- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788511545
作品紹介・あらすじ
誰しも、幸せになりたいと願っています。幸せは人間にとって永遠の課題なので、幸せに関する本もたくさん出版されていますが、ほとんどは哲学者や宗教家、小説家によるものです。心理学の実証的な研究にもとづく幸せについての本はありませんでした。従来の心理学では、幸福感といった主観的なことがらは研究対象として認められなかったからですが、近年になって研究方法が進歩するとともに、人々にとって重要なことがらを研究することが重要視されるようになり、幸せに関する研究も一挙に進みました。この本を読めばすぐ幸せになれるほど人生は甘くありませんが、しかし、幸せへのヒントはたくさん詰まっています。
感想・レビュー・書評
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幸福感に関する心理学からの実証的な研究。幸福感の測定から、経済状態/運/結婚/友人関係/性格と幸福感との相関、幸福感を高める介入の方法、最適な幸福度、幸福感の高い国・コミュニティについて書かれている。
データも豊富だし、この種の領域に関心ある方は必読。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ポジティブ心理学と文化心理学の見地から、欧米とアジアの幸福感の違いについて解説した書籍
【こんな人におすすめ】
文化心理学に興味がある人 -
幸せの認知に関する心理学の研究を非常に分かりやすく、まとめている。
適切な幸福度はあるかという研究で、あまり幸福すぎても社会的成功しないという結果。
→幸福観は「人類」のダーウィズム的な意味での適応のための手段(痛みや快楽と同種)か、「個人」の人生の目的かという問いを本書を読んで感じた。人類が成長するのに不幸は必要だろう、ただ、世に投げ出されて不幸を強いられる個人の理不尽をどう受け止めればよいかという問いを感じた。
・幸せを測る方法について事例や評価。
→生理的指標なども取り組みあるが、やはりアンケートが主
・幸せの感じ方には、文化的な違いがかなりある
→欧米と東洋
・幸せ観を高めるための介入方法の研究
・幸せの感じ方は遺伝的要因がかなりある
→身長を上げるのと同じともいわれるが、やや語弊がある。幸せの感じ方については、遺伝的要因で、ある程度幅が決まっていると考えるのがよい。「個人間の差」の遺伝的要因が80%。
少し古い本なので、新しい類書があればぜひ読みたい。 -
人生に対する満足度=ウェルビーイング。
ハッピー=喜び。
挫折を経験している方が、老年期に英知を備えることができる。理想の人生とは、悲しみや苦しみを味わい、それを乗り切ってきた人。
韓国人は一生で体験できる幸福感には限りがある、と考えている人が多い。
幸せな体験を満喫しようとしない所以。
全員が経験できる幸福感には限度がある、という考え方もある。他人の幸福を喜べない。
東洋的な運の概念と幸福感が深くつながっている。
ロシアでは、幸せとは子供が感じるもの、幸せは一時的な現象、と考えやすい。幸せとは、無垢ではかないもの。社会の構造を知れば単純に幸せには浸れない。
アメリカとの違い=社会の報酬システムの違い。
人は過去の記憶を振り返るとき、すべてを思い出しはしない。自分が幸せな人間だと思っていると幸せな事象を思い出す。
回顧的判断は、自分の信念をベースにすることが多いため、文化的な差が出る。
終わり良ければ総て良し。最後の印象が一番強く残ろう。
結婚の幸福度は、性格の類似性よりも趣味の一致のほうが関係が高い。
うつ病の治療薬のセロトニンの選択的再吸収防止剤が使われる。憂鬱な気分が晴れる。
エクスタシーという麻薬は、平氏のトラウマを抑えるために使われ始めた。
どちらも、以上に高いセロトニンがシナプスに存在することから幸福感を感じられる。
繰り返し利用で、セロトニンレセプターに障害が起き、通常量のセロトニンでは幸福感を感じられなくなる。
ポジティブな文章を自伝に使っていた修道女は、長生きだった。
日本人や韓国人は、向上心が強い分、他人にも厳しい。
国の経済力、人権の保護、は幸福感と相関が高い。
個人主義も相関が高い。
実力がきちんと評価されるシステムがあるほうが幸福感が高い。個人の自由で明るい未来を想定しやすいから。 -
思索
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2520円購入2011-03-31
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大崎Lib
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新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:141.6//O33
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幸福感についての実証心理学の研究成果を総括的に示す。
メタアナリシス論文を引いているだけに見えるような箇所が多く、総花的で強い印象は残さない。
1つの説を打ち消す結果が出てくることもあるような領域であるのに、全体を通して、示された結果の信頼度がわからない。統計的な数値としては相関係数が書かれるだけである。
論争にもなっているという、「幸福のおよそ80%は遺伝で決まる」説だが、これは一卵性双生児と二卵性双生児の差を調べただけというもので、無理のある言説だといえよう。
15章の、野球チームの勝率と観客数の相関係数と、住居流動性との関係の研究は怪しい。球場のキャパシティやチケット入手の容易性など考えているのだろうか。
期待はずれだったのであらさがしみたいになってしまいました。
個人的に印象に残った点
日米(大学生という中上流階級)比較
日本は人並みに出来ることを重視。アメリカは特別であることを重視。
体験的消費
物質的消費よりも体験的消費(コンサート、旅行など)の方が幸福感に強い影響を与える。
幸福介入
感謝、満喫すること、最高の自分を想像し作文するなどの幸せへの介入法があり、幸福感を高める効果がある。