何かが後をついてくる

著者 :
  • 青弓社
3.86
  • (1)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 66
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787220769

作品紹介・あらすじ

後ろに誰かいる気がする、何か音が聞こえる、誰もいないはずなのに気配を感じる……。

妖怪は水木しげるによって視覚化され、いまではキャラクターとしていろいろなメディアで流通している。他方、夜道で背後に覚える違和感のように、聴覚や触覚、嗅覚などの感覚に作用する妖怪はあまり注目されてこなかった。

日本や台湾の説話や伝承、口承文芸、「恐い話」をひもとき、耳や鼻、感触、気配などによって立ち現れる原初的で不定形な妖怪を浮き彫りにする。ビジュアル化される前の妖怪から闇への恐怖を思い出すことで、私たちの詩的想像力を取り戻す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 五感から生まれる妖怪について書かれてる。べとべとさんなど、確かに!と思えるものも多くて楽しかった。妖怪を知ることがさらに楽しくなる。台湾の妖怪事情も興味深い。

  • 妖怪に関して、言語化(文字のあるなしも含めて)やビジュアル化等、身体感覚の側面から分析していく。
    序盤で『「味わう」妖怪は少ない」』との記述があり、少ないということはあるということだろうと思って考えてみたがタンタンコロリンですね。あれは味がする…。
    1章で、マクルーハンのメディア論に基づき聴覚優位の時代と視覚優位の時代の妖怪について考察されていたので興奮した。マクルーハン…進研ゼミでやったところだ…。
    本来姿を持たない妖怪までビジュアル化してしまうのは私はいかがなものかと思っていたのだけれど、著者は寛容な姿勢。見習いたい。

  • メモ
    知らない事象に名前がつく→妖怪として認知される。枕返しと座敷童(座敷童も枕を返す)の関係性。

    人間社会の文化の底知れぬ楽しさよね。

  • 「妖怪」について、身体的イメージ、またその視覚化・キャラクター化を、台湾をはじめとするアジア諸国と比較を交えつつ論じた一冊。
    後半は「妖怪」という概念が薄い・日本的な(外国的な・レトロな?)ものとしてとらえら得ている台湾における「妖怪」や類似の概念に対して、いかに捉えるか――共時的なものとしてではなく、歴史や民族問題・社会問題を含めた通時的な要素が絡み合う中で、まさに今展開している状況を論じている点が興味を引いた。

  • タイトルに魅かれて、手にした本。

    かなり専門的な、学術的な本だった。

    「妖怪」を真面目に研究して、できた本。

    柳田 國男、水木しげる、などの話は楽しかった。

    台湾にまつわる妖怪の話では、
    「千と千尋の神隠し」のアニメを思い出した。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50125134

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1972年、北海道生まれ。國學院大學文学部教授。専攻は伝承文学。著書に『江戸の俳諧説話』(翰林書房)、『ツチノコの民俗学――妖怪から未確認動物へ』『江戸幻獣博物誌――妖怪と未確認動物のはざまで』『ネットロア――ウェブ時代の「ハナシ」の伝承』『何かが後をついてくる――妖怪と身体感覚』(いずれも青弓社)、『怪談おくのほそ道――現代語訳『芭蕉翁行脚怪談袋』』(国書刊行会)、『ヌシ――神か妖怪か』(笠間書院)、共著に『現代台湾鬼譚――海を渡った「学校の怪談」』(青弓社)、『恋する赤い糸――日本と台湾の縁結び信仰』(三弥井書店)、編著に『福島県田村郡都路村説話集』(私家版)、共訳に尉天驄『棗と石榴』(国書刊行会)など。

「2023年 『怪談の仕掛け』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊藤龍平の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×