クロエへの挽歌 (新樹社ミステリー)

  • 新樹社
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787585707

感想・レビュー・書評

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  • つねに腰が引けてるという点で、この『クロエへの挽歌』に登場する探偵キャンピオン氏はかなり風変わりな存在といえる。

    劇場と劇場をめぐる人々による群衆劇。『クロエへの挽歌』はそうした体裁をとっている。生気には乏しいが、誰よりも人間観察に長けた探偵は、彼らが発する膨大な情報をひたすらインプットしてゆくことで、事件の背景にあるみえない相関関係をゆっくりゆっくりと可視化してゆく。登場人物が多く、探偵に目を見張るような闊達さがなく、おそらくそれゆえにドラマに起伏が乏しいという点で、あるいはこの小説は読者を選ぶかもしれない。けれども、人間を描くことで事件の本質を描くという作者の手法にハマりさえすれば、淡々とした筆致のむこうに、ロバート・アルトマンの映画にも匹敵する〝コク〟を感じることもできるにちがいない。

  • キャンピオン氏シリーズ、私は4冊目。時系列では前に読んだ2冊の長編の間に入るのか。傍観者であるべき探偵役が事件関係者に恋して苦悩するんだけど、とっっても奥ゆかしいので好感。出てくるキャラ達が今回もウザ面倒くさくて面白いです。

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著者プロフィール

本名マージェリー・ルイーズ・ヤングマン・カーター。1904年、英国ロンドン生まれ。別名マックスウェル・マーチ。文筆家の家系に育ち、16歳で長編小説を書き上げる早熟の天才ぶりを見せ、1923年に冒険小説"Blackerchief Dick"を発表、27年には犯人当ての長編ミステリ「ホワイトコテージの殺人」を新聞連載している。"The Crime at Black Dudley"(29)に端役で登場したアルバート・キャンピオンは"Look to the Lady" (30)以降の作品でシリーズ探偵となる。映画化された「霧の中の虎」(52)や英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞の次点長編「殺人者の街角」(58)など、数多くの長短編が書かれた。66年、シリーズ19作目の長編"Cargo of Eagles"を執筆中に死去。同作は夫フィリップ・ヤングマン・カーターによって補筆・完成された。

「2023年 『ファラデー家の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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