ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅

制作 : 風来堂 
  • イースト・プレス
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781615820

作品紹介・あらすじ

絶対に行っておきたい悲劇の現場

井出明さん(追手門学院大学教授)、角田光代さん(作家)、下川裕治さん(旅行作家)のインタビューを掲載

■押さえておきたい「歴史の傷痕」を網羅!
アウシュヴィッツ強制収容所、チェルノブイリ原子力発電所、グラウンド・ゼロ、福島第一原発など、世界を震撼させた悲劇の舞台への「巡礼の旅」が今、人気を集めている。また、数々のジャーナリストや評論家なども現地を訪れ、その論考にも注目が集まっている。実際に現地を訪れると、悲しみや嘆き、狂気、ユーモア、強さなど、さまざまな感情が入り交じる空気に触れることができる。不幸な歴史の記憶を後世に伝えるために訪れておきたい、世界と日本の81カ所を網羅した入門書。

【目次】
インタビュー 井出 明(追手門学院大学教授)

Part1 日本篇(福島/三陸海岸北部/連合赤軍山岳ベース/御巣鷹の尾根/長島愛生園/豊後森機関庫/三毛別/八甲田山/三宅島/クブラバリ/陸軍丹賀砲台園地/原爆ドーム、平和記念公園/アブチラガマ/大久野島/伊江島/旧海軍司令部壕/その他16カ所)

Part2 欧米篇(ベルリンの壁/チェルノブイリ、プリピャチ/アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所/ソロヴェツキー修道院/ベーリッツ・サナトリウム/マンザナ日系人強制収容所跡/北キプロス・トルコ共和国/ポトシ銀山/その他16カ所)

インタビュー 角田光代(作家)

Part3 アジア・アフリカ篇(タンザニア/ムランビ虐殺記念館/キリング・フィールド/ヤド・ヴァシェム/チッタゴン/チベット人難民コロニー/その他16カ所)

インタビュー 下川裕治(旅行作家)

感想・レビュー・書評

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  • ブクログのおすすめで知った本。
    教科書では事実として載っていた内容でも現地に足を運んで方々が取材して書くと、本当に込み上げてくるものがあります。

    日本人はどちらかというと「臭い物には蓋をする」傾向があると思います。今のネット社会ではいくらでも情報のアクセスが可能なので、だからこそ未来へ繋げていくために正確な情報を伝えていく必要があると思いました。

  • そもそもダークツーリズムというもの自体が、人間の暗部、悲劇にわざわざスポットライトを当てる悪趣味なものだとして敬遠される見方が日本にはまだありますが、欧米では近年盛んに研究されているんですね。これはまず欧米人の根底にある考え方、キリスト教の原罪「人間はそもそも罪深きもの」があるのではないかと、そして反対に日本ではルーズベネディクトが「菊と刀」で示したように「恥の文化」があるからこそ流行らないのではないか、と考えました。
    個人としてはこういう人間の負の遺産というべきものは文化的価値があると思いますので、いずれ機会があればこの本で紹介されていたいくつかには行ってみたいと思います。

  • 978-4-7816-1582-0
    C0076¥1500E.

    ダークツーリズム入門
    日本と世界の「負の遺産」を巡礼するたび
    2017年9月29日 第1刷発行

    編者:風来堂
    発行所:株式会社イーストプレス

    -----------------カバー袖より
    アウシュヴィッツ強制収容所、チェルノブイリ原子力発電所、グラウンド・ゼロ、福島第一原発等、世界を震撼させた悲劇の舞台への「巡礼の旅」が今、人気を集めている。また、数々のジャーナリストや評論家なども現地を訪れ、その論考にも注目が集まっている。実際に現地を訪れると、悲しみや、嘆き、狂気、ユーモア、強さなど、様々な感情が入り混じる空気に触れることができる。不幸な歴史の記憶を構成に伝えるために訪ねておきたい、世界と日本の81か所を網羅した入門書。-------


    下川裕治氏の名前を見つけて、興味を持ち、みることにしました。
    開く前は、石見銀山とか、佐渡金山とか、鉱山関係のものが有るといいなと思いました。

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    ダークスポットに限らず、日本中、世界中、ネットで垣間見ることはできる。
    でも現地の音、におい、湿度、風、そこに居る人たちの雰囲気などは知ることが難しい。今は海外どころか国内も旅行どころか外出が難しい。

    近代につながる歴史が無ければこの本に取り上げられる条件には合致しないという。
    また、合致していても誌面の都合もあるだろう。私の見たかった鉱山関係のものは無かったが、知らないこともたくさんあった。

    先日読んだ「砂糖の世界史」という岩波ジュニア新書で「奴隷にされた黒人」という
    その事実が(学生の頃は習ったはずだけど、リアルに想像できなかったもの)脅威だった。この本にはコンゴからザンジバルまで奴隷が歩いた1000㎞ タンザニアの記事があり、心が落ちているときは読めなほどのものだった。西航路で売られる奴隷たちはアメリカ(カリブ海)のプランテーションへ。このタンザニアから売られる奴隷たちはアラブ諸国、インド、モーリシャスなどの島々へ運ばれた。東側で奴隷貿易を行っていたのはアラブ人だったため奴隷狩りは1900年代まで続いたという。
    戒律により同じイスラム教徒は奴隷にできないため内陸のコンゴでとらえてきておよそ1000キロの道のりを歩いた。現在は鉄道、自動車バスでたどることができる。東京から門司のあたりまで、東京大阪往復位の距離を歩く。朝から晩まで3か月かかる。男も女も子どもも。港に着くころは半分になっているという。その人たちがプランテーションにかかわったかは書かれていないが、黒人奴隷というワードでつながった。

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    この本にはアイコンがついていて
    虐殺・戦争・災害・核・差別・貧困 この6種類に分類されている。
    このうち災害は津波、地震、の自然災害(このほか事故、公害、疫病の被災地もふくむ)が、これ以外の5つは最初は人間の心の中にあったものじゃないかな・・・とも感じた。

  • 旅行先で一切楽しい気分にならない場所に行く人の気持ちがよく分からなかったが、負の歴史を記憶に残すということはより良く生きるための覚悟の表れかもしれない。
    特に「虐殺」の項目は読むだけでも気合が要る。あとは、片岡恭子さんの文がやたら頭に残る。「黄金の玉座に座る乞食」ボリビアとか、「インドにはマサラ味のものしかない」とか…。

  • ・連合赤軍のベース(栃木)、日本航空の墜落地(群馬の尾根)、ハンセン病患者隔離施設(岡山)、毒ガス工場(広島)…
    ・キリング・フィールドだけは行ったけど、確かにこういう世界線があるんだ、ということを体得する意味はあったな…
    ・ツーリズムというポップな言葉にはしてるけど、意味はありそう。
    ・子連れでひめゆりの塔行ったときも割と説明大変だったな…

  • 目次を見る限り、本当に書かなければならない場所や出来事が欠落しているなという印象があった。そこについて書かない限りは薄っぺらなものにしかならないだろう。

  • 以前読んだことのある内容だった。
    他の本の採録? なのかな。
    アウシュヴィッツなどが分かりやすいが他にも戦争、差別、貧困、核などに分けて実際に行ったところのルポタージュがメインの本。
    人類の負の部分が強い遺産。
    エルサレムが対象になってるのが意外だった。

  • 人間の営みについてまだまだ知らないことがたくさんあるなと思えた本。特にアジア、アフリカ。近現代史はまだまだ知識不足。

    気づき
    ・タンザニアslave road
    コンゴからザンジバルまで奴隷が歩いた1000キロ
    ・ムランビ虐殺記念館
    1994年ルワンダ虐殺と内戦80万人死亡
    ・キリングフィールド
    ポルポト政権下で200万人が処刑拷問餓死
    ・チッタゴン
    船の墓場

  • ダークツーリズム…戦争や災害をはじめとする悲劇の記憶を巡る旅で、基本的に近代に通じる問題を含む場所(そのためピラミッドなどは含まれない)。代表的な場所としてアウシュビッツ、チェルノブイリ、日本では原爆ドームなどが挙げられる。

    井出明さんによるコラムを皮切りに、1.日本篇(15箇所)、2.欧米篇(8箇所)、3.アジア・アフリカ篇(6箇所)にわけて各ツーリズムスポットを4~8ページで紹介されます。途中には角田光代さんと下川裕治さんのコラムが各8ページ掲載されています。

    多数の執筆者により構成されており、読んでいて引き込まれる報告もありますが、数合わせのように感じられるものも少なくなくありません。どちらかと言えば全体で半数以上を占める日本篇より海外篇のほうが興味深く読めました。全体として掲載されている写真が精彩を欠いており、ツーリズムスポットを紹介するためには重要な要素であるため残念に思いました。

    扱われているなかで印象に残ったツーリズムスポットは、ルワンダのムランビ虐殺記念館です。

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著者プロフィール

風来堂:編集プロダクション。国内外問わず、旅、歴史、アウトドア、サブカルチャーなど、幅広いジャンル&テーマで取材・執筆・編集制作を行っている。バスや鉄道、航空機など、交通関連のライター・編集者とのつながりも深い。編集した本に『秘境路線バスをゆく(全8作)』『“軍事遺産”をゆく』『地下をゆく』(イカロス出版)、『攻防から読み解く「土」と「石垣」の城郭』(実業之日本社)、『路線バスの謎』『ダークツーリズム入門』『国道の謎』『図解 「地形」と「戦術」で見る日本の城』『カラーでよみがえる軍艦島』(イースト・プレス)、『ニッポン秘境路線バスの旅』(交通新聞社)、『2022年の連合赤軍 50年後に語られた「それぞれの真実」』(深笛義也著、清談社Publico)、『日本クマ事件簿』(三才ブックス)などがある。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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