- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787722003
作品紹介・あらすじ
今からなのだ、と思う
生き行くためのことばの杖
韓国語で、愛は사랑(サラン)と言い、人は사람(サラム)と言う。そして人の生そのものを삶(サルム)と呼んでいる。この世界の成り立ちと、この世界をひきうけていかざるを得ない人間にとって、何よりもかけがえのない愛、人、生、という言葉が、사(サ)‐ㄹ(ル)という同じ音から始まっている。同じ音でとらえずにはいられなかった祖先たちの思いを、私は信頼し、尊敬したい。そして同じ音が繰り返される中で、言葉そのものにためこまれてきた力、としか言えない何かを、これからも確かめ続けていきたい。
——本書より
三メートルもの長さの白いスゴンはあの世とこの世を結び、生き行く者たちの長寿を祈るという願いがこめられているのよ、と姉は教えてくれた。没後三十年がたって、姉のエッセイ集が発行される。ああ、ここで姉のことばはまた生まれ変わることができた。
——李 栄「姉・李良枝のこと」より
没後30年。37歳で亡くなった芥川賞作家の初エッセイ集。日本と韓国のはざまを生き、ふたつの民族性の間で引き裂かれる若き日の苦悩や、韓国に留学し伝統的な踊りや音楽をまなび、ひとりの女性として自身をみつめる珠玉の文章。妹の李栄さんが姉の最後の日々を綴ったエッセイも併録。
感想・レビュー・書評
-
今更ながら李良枝さんが、私の故郷に程近い町で生まれ育ったことを知る。田舎で閉鎖的な地域だったので悩みは多かっただろうと想像はしていたが、彼女の葛藤は私の想像を遥かに超えていた。
-
914.6
妹の手記も
https://books.j-...
https://books.j-cast.com/topics/2022/06/18018421.html