属人思考の心理学―組織風土改善の社会技術 (組織の社会技術3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788509887

作品紹介・あらすじ

続発する大企業、官公庁の不祥事や事故隠し。その背景には、属人思考の組織風土がある。では属人思考とは何か?どう克服するか。

感想・レビュー・書評

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  • 大規模な不祥事は、組織の意思決定エラーにより起きる。

    では、組織の意思決定エラーは何によって起きるか。それが属人的組織風土であり、是々非々ではなく、人により判断がなされる度合いが強い組織風土をいう。

    そして、組織を構成する個人の属人化度、組織の属人化度を測定するチェックリストもついている。それだけでなく、自分がどういうタイプか、組織がどういうタイプかを見極めた上で、組織の中でどう行動するかも示してくれている。


    とかく、属人化度が低い人間は、属人的組織風土の色濃い企業では生きづらいはず。そんな人への励ましの言葉まである本書は、広く企業人に読まれてほしい一冊。

  • 属人風土が強い組織では組織的違反が多く行われ。組織的違反を防ぐためには、組織風土を改善し、属人思考を低くする必要があることを実証した研究成果をまとめた一冊である。
    属人風土とは、提案や発言の当否の判断が、発言者が誰かということによって大きく変わる風土である。
    JCO臨界事故等の不祥事の事例を挙げて、属人風土が組織に甚大なダメージを与えることが解説されている。また、簡単なアンケートに答えることで、自分自身の属人度や自身が所属する組織の属人度を確認することもでき、非常に参考になる。
    属人風土を改善することはトップリーダーの責務であり、トップリーダーにしかできないということが、中間管理職の役割との比較で論じられており分かりやすかった。
    現在トップの地位にある人はもちろん、将来、組織のトップを担うこととなるミドル層にこそぜひ読んでいただきたい一冊である。

  • 会社ぐるみの不祥事や事故は何故起きるのか、属人思考をキーワードに読み解いていく。

    「能力がある人より、気に入られた人が出世する」「上の言いなりで、現場は意見が言えない」「提案されたアイデアの内容ではなく、提案者で採用されるかが決まってしまう」

    これらは属人思考の特徴です。不祥事の度に言われる「風通しが悪い」というヤツです。それがちゃんと定義されて研究されるのが気持ちいい。

    組織に属する人(会社員)向けの本です。特に地位の高い人は、不祥事防止のために知っておいて損はない本だと思います。

    心理学の研究を元にした本なのでほんのちょっと統計が出てきますが、解説があって難しくはないと思います。

    改善のために何ができるかについては、組織事故(ジェームズ・リーズン)も合わせて読むといいかも。

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著者プロフィール

岡本浩一(おかもと・こういち)
大阪府出身。東京大学文学部社会心理学専修課程卒業。同大大学院社会学研究科で社会学修士、社会学博士。同大文学部助手を経て、1989年より東洋英和女学院大学人文学部助教授。1997年より人間科学部教授。NLPをロバート・ディルツに師事し、NLPトレーナー。日本心理学会、日本社会心理学会、日本実験社会心理学会、日本行動計量学会、日本催眠医学心理学会、日本リスク研究学会などに所属。茶道を修め、裏千家淡交会巡回講師を兼任。リスク認知心理学を専門とし、原子力安全委員会専門委員、内閣府原子力委員会専門委員など歴任。国の科学技術研究領域の創始メンバーのひとり。著書に『会議を制する心理学』(単著)、『組織の社会技術1 組織健全化のための社会心理学:違反・自己・不祥事を防ぐ社会技術』(共著)、『グローバリゼーションとリスク社会〔東洋英和女学院大学社会科学研究叢書1〕』『新時代のやさしいトラウマ治療〔東洋英和女学院大学社会科学研究叢書4〕』『パワハラ・トラウマに対する短期心理療法〔東洋英和女学院大学社会科学研究叢書7〕』(共編)など。

「2023年 『自分を整えるブリーフサイコセラピー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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