21世紀の文化人類学 (ワードマップ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788515826

作品紹介・あらすじ

いま世界の人類学者が考えていること

かつて思想界をリードした文化人類学は、一九九〇年代のクリフォード=マーカス『文化を書く』での民族誌の記述をめぐる批判以降、低迷してきましたが、今また新たな胎動期を迎えました。本書は批判に鍛え直されて生まれ変わった新しい人類学を紹介します。グローバル化する現代において、人類学の古典的対象(未開社会、呪術、儀礼など)は消え失せましたが、「開発」「災害」「リスク」「コモンズ」「アソシエーション」「差別」「病気」「景観」「超越論」などの現代的なキーワードを手がかりに、「21世紀の人類学」のパラダイムを提示し、魅力的で生産的な民族誌の具体例を示します。いま考えうる最も充実した「現代文化人類学入門」です。

感想・レビュー・書評

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  • 総じて言葉が硬い。人類学の理論と将来を論じてはいるが、わざわざ本文を全て追うのは時間の無駄のように思える。人類学を知りたいならほかの書物の方がおすすめ。

  • 【書誌情報】
    著者:前川啓治 箭内匡 深川宏樹 浜田明範 里見龍樹 木村周平 根本達 三浦敦
    出版社:新曜社
    版型:四六判 並製
    頁数:384頁
    定価:本体2800円+税
    発売日 2018年6月12日
    ISBN 978-4-7885-1582-6
    https://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1582-6.htm
    https://www.shin-yo-sha.co.jp/smp/book/b455423.html


    【簡易目次】
    はじめに [003-006]
    目次 [007-012]

    序章 「人類学的」とはどういうことか  (前川啓治) 013
      超越的・超越論的  「文化」の客体化 015
    [コラム] 「超越的」と「超越論的」の変遷 030
      超越論的展開  過去から未来へ生成する人類学 032
    [コラム] クック船長の死 047

      I 部 自然・存在・イメージの生成

    1章 人格と社会性  (深川宏樹) 053
      人間の概念  変容可能性 056
      構造と機能  人間社会の自然科学 065
      身体とサブスタンス  生殖=再生産の「事実」からの解放 074
      社会性  切断=拡張する思考 083
    [コラム] マリリン・ストラザーンとの対話――研究現場での「部分的つながり」 093

    2章 アクターネットワーク理論以降の人類学 (浜田明範) 099
      アクターネットワーク理論  科学と政治が絡まり合いながら変化する世界を探る 102
      存在論的  具体的なものを通して反・自文化中心主義を深める 108
      ポストプルーラル  二つ以上のものが互いに別個に存在していると言えないこと 114
      疾病/病い  文化の複数性からポストプルーラルな自然へ 120
      生物学的市民  生物学的なステータスが駆動する政治 126

    3章 「歴史」と「自然」の間で――現代の人類学理論への一軌跡(里見龍樹) 133
      歴史人類学  「文化」を問い直す 136
      カーゴ・カルト  〈新しいもの〉をとらえる 146
    [コラム] 想起されるマーシナ・ルール 156
      景観  「歴史」と「自然」の間で 159
      「自然/文化」をめぐる人類学  南アメリカにおける展開 168
      「人間」を超える人類学  可能性の探究 177

      II部 実践――生成する世界へ 

    4章 公共性(木村周平) 189
      「表象の危機」その後  『文化を書く』からの展開 192
      公共性  関与・介入・貢献 198
      災害  脆弱性とレジリエンス 204
      リスク  未来の予測可能性をめぐって 210
      エスノグラフィ  知の創造と活用 216

    5章 運動と当事者性――どのように反差別運動に参加するのか(根本達) 223
      アイデンティティ・ポリティクス  不確実な世界における暴力的な対立 223
      被差別者と人類学  差別に抗する、差別から逃れる 233
      生活世界の声  動態的で輻輳的なそれぞれ 239
      寛容の論理  等質でないものの繫がり 245
      生成変化の政治学  当事者性を拡張する 251

      III部 社会科学と交差する人類学 

    6章 持続可能性と社会の構築――ハイブリッドな現実の社会過程の多元的な分析の必要性(三浦敦) 261
      合理的個人  合理的には見えない個人の行動を、合理的に説明する 264
      家族制生産とグローバル経済  なぜ資本主義経済において小規模家族制生産は維持され続けるのか 274
      多元的法状況における所有  「ものを所有する」ということは、自明なことではない 282
      コモンズ  自然環境を守ること、それはわれわれの生活を守ること 290
      開発  大資本の手先か住民の味方かという、不毛な二元論を超えて 298
      アソシエーションと社会的連帯経済  連帯はどのように可能なのか、連帯は人々を救えるのか 306

    [コラム] 十九世紀のフランス農村と文化人類学の前史 316

    終章 過去・現在・未来(箭内 匡) 319
      文化人類学の現在と過去  人類学は今、どこにいるのか 320
      「外」  人類学的思考を貫く本質的要素とは何か 326
      不可量部分  人類学者がフィールドで出会うものとは? 330
      イメージ  フィールドの現実を新たな目で捉えなおす 336
      時間  未来の人類学に向かって思考の軸をずらしてみる 342

    あとがき(二〇一八年四月 前川啓治) [348-351]
    引用文献 [352-370] ([12-30])
    事項索引 [371-377] ([5-11])
    人名索引 [378-381] ([1-4])

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著者プロフィール

筑波大学人文社会系教授。文化人類学、グローカル論、観光地域づくり。著書に『開発の人類学』 『グローカリ
ゼーションの人類学』 Japanese Views on Economic Development: Divers Paths to the Market (共著)、共編著に
『講座世界の先住民族―ファースト・ピープルズの現在オセアニア』 『カルチュラル・インターフェースの人類学』
(8月刊)、共訳に『マクドナルドはグローバルか―東アジアのファーストフード』など。

「2012年 『会社神話の経営人類学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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