タテ書きはことばの景色をつくる―タテヨコふたつの日本語がなぜ必要か?

著者 :
  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788513570

作品紹介・あらすじ

タテ書きを捨ててはならない!

中国も韓国もタテ書きを捨てたいま、日本語のタテ書きもグローバル化により
消える運命にあるのでしょうか? 日本でタテ書き文化が根強く残ってきたの
には科学的な理由がある、という観点から、著者は、読み書きをするときの心
と身体の働きを、視野の形、アイカメラを用いた実験、空所埋め問題、鉛筆の
持ち方調査、ワーキングメモリーなど、多角的なアプローチで検証してゆきま
す。これまでの「タテ書き・ヨコ書き」研究で見過ごされてきた部分に光を当
てる、知的刺激と説得力あふれる論考です。タテ・ヨコそれぞれの利点を認め
つつも、だからこそ「タテ書きを消してはならない」という切実なメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 皆さんは文章を書くとき縦書きと横書きのどちらで書くだろうか。国語のノートは縦書きだが、その他は横書きにすることが多いだろう。では、読むときはどうだろう。教科書や参考書は横書きが多いが、一般的に日本語で書かれている本はその多くが縦書きだ。
     縦書きと横書きは読む人にどのような印象の違いを与えるか、ヒトの視野の形や視線の動きを観察した実験の結果、次のような結論に導かれる。縦書きはテキスト全体の姿が見やすく、前後の文脈を意識しやすいので文脈把握に優れた読み方になり、横書きは各行が排他的な特性を持つので単語や短い語句の把握に優れた読み方になる。縦書きと横書きにはそれぞれ長所があり、使い分けていく事ができる。
     中国や韓国があっさり縦書きを捨ててしまって以来、ある程度の人口を持つ国で縦書きを使っているのは日本と台湾くらいだという。グローバル化の影響も大きく、また横書きで表示されるPCが身近なものになった事も一因で日本でもますます横書きが一般的になりつつあるが、日本語から「ことばの景色を作る」縦書きを無くしてはならないというのが著者の主張だ。
     本を読む時、PCを使う時、あまり縦書き横書きを意識していなかったが、全ての本や、俳句や短歌までが横書きになったらさぞかし違和感を持ち、また味気ないと感じるだろう。やはり日本語は縦書きを捨ててはいけないと改めて思う。

  •  思ってたより面白かった。

     書くのは横書きの方が書きやすいが、読むとなると、縦書きの方が読みやすい。
     どうしてなのか、考えたこともなかったが、本書を読んで、納得できた部分が多い。

    「タテ書きはことばの景色をつくる」との指摘は確かにその通りだと思う。
     例えば、俳句。縦書きで書かれたものと、横書きでは受ける印象がずいぶんと違う。

     タテ書き、ヨコ書き、それぞれに長所がある。世界を見ても、ヨコ書きがほとんどで、タテ書きが残っているのは日本や台湾ぐらいらしい。タテ書きの優れたところが、もっと認識されてほしいとの著書の思いが伝わってきた。

     タテ書きをこよなく愛した人ととして、紹介されていた阿久悠の言葉がよかった。

     「私の原稿は手書き縦書き。なぜなら横書きの文章は全部否定するように首を振って読むが、縦書きの文章は1行1行納得したように、頷きながら読むことができるから」

  • 中国と韓国にはタテ書きがもうないことに驚いた。

    その点でもタテ書きには価値があるなぁ。と横書きで感想を書く。

    タテ書きを習慣化してみよう。

    タテ書きで論文を書けるかな。

  • 名刺はタテ書きにこだわっている。もらう名刺は8割以上がヨコ書きになり、電話番号やメルアドを併記するからヨコ書きの方が実用的だ。でもタテ。年賀状もタテ書きにこだわっている。郵便物の宛名も必ずタテ書きにする。番地とか漢数字より算用数字の方が読み手に親切だ。でもタテ。それ以外のメモ書きや手帳への記載など日常の手書き、パソコンでの文書作成はすべてヨコ書きなんだけど。世界中で新聞も書籍もここまでタテ書きが残っている国はないとなんかの本で知り、理屈抜きで日本人としての自我にひたり、勝手にこだわっている。と、ここにタテヨコの原理と心理を学ぶ。分かったようで分かってないけど、やはりタテは要る。景色のないヨコ書きレヴューにて。

  • 横書きと縦書きは、ほんとのところ何が違うんだろう。という問と真っ向から戦っている。勝利をおさめているとは言い難いものの、面白いテーマだなあと強く感じる。

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著者プロフィール

福井大学名誉教授

「2023年 『「英語脳」 vs.「日本語脳」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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