平成日本の音楽の教科書 (よりみちパン! セ)

著者 :
  • 新曜社
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本棚登録 : 108
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788516137

作品紹介・あらすじ

平成30年間、わたしたちはどんな音楽を学び、どんな歌を歌わされてきたのか? 退屈なはずの小・中・高校生の教科書をつぶさに確認し、そこに驚きの事実の数々を見出しつつ、わたしたちの日常の中のリアルな「音楽」へと架橋する稀有な1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 高校では教科としての音楽がなかった。小学校と中学校で昭和の音楽教育を受けたはずだが楽典については全く記憶になく中学時代の成績はおまけしてもらって3/5だった。

    平成時代の小中高における音楽教科書を紹介。いろいろな提案をしているのだが、そんな授業をしてもらえたら音楽がもっと好きになっただろうな。

    子供時代に自分が受けた「音楽の勉強の正体」が確かに分かった。でもそんな授業を受けていたかなぁ?

  • 「平成30年間、わたしたちはどんな音楽を学び、どんな歌を歌わされてきたのか? 退屈なはずの小・中・高校生の教科書をつぶさに確認し、そこに驚きの事実の数々を見出しつつ、わたしたちの日常の中のリアルな「音楽」へと架橋する稀有な1冊。」

    『音楽の教科書』は、私たちに何を教えようとしてきたのか。音楽を楽しむことと、「音楽の授業」が別物だと私たちが確信しているのはなぜなのか。私たちはなぜ、かつての音楽の授業の内容を忘れているのか。日本の「近代化」に音楽が果たした役割を確認し、平成30年間分の教科書と指導要領のびっくりする内容とその目的を検証しつつ、現行の「音楽の教科書」を来るべき新しい時代にどう使えるか、稀代のジャズミュージシャン/批評家が提示する初の試み。

    目次
    イントロダクション 音楽の教科書を読んでみる(なぜ読むのか;初めて体験する「音楽を学ぶことの楽しさ」 ほか)
    第1章 小学校のおんがくの教科書(覚えたことを忘れてはじめて、「使える」ものになる;小学一年生の教科書をめくってみる ほか)
    第2章 中学校の音楽の教科書(どんどん増えてる「日本の伝統音楽」;教科書の半分が和太鼓・箏・三味線・篠笛・尺八だった ほか)
    第3章 高校の音楽の教科書(高校の音楽は選択科目です;J‐POPも情熱大陸も初音ミクも ほか)

  • タイトル通り、平成の日本の音楽の教科書について書かれた本。平成のポップミュージックなどについて書かれたものではない。

  • 2020.7
    自分の学生時代と変わったところと変わってないところ。魔王はやったけど伝統楽器の演奏はやっていない。教科書もちゃんと読むとおもしろい。その背景もわかると尚おもしろい。でもそう気づくのは大人になってから。子どもに教科書のおもしろさを教えてくれる先生はなかなかいなかった。子の教科書をこれから毎年読んでいったらおもしろいかもしれない。毎年勉強し直す気分で。

  • 音楽の授業自体、自分にとってはずいぶん昔の話ですが、現行の教科書の邦楽に対するウェイトの置き方には驚きました。
    おそらく多くの学生にとって「日常的に目に(耳に)する機会がほぼ無いもの」という意味では強く印象に残りそうです。

    本書の素晴らしいところは、ポップミュージックや資本主義経済の考え方など「学生が、卒業後に実社会で生きていく上で、多くの接点を持つもの」と「教科書(学校)が、教育の理想として学生に身につけさせようとしているもの」のギャップまで丁寧に掘り下げているところだと思います。

    口語体で読みやすいですが、内容は深く、知識としてよりむしろ「人生を楽しく生きるための知恵」として読める良書です。

  • 西アフリリカのミュージシャンと
    日本各地の保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、支援学校といろいろな子供たちが生活する場で演奏会をすることがよくある。
    そこで、いつも見る光景である。

    身体と心がウキウキしてしまうような音楽が流れても
    膝を抱えて、膝の上に手を乗せて
    礼儀正しく聴いている
    音楽は(聴くときは)黙って、おとなしく、行儀よく
    聴かせてもらう(!)ことが「よし!」とされるようだ。

    親友のミュージシャンは
    「ナニカ 怒ッテイルノカナ?」
    「ボクノ 音楽ガ気ニイラナイノカナ?」
    と 初めのころは思っていたそうである。

    あまりに異様な光景が続くので
    「暮らしの中で生まれた音楽というのはね…」
    とお話をしてから
    一緒に音楽の中に入ってもらい
    そこからは 一緒に手拍子を打ったり
    そこからは 一緒に身体を動かしたり
    そこからは 一緒に歌ったり、笑ったり
    ということに つながっていく

    その様子を目の前にするたびに
    子供たちを
    これほど
    音楽と遠ざけてしまっているものは
    なになのだろう 誰なのだろう
    と 思い続けている

    そんな視点から
    この一冊を読ませてもらうと
    いゃあ これが なかなか興味深い考察が
    いっぱい 書かれている。

  • タイトルがあいまいで中身が想像つきにくいけれど、「平成日本(30年間)」の「(小中高の)音楽の教科書」を検証し、学校での音楽教育を振り返るという興味深い一冊。現行教科書を批判したり理想を語ったりしても建設的とはいえないので、いま使われている教科書が実際に何をどう教えているのかを見直してみるといろいろ発見があるよ、というコンセプト。現役中高生から音楽教師のみならず音楽教育に興味のある人みな楽しめそう。

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著者プロフィール

音楽と批評の活動。サックス/CDJ/PCなどを組み合わせた演奏で多くのバンドやセッション、録音に参加。演劇・ダンス作品など舞台芸術にも深く関わる。主な著作に『憂鬱と官能を教えた学校』(菊地成孔との共著。河出書房新社、2004)『貧しい音楽』(月曜社、2007)『日本ジャズの誕生』(瀬川昌久との共著。青土社、2008)『ジャズと自由は手をとって(地獄へ)行く』(本の雑誌社、2013)『平岡正明論』(Pヴァイン、2018)『平成日本の音楽の教科書』(新曜社、2019)『ニッポンの音楽批評150年100冊』(栗原裕一郎との共著。立東舎、2021)『歌というフィクション』(月曜社、2023)など。

「2023年 『〈ツイッター〉にとって美とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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