- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783725015
作品紹介・あらすじ
絶望と至高の苦悩の裡に、人生への醒めたまなざしを秘めたディキンスン。生前一冊の詩集も出さずに死んだ彼女の詩篇が、20世紀に復活した魅力を、この一冊に凝集。
感想・レビュー・書評
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「生前には1冊の詩集すら出版されることはなく」「女性詩人の原型」という惹句で手にした本。
ただし、英米詩どころか詩自体に詳しいわけでもないし、そもそもこの詩人のこともな~んにも知らない (^^;) ので、①解説②詩人論③作品の順に読んでみた。
…ところが①②ともよく分からず。①は訳編者によるものだけど、「作詩者エミリー・ディキンスンを主人公にした劇作があること」「ミクロコスモスとマクロコスモスの対比が作風の特徴」「(自身を含め)複数の訳者の翻訳を収録したのは、訳者による語感の違いを味わってもらうため」しか分からんかった。
②にいたっては、冒頭に「偉大な詩は、特に難解な面を持つ必要はない。」とあるが、皮肉なのかこの評論は難解である。分かったことは、ディキンスンの詩はピューリタニズムに裏打ちされていることくらい。
そして、核心の③。これもやはり難解…。生前に出版されていないので、各作品にタイトルはなく、番号が付いている。また、複数の訳者のうち、訳編者の新倉のものが大半を占める。
作品番号400番台前後~900番台あたりは、何かに憑かれたように抽象的・観念的で、現実感・生活感はほとんど感じられず、理解もできないので、俺には心に刺さりにくい。「こまどり」「蜜蜂」「塵」「花」などの自然に関する頻出ワードが、「死」「墓」などの宗教的・観念的な頻出ワードのメタファーとかになっているのかもよく分からない。
これが1000番台あたり以降になると、憑き物が落ちたかのような、何か精神的に開けた風になって、少し馴染みやすくなった。
別の訳者・岡隆夫になると、基本女性ことばになるのでガラッと印象が変わるのが面白い。岡訳には新倉訳にあった抽象性・観念性が比較的薄く、日本語も分かりやすいのでとっつきやすい。両方を読んで比較すると、味わいの違いに大差があるのがよく分かるが、原著者の精神的な位置がどこにあるのか分からなくなる感が-。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
4.35/112
内容(「MARC」データベースより)
『詩と真実に献身し、絶望と至高の苦悩の裡に人生への醒めた眼差しを秘めたディキンスン。生前一冊の詩集も出さず、20世紀に入って女性詩人の原型として復活した彼女の詩篇から235の作品を収録。』
著者:エミリー ディキンスン ( Emily Dickinson )
訳者:新倉 俊一
出版社 : 思潮社
単行本 : 160ページ -
時折、思いつきに、気まぐれに、ページを繰って、そこの詩を読む。
自分でも気がつかない悩みを発見したりする。
その偶然をしばらく楽しんでいます。