- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784784515660
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
『支配の政治理論』
編著:田上 孝一
版型:A5判 並製
頁数:270頁
定価:本体2400円+税
ISBN:978-4-7845-1566-0
2018年12月刊
“政治支配”をめぐる思想史的解明と現代における社会思想的分析。
〈https://www.shahyo.com/?p=5608〉
【目次】
序文
第I部 政治支配の思想史
第1章 プラトンの支配論──魂への配慮としての政治[隠岐-須賀麻衣]
はじめに
1. 何のための「政治」か
2. 魂への配慮
3. 支配の理論
3–1. 哲学と政治的権力の統合:『国家』の場合
3–2. 法による支配:『法律』の場合
3–3. 二つの支配の交差
おわりに
第2章 マキァヴェッリの支配論──その近代性に関する若干の指摘[村田玲]
はじめに
1. 僭主政治の教説
2. 教会権力の問題
3. 喜劇の誕生
おわりに
第3章 スピノザの支配論──個人・社会・国家の安定化機能としての宗教[服部美樹]
はじめに
1. 最高権力形成──自然的結合と社会契約論
2. 宗教の意義と機能──服従の教えと喜びの感情の増大
3. 国家の基礎にして庶民の社会倫理としての啓示宗教
4. 各政体と教会制度
おわりに
第4章 アダム・スミスの支配論──支配を必要としない社会のしくみを描く[玉手慎太郎]
はじめに
1. 本章の課題
2.『国富論』について
2-1. 分業
2-2. 分業と市場
2-3. 分業と自然調和
2-4. 政府と支配
3.『道徳感情論』について
3-1. 同感
3-2. 同感と自然調和
おわりに
第5章 J.S. ミルの支配論──政府の強制的介入を通じた幸福の最大化[小沢佳史]
はじめに
1. ミルの功利主義と危害原理
2. 帝国内の属国の人々に対する支配
2-1. 非文明的属国
2-2. 文明的属国
3. 自国の人々に対する支配 (1) ──歳出面
3-1. 未成年者への教育
3-2. 軍隊による治安の維持
4. 自国の人々に対する支配 (2)──歳入面(見せびらかしの消費と飲酒への政府介入)
おわりに
第6章 マルクスの支配論──生産力の制御とゲノッセンシャフト[田上孝一]
はじめに
1. 常識イデオロギーによる支配
2. 支配の本質
3. 被支配者による支配構造の再生産
4. 支配の原因としての分業
5. 愛を原理とするゲノッセンシャフト
おわりに
第7章 ニーチェの支配論──「力への意志」における支配概念の考察[飯田明日美]
はじめに
1. 奴隷道徳の発生史
1-1. 二千年前の善悪の基準
1-2. キリスト教道徳という「奴隷道徳(die Sklaven-Moral)」の発生
2. 奴隷道徳批判
2-1. ニヒリズムという病(奴隷道徳の育成した人間)
2-2. 弱者の自己欺瞞
3.「力への意志」と支配
3-1.「力への意志」とは即ち支配を求めること
3-2.「支配」の具体像
おわりに
第8章 ベルクソンの支配論──社会的抵抗の目的と動機[斉藤尚]
はじめに
1.『試論』における自由な行為
2. 自由な行為の政治的・経済的意義
2-1. 内的自由の維持としての自由な行為
2-2. 社会抵抗としての自由な行為
①政治的な抵抗の可能性
②経済的な抵抗の可能性
③新たな疑問点
3. ベルクソンと実践
4. 社会的抵抗の道徳性
おわりに
第9章 フランクフルト学派の支配論──〈支配の理性〉と〈支配批判の理性〉[楠秀樹]
はじめに
1.「フランクフルト学派」とは何か?
2.〈 支配の理性〉
2-1.『第三帝国前夜のドイツの労働者とホワイトカラー─その社会心理学的研究─』(1929)──プロレタリアートの統合と知識人の孤独
2-2.『権威と家族』(1936──小なる権威から大なる権威へ
2-3.『権威主義的パーソナリティ』(1950) と『啓蒙の弁証法』(1947) ── 悲観的支配論
3.〈支配批判の理性〉
3-1.『公共性の構造転換』(1962)──第一世代から第二世代において継続する悲観的支配論
3-2.『イデオロギーとしての技術と科学』(1968)──システム支配に対する生活世界の視点
おわりに
第II部 政治支配と現代
第10章 リベラリズムと支配──ロールズのリベラリズムと非支配としての自由[宮本雅也]
はじめに
1. 積極的自由と消極的自由の二分法
2. 多元主義とロールズの正当化を重視するリベラリズム
3. 正当化を重視するリベラリズムと非支配としての自由
おわりに
第11章 コミュニタリアニズムと支配──公・私・共の三領域とその緊張関係の擁護[奥田恒]
はじめに
1. 応答するコミュニタリアニズムとその背景
1-1. アカデミック・コミュニタリアニズム
1-2. 応答するコミュニタリアニズム
2. 二つの支配への抵抗
2-1. 個人主義批判
2-2. 保守主義との異同
2-3. 自律と秩序のバランス
3. コミュニタリアニズムと政府・町内会関係
3-1. 町内会の基本的特徴
3-2. 緊張関係の維持と「伝統による支配」
おわりに
第12章 功利主義と支配──リバタリアン・パターナリズムの擁護論から[木山幸輔]
はじめに
1. 功利主義とは何か
2. リバタリアン・パターナリズムとは何か
3. 功利主義とリバタリアン・パターナリズム
3-1 リバタリアン・パターナリズムを擁護する功利主義?
3-2. J・S・ミルとリバタリアン・パターナリズム
3-3. P・シンガーとリバタリアン・パターナリズム
4. リバタリアン・パターナリズムの功利主義的擁護論への批判:功利主義と支配
4-1. リバタリアン・パターナリズムとそれを用いる援助構想への支配に関連する異論
(a) 統治の目標における支配:目指される福利についての共約不可能性?
(b) 統治者と被治者の関係における支配:統治者の能力と被治者の無能?
(c) 統治行為の支配化:独創性の妨げとなる心的態度?
4-2. 支配に関して再照射される功利主義とそのありうる応答
おわりに
第13章 グローバリゼーションと支配──植民地主義の悪性を題材として[福原正人]
はじめに
1. 植民地主義それ自体の悪
2. 実際の同意
3. 適格な受容可能性
4. グローバルな支配関係
おわりに
第14章 バイオテクノロジーと支配──フーコーの司牧権力の観点から[三羽恵梨子]
はじめに
1. バイオテクノロジーと医療をめぐる支配関係
2. インフォームド・コンセントの考え方の発展
3. フーコーの司牧権力論
4. インフォームド・コンセントはいかにして専門家支配への抵抗でありえたか
5. ヘルスプロモーション
おわりに
第15章 支配の経済学──自由な経済学における二重の支配[笠井高人]
はじめに
1. 自由な経済学
2. 経済学による支配
3. 支配された経済学
おわりに
第16章 支配の社会学──ウェーバーの支配論[宮崎智絵]
はじめに
1. ウェーバーにおける支配の概念
2. 支配の三類型
2-1 合法的支配(legale Herrschaft)
2-2 伝統的支配(traditionale Herrschaft)
2-3 カリスマ的支配(charismatische Herrschaft)
3. 支配の正当性
4. ウェーバー支配論の意義
おわりに
第17章 支配の神学──無支配を目指す未来学[福嶋揚]
はじめに
1. 神学とは何か
2. 聖書における「支配」
3.「主」「全能」「力」
4. 社会倫理的に見た「支配」
4-1. 国家と資本への対抗運動としてのバルト神学
4-2. 柄谷行人の交換様式論
4-3. 交換様式論とキリスト教
おわりに─未来学としての神学
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311||Ta
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