- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781613529
作品紹介・あらすじ
1961年国連にて「開発の10年」が戦略として打ち出されて以来、南北問題は世界全体が注視し、解決すべき喫緊の問題として認識されるようになった。大型の投資と貿易は経済発展の手段としてさかんに取り入れられたが、ほとんどの場合、先進国からの一方通行という性格を帯びていたため失敗に終わる。一方で、小型で単純で安価に導入され、成功をおさめたプロジェクトもあった。本書は、発展途上国の実状と、約50年にわたる貧困との戦いの具体的な実績から、真に有効で持続可能な開発援助の方法を明らかにし、これからのあるべき姿を問う。
感想・レビュー・書評
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発展途上国に援助がいかに困難かがわかる本。国連等の援助組織、援助国(先進国)組織、NGO、被援助国政府のそれぞれの意図が調和せず、膨大な援助額が無駄になるばかりか、被援助国を窮地に追い込んでいるという事実は納税者にとってはつらいものがある。数少ない成功例は被援助者にとって利用可能な技術を提供していること、少ないとも10年に及ぶ長期による支援、試行錯誤を忍耐強く実施していることが必要であることで示している。
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【版元】
貧困を救うテクノロジー
著者:Ian Smillie
訳者:千葉敏生
定価: 3240円(本体3000円+税8%)
ISBN: 9784781613529
発売日: 2015年8月17日
MITメディアラボ 「開発援助」の教科書
イアン・スマイリー(Ian Smillie)
アフリカ、アジアで生活、活動。カナダの開発組織IP(Inter Pares)創設者。1979~83年、CUSO事務局長。1998~2001年、ニューオーリンズ・テュレーン大学非常勤教授。2000年には国連安保理の専門家小委員会委員として、シエラレオネでの違法武器取引とダイヤモンド取引とのつながりを調査した。邦訳された著書に『貧困からの自由』(明石書店)がある。
<翻訳者紹介>
千葉敏生(Toshio Chiba)
翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。主な訳書に『宇宙飛行士が教える地球の歩き方』『デザイン思考が世界を変える』『MITメディアラボ―魔法のイノベーション・パワー』(いずれも早川書房刊)などがある。
<序文執筆>
遠藤謙(Ken Endo)
一九七八年生まれ。義足エンジニア。MIT博士課程時代から一貫してロボット義足の研究を続け、現在はソニーコンピューターサイエンス研究所に所属。為末大らと共に競技用義足を開発する新プロジェクト「Xiborg(サイボーグ)」の代表を務める。ワールド・エコノミック・フォーラムが選ぶヤング・グローバル・リーダーの一員であり、二〇一二年にはMITが発行するテクノロジー・レビュー誌で三五歳以下のイノベーター三五人にも選出。
http://www.eastpress.co.jp/shosai.php?serial=2427
【簡易目次】
目次
序文 私にとって途上国開発のバイブル 遠藤謙
第1部 南北問題で繰り返される失敗
第1章 開発援助の歴史と変遷
第2章 発展途上国の貧困の実像
第3章 先進国の成長戦略への過信
第4章 第三セクターと第三世界
第2部 今、わかっていること
第5章 技術の進化と移転の歴史
第6章 成長戦略に代わる小さいことの価値
第7章 農業、畜産と持続可能な技術
第8章 収穫後の保存・加工技術
第9章 エネルギーと電力の移転
第10章 建築資材と中間技術、その普及と利益
第11章 大量生産と過度な工業化の代替案
第3部 前に進むために何が必要か
第12章 持続可能性、その虚構と現実
第13章 女性と技術に関する展望
第14章 雇用問題と非公式な産業
第15章 グローバル化と適正技術
第16章 技術を適正技術とするために