物語としての面接 新装版―ミメーシスと自己の変容

著者 :
  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788515338

作品紹介・あらすじ

◆面接がなぜ有効なのか?
 心理カウンセリングを求めてくる人々は、言葉にできないような体験/出来事を抱えています。カウンセラーは彼らに向き合いながら、語られる言葉、身体の動きや表情に反応します。共同の作業から新しい理解、物語が生まれてゆくのです。とかく事例の報告と名人芸的な解釈に終始しがちな心理臨床ですが、ミメーシス(なぞること、まねること)という概念を手がかりにその在り方を考察した本書は、カウンセラーや患者の方々が、自身の経験を掘り下げる案内ともなるでしょう。品切れだった名著を、新装して、再刊します。

感想・レビュー・書評

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  • 以下引用


    出来事や行動や関係が、面接の場で再現されることにより、それたの出来事や関係の表象が新たな経験として構成され、その作業を通じて問題解決へと向かうことができる

    ミメーシス-モデルをまねつつ、対象に意味を与え、生気あらしめる創造行為


    なぞってひっくりかえす。患者・家族の訴え、それぞれの言い分を聴いて、それらの要点をこういうことでしょうかと念を押す。

    自分の体験を他者のことばとして聞いたとき-
    自分が語った体験が客観的にとらえられ、再認識できる

    なぞる-言語活動が本来的にもつ体験の省略、断片化や力点移動を含みこみつつ、積極的に複数の声をその場に響かせ話者のことばを多様な文脈のなかに置き直してみる

    ★詩人は、この「受容力」を発揮することにより、対象を自らの内に発見する

    対象の外からではなく、内側から眺めた時にあらわれる対象の質

    物語り-経験を秩序づける

    ★子ども-こどもの遊びの中に現われる仮構物に注目し、それを通じて子供たちが未消化な経験を一つの時空配置に構成していく

    過去の孤立した出来事は、新しく叙述されることによって、意味深い物語りとして語り手の生の中に組み込まれていく

    自己についての複数の視点

    過去の体験や現在の状況を解釈する主体がそのつど新たな自己を生み出していく

    そういった姿を本当の自分として受け入れることは自然で健康的なことである。それはつまり、新しい自分を発見したということ

    過去の出来事、思い出を語ること自体が自我の再構成に深く関係している

    同化されにくい外傷化された記憶。その場面が頭にこびりついて頭から離れないような心の傷、情動をともなった孤立した出来事の表象に言語を与える

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著者プロフィール

森岡正芳 (もりおか・まさよし)
《第8章》
京都大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
現在 立命館大学総合心理学部教授
《主著》
物語としての面接 新曜社 2002年/ 2017年
臨床ナラティヴアプローチ ミネルヴァ書房 2015年

「2023年 『ナラティヴと情動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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