもいろいろな壁にぶつかることはあると思います。一つ一つ、ゆっくり越えていかなくてはいけないことでしょう。しかし、なぜ、レズビアンカップルには、同性カップルには、その道が「いばらの道」「壁だらけ」になるのか?そのように感じさせている正体って何だろう?自分たちが暮らしている世界を少しでもよくしていくために、改めて考えていきたいと思いました。

  • 確かニュースで、このお二人見た気が???さらっと漫画にされてるけどとっても大変だったんだろうな って感じです。BLや百合はファンタジーだしね。ご両親が素敵すぎです。

  • 新聞にも載ったようだが、全然知らなかった><
    普通の幸せを得るにも色んな壁がある。
    でも幸せに過ごされているようでほっこり☆

  • 367.9

  • コミックエッセイ。

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