歌舞伎町はなぜ<ぼったくり>がなくならないのか (イースト新書)
- イースト・プレス (2016年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781650708
作品紹介・あらすじ
風俗店や飲食店が密集する日本一の歓楽街、新宿区歌舞伎町。時に社会問題としてクローズアップされる、この街のいかがわしさを象徴する存在が、客引き≒ぼったくりである。ぼったくり防止条例や風適法で規制されているにもかかわらず、なぜぼったくり行為はなくならないのか。法律や警察の取り締まりの効果が期待できない構造を解明すると、そこには店舗がいくら入れ替わっても歌舞伎町が歌舞伎町として再生産される構造が浮かび上がってくる。若き社会学者による、はじめての「歌舞伎町学」入門。
感想・レビュー・書評
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学生時代慣れ親しんだ東京都新宿区歌舞伎町。その地ににおいてなぜいまだ客引きからのぼったくりがなくならないのか。社会学者である著者が真面目に分析する。法や規制があるのになぜ?歌舞伎町を歌舞伎町たらしめる歴史的背景、客引きの存在を生む町の仕組みの解説は腹落ち。2020年までに日本国はこの事象を消滅させる意思があるのか、存続させる必要悪とスルーするのか。4年じゃ変わらないか。
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■本番強要の一因として考えられ得るほどに日本の風俗産業が理解の難しい対象であるということの方が重要である。なぜなら,そうした「謎」として風俗産業が存在するからこそ,そのぶん客引きの需要が高まっているからだ。
・ぼったくり現象の一旦は風俗産業の「謎」と明らかに結びついている。
・どのようなサービスが可能性として在り得るのかが不透明であることと,料金が不透明であることとは無関係ではない
■なぜぼったくりをしない人々がいるのか。
①ほかの売り手が同一(ないし類似)の財(ないしサービス)をより安く売るから。
②中長期的に取引を継続したいから。
③法の執行を恐れるから。
・風俗産業はこれらの条件がいずれも相対的に不十分
①ほかの売り手が提供しているサービスの同一性ないし類似性が低い。
②風俗産業は強くスティグマ化されており営業者が中長期的に取引を継続するインセンティブに相対的に欠ける。従業員の就労も不安定で流動的。
③法執行は効果的に行われていない。 -
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