摂食障害の語り―「回復」の臨床社会学

著者 :
  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788512511

作品紹介・あらすじ

◆当事者が語る回復の物語◆

摂食障害とは拒食症、過食症の総称で、「痩せたい」「スリムになりたい」とダイエットを始めたことから深みにはまり、食べては吐くを繰り返し、死に至ることもある深刻な病いです。日本では女子高生・女子大生の50人に1人が過食症ともいわれ、実態解明が急務です。これまでは「なぜ摂食障害になるか」という原因論の研究がほとんどで、「どのように摂食障害から回復するのか」という〈回復論〉は断片的な情報しかありませんでした。本書は自ら摂食障害を克服した社会学者である著者が、回復者20人にインタビューし、重い障害から実際にどのように回復のきっかけをつかんだのか、肉声を交えて初めて明らかにしていきます。摂食障害の患者さん、家族、医療関係者に贈る希望の書。

感想・レビュー・書評

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  • 摂食障害というと臨床心理学やカウンセリングの分野であるが、本書では社会学の分野として、著者の論文を再構成した本である。著者自身が摂食障害になってから回復したことから、原因を探る方法から人と環境の相互作用で回復するというモデルを提言している。そこには、今までの親の育て方や成育歴や問題となった原因を精神科医に説明して解決することではなく、1日3食食べていくという行動療法に近いことが解決の糸口として書かれている。
     質的分析ではあるが、実際はフィールドワークであり、問題解決型のフィールドワークである。そのうちに、オートエスノグラフィとしての摂食障害の本が出てくることを切に望む。

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  • 493.74

  • 「回復の臨床社会学」と副題にありますが、摂食障害から人々がどのように「回復」しているのかに焦点をおいた「語り」による臨床研究の本です。この本は「装丁」つまりカバーデザインを担当させて頂きました。著者よりこの本の概要を聞かせて頂いた時にイメージしたのは、どこまでも広がる静かな「海」と「空」の光景……視野が開け心が解放されるイメージでした。そこで、かつで種子島を旅した際に自分が眺め写真に収めた海の景色をセレクトし使わせて頂きました。ただ、海の写真はそのままではなく、赤味をほんのり足すなどの補正を加え、より優しい印象になるよう整えています。ちなみに「見返し」の紙の色はピンク系の優しい色を選定。これは著者がこの本をイメージする色として真っ先に上げた色でしたので、意識的に使いました。これがとても効果的な配色になっています。

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著者プロフィール

中村 英代(なかむら・ひでよ):1975年東京都生まれ。日本大学文理学部社会学科教授。お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。お茶の水女子大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会科学)。専門は社会学。『摂食障害の語り―〈回復〉の臨床社会学』(新曜社)で第11回日本社会学会奨励賞を受賞。著書に『依存症と回復、そして資本主義――暴走する社会で〈希望のステップ〉を踏み続ける』(光文社新書)、『社会学ドリル――この理不尽な世界の片隅で』(新曜社)、共編著に『当事者が支援する――薬物依存からの回復 ダルクの日々パート2』(春風社)などがある。

「2023年 『嫌な気持ちになったら、どうする?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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