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- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783822264
感想・レビュー・書評
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著者である大野晃先生は、「限界集落」という概念を提唱した。
提唱されたのはずっと前だけれど、
近年改めて、中山間地域の問題の全体像を整理している本。
限界集落という概念・定義、実情が明快に示されていて
基本を押さえるのに、よい本。
この本が良いと思う理由として、
「なぜ集落の消滅はいけないのか」
「なぜ過疎は問題なのか」
という疑問に対して、明快に回答している点。
その回答は、「多面的機能」といったあいまいな逃げ口上でなく、
ずばりシンプル。
山(=過疎地)と下流側の都市(都市部)は、川を介して密接に結びついている。
例えば、自然災害において、山地(一度人工造林された森林)の荒廃は、河川への土砂堆積をもたらし、平野部での河川氾濫につながる。
だから、上流の山(=過疎地)と下流の川(=都市)は連携し、相互に支援すべきだ、との考えだ。
また、本書では述べられていないが、経済的な循環ということでも、山地と都市の循環は今後重要となる。日本でのエネルギー消費はほとんどが化石燃料であり、その支出は地域外、海外に流出してしまっている。これを、山地の森林の木質バイオマスや小水力発電等により賄えば、現金は地域内、少なくとも隣接地域内にとどまり、経済循環を取り戻すことができる。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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