尾崎翠―『第七官界彷徨』の世界 ―(女性作家評伝シリーズ 5) (女性作家評伝シリーズ 11)
- 新典社 (2005年3月25日発売)
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感想 : 1件
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- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787973054
作品紹介・あらすじ
尾崎翠の内面への思考の旅が、彼女にとっての「東京」という都市や、上落合という場所の意味を浮かび上がらせ、孤独な夢想者の貌を甦らせる。ジェンダー文化外部への危険な越境者のモダニズム世界を発見する、魅力的な評伝エッセー。
感想・レビュー・書評
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尾崎翠は生涯引き裂かれた内面を持ち続けたのだと、私は思う。彼女の執筆への断念を、薬を飲み、神経を痛めつけてまでも書き続けた苦しみから開放されて、ほっとしたのでは、と思う気持ちもある。しかし、尾崎翠は「書くこと」と「生きること」との間の亀裂を、生きることを選ぶことによって解消したのではなかった、と思う。それは、一度その深い淵を見てしまった者の内面に生じた分裂は、どちらかを選ぶことによって解消されるというものではないからだ。そして創作こそがその断絶を垣間みさせると同時に、唯一超えていくことのできる道だからだと思う。(あとがき)
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