怪談の仕掛け

著者 :
  • 青弓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787292742

作品紹介・あらすじ

近年、怪談会や怪談イベントが人気を集め、怪談の動画コンテンツも盛んに配信されるようになっている。なぜ、今も昔も、恐怖を感じさせる怪談は人を引き付けるのか。そもそも、怪談を怪談たらしめているものは何なのか。

怪談の基本を声の文化として捉え、怖がらせたい語り手と怖がりたい聞き手の関係性のなかで生成する怪異をめぐる話として怪談を位置づける。そして、悲話、笑い話、猥談、落語、童話、ネットロア、予言譚、実話など、様々な話を成立させる仕掛けと怪異的な要素の関係を読み解くことで、怪談のメカニズムを浮き彫りにする。

話し手と聞き手の共犯関係や特定の感情を呼び起こさせる話の型・装置に着目して、「怪談とは何か」「怪談と恐怖の関係とは何か」を明らかにする。

【目次】

序 章 怪談とは何か
第1章 子育て幽霊の気持ち――悲話「夜泣きお梅さん」
コラム1 わが家の怪談
第2章 お岩さんと愉快な仲間たち――笑い話としての「四谷怪談」と「皿屋敷」
コラム2 笑い話「牛の首」
第3章 逆立ちする狐狸狢――猥談「下の口の歯」など
コラム3 コテボウズはいるか
第4章 人を溶かす草の話――落語『そば清』
コラム4 「リンゴ食べていい?」
第5章 優しい幽霊たちのいる墓場――鄭清文の童話「紅亀粿」
コラム5 思い付き的「羅生門」論
第6章 スマホサイズ化される怪談――ネットロア「きさらぎ駅」
コラム6 「小さいおじさん」考
第7章 流行神はコロナのなかに――予言譚「アマビエ」
コラム7 ある「研究者」の会話
第8章 怪異は、解釈されたがる――実話怪談集『新耳袋』
コラム8 「かさね」のその後
あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 怪談の何が怪談を怪談たらしめているかということを中心に、オーソドックスな怪談のみならず、猥談や悲話、ネットロアや実話怪談についての評論をまとめた本。それぞれの章、発表した年が違うこともあって全体としてのまとまりはそれほどでもないのだが、豊富な注からもわかるようにしっかりした作りではあり、なおかつ読み物としても楽しむことが出来る。怪談が一つのジャンルとして確立していることを実感。

  • 口承文芸を専門とする民俗学者による「怪談」関連の論文集。どれも面白かったがネットロア「きさらぎ駅」について述べた「スマホサイズ化される怪談」が特に興味深かい。過去の体験を語る実話怪談と異なりリアルタイムで進行していく点への注目などなるほどなぁと思った。おまけのコラム記事も良い。
    他の本も読んでみたいと強く思わせる内容。

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著者プロフィール

1972年、北海道生まれ。國學院大學文学部教授。専攻は伝承文学。著書に『江戸の俳諧説話』(翰林書房)、『ツチノコの民俗学――妖怪から未確認動物へ』『江戸幻獣博物誌――妖怪と未確認動物のはざまで』『ネットロア――ウェブ時代の「ハナシ」の伝承』『何かが後をついてくる――妖怪と身体感覚』(いずれも青弓社)、『怪談おくのほそ道――現代語訳『芭蕉翁行脚怪談袋』』(国書刊行会)、『ヌシ――神か妖怪か』(笠間書院)、共著に『現代台湾鬼譚――海を渡った「学校の怪談」』(青弓社)、『恋する赤い糸――日本と台湾の縁結び信仰』(三弥井書店)、編著に『福島県田村郡都路村説話集』(私家版)、共訳に尉天驄『棗と石榴』(国書刊行会)など。

「2023年 『怪談の仕掛け』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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