「英語脳」 vs.「日本語脳」: 違いを知って違いを超える

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  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788518018

作品紹介・あらすじ

日本人の英語学習には発達心理学的な発想が必要だ。「一・二人称的な視点」と「三人称的な視点」という、日英の基本的な違いはなぜ生まれたのか? 真逆の部分を攻略するには何をどう切り替えていけばよいのか? 違いを知って英語の壁を乗り越える!

著者より
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10年以上前から『英語脳』ということばを冠した本やウェブサイトがふえてきました。
しかし、それらを読んでみると、英語の表現パターンに慣れるためのトレーニングが
中心で、かんじんな『英語脳』のしくみについては全く触れていないものがほとんど
です。『英語脳』は、私たちが使っている『日本語脳』と突き合わせてみると、その
しくみがはっきり見えてきます。それを踏まえて英語学習のみちすじを提案したのが
この本の内容です。
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感想・レビュー・書評

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  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50339821

  • 近頃巷でよく聞くようになった気がする「英語脳」をそれに対応する「日本語脳」との比較で解説した一冊。言語体系というか立脚点が全然異なるので日本人の母国語である日本語をベースにそのまま英語を学ぼうとすると苦戦リスクが高まりやすいというお話。省略の有無、語順、周辺と中心、時制。非常に興味深い話題ではあるが、いずれも英語をある程度習得した人が面白がれるレベルであり、果たして本書の内容を理解したとして英語学習が捗るのかは多少疑問が残る。初級者が読むとかえって混乱してしまうかも?英語をそれなりに勉強してきた中級者は「なるほど!」と壁を破るきっかけを貰えそう。

    ※ちなみに自分は一応TOEICスコアが900を超えていて仕事でも英語を使う機会が多少ある程度の人間です(ただし、TOEICは2014年のスコアで、仕事も携わっているプロジェクトが変わって以降は英語を使う機会はガクンと減りました)ネイティブ級に英語を扱える人の評価・感想は全然違うかもしれませんのでご留意を。

  • 【書誌情報】
    『「英語脳」vs.「日本語脳」――違いを知って違いを超える』
    著者:熊谷高幸
    装幀:臼井新太郎
    ジャンル 言語、語学教育・語学学習
    出版年月日 2023/03/13
    ISBN 9784788518018
    判型・ページ数 A5・176ページ
    定価 2,530円(本体2,300円+税)

    日本人の英語学習には発達心理学的な発想が必要だ。「一・二人称的な視点」と「三人称的な視点」という、日英の基本的な違いはなぜ生まれたのか? 真逆の部分を攻略するには何をどう切り替えていけばよいのか? 違いを知って英語の壁を乗り越える!

    *なぜ、長年英語を学習しているのに英語能力が向上しないのか? 
    *「英語脳」と「日本語脳」のしくみを見える化する 
    [https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b621965.html]

    【目次】
    序章 「英語脳」と「日本語脳」の中身を探
     1 「英語脳」とは何か?
     2 共有・共用のための「英語脳」を求めて
     3 実は「英語脳」以上にわかっていない「日本語脳」
     4 ソフトウェアとしての「英語脳」「日本語脳」
     5 頭の中に同時通訳システムを作る
     6 「英語脳」と「日本語脳」を比較対照してみる
     7 一、二人称的な「日本語脳」vs. 三人称的な「英語脳」
     8 私たちの心に深く根ざしている母語の発想
     9 学齢前に作られる「英語脳」「日本語脳」の基礎
     * 発達心理学者としての私の立場
     * 自分自身を実験台にして
     10 この本の構成について

    1章 一、二人称的な日本語vs. 三人称的な英語
     1 二人のあいだでしか通じない日本語の会話
     * 話し手本位の日本語vs. ルールに則した英語
     2 日本人と英語ネイティブでは逆転するやさしさとむずかしさ
     3 公式代入的な英語の構文法
     4 英語は5文型という公式への代入方式をとっている
     5 5文型の例文に表れている英語と日本語の違い 
     6 枠で囲んで中身を調べる日本人の思考法
     7 枠を作る「は」とその中で選択をする「が」
     8 英語に変換しにくい日本語の思考法
     9 5文型をどうふくらませていくか?
     10 出来事に出来事を付け加える句と節の役割

    2章 言語は共同注意から生まれ、英語で分岐した
     1 日本語と英語の分かれ道は?
     2 共同注意の発生
     3 共同注意の領域設定をする「は」と対象選択をする「が」
     4 ことばから思考へ
     5 共同注意の対象に第三者が入ってくるとき
     6 共同注意の入れ子構造へ
     7 話し手自身も入れ子の中に
     8 一、二人称的な日本語と三人称的な英語
     9 英語に現れた新たな戦略
     10 共同注意の発達の中で分かれた日本語と英語
     11 言語の構造は世界の構造を反映している
     * 共有する世界がことばの習得を助ける

    3章 英語にはなぜ主語が不可欠なのか?
     1 英語はなぜ常に主語を必要とするのか?
     2 個体識別が進む現代社会
     3 こいつは誰だ?何をする?
     * アメリカにおける自己主張の意味
     4 なぜ日本語はSOVで英語はSVOなのか?
     5 話の順序が逆転する日本語と英語
     6 自分を名乗らないことの安心感・不安感
     7 主語がないことで表せる普遍的な感情
     * 俳句が共感を呼ぶのは?
     8 英語は出来事の発生源を明らかにしようとしている
     9 空欄を穴埋めしていく様式
     10 人も物も事も同等に5文型の中に
     11 英語で “nothing", “no idea" などがよく使われる理由
     12 英語で頻繁に “it" が使われる理由
     13 one, some one, somethingの便利さ
     14 英語で主語が省略される場合
     15 英語世界では “we", “you", “they" が使われやすい
     * 歴史的場面でも活躍した “you" と “they" の表現

    4章 語順文法の英語vs. 格文法の日本語
     1 非英語話者にとっての英語のむずかしさ
     2 英語以外の文法書に5文型は出てこない
     3 語順文法と格文法
     4 名詞の格変化のしくみ
     * ロシア語と日本語の意外な共通点
     5 語順文法は格文法よりもリスニングがむずかしい
     6 同じ単語が多くの品詞に変身していく英語のしくみ
     7 文の流れの中で単語の意味を読み取る英語のリスニング
     8 英語の構文作業を自動化していく必要
     * 変換作業はどうすれば自動化できる?
     9 状況設定をしていくことばの必要
     10 状況設定にはどんなことばが必要か?
     11 英語ネイティブは幼児期から5文型に続く文型を学習している
     * 英語の基礎固めに最適な子ども用の読み物

    5章 5文型に出来事を加えていく3×2×3の方法
     1 5文型を発展させるにはどうすればよいか?
     2 文を修飾する方法をまず日本語で考えてみる
     3 出来事自体を名詞にする修飾法
     4 出来事を出来事で修飾するときに使う3×2×3の方法の実例
     * 使役動詞・知覚動詞が使われるときの特例
     5 ネイティブなら幼児期から親しむ3×2×3の修飾法
     * クリスティの探偵小説も3×2×3の修飾法でできている
     6 すべての言語は埋め込み構造をもっている
     7 日本語のシンプルな埋め込みルール
     8 前置修飾と後置修飾が混在する英文のわかりにくさ
     9 実は英語よりもわかりやすいかもしれない日本語の語順

    6章 周辺から中心の日本語vs. 中心から周辺の英語
     1 『源氏物語』の世から変わらない日本語の語順
     2 周辺から中心の日本語・中心から周辺の英語
     3 歴史的変化が小さかった日本語・大きかった英語
     4 格文法の言語にも見られる日欧の違い
     5 日本語の視点・英語の視点
     6 科学的方法を生み出した英語の視点
     7 木を見る西洋人・森を見る東洋人
     8 舞台中心の英語の叙述法
     * 英語世界の「舞台」と日本語世界の「舞台」
     9 日本語の語順は物語や論文の進み方に合っている
     10 日本人は英語を使うときは周辺→中心の発想を捨てるべきか?
     * 「英語らしくない英語」でも……

    7章 英語にはなぜ完了形があるのか?
     1 日本語と英語で逆転する「時」の表示順序
     2 完了形が英語の時制を複雑にしている
     3 話し手時間vs. 時間軸時間
     4 英語の三人称的な視点から生まれた「時制の一致」
     5 完了形はいつ現れてくるのか?
     6 完了形にはなぜ “have" が付いているのか?
     7 英語は時間の基準点をシフトしていく
     8 仮想の時間軸を作る仮定法
     9 仮定法は完了形の別バージョンといえる
     10 ドラマの中では頻出する動詞の完了形
     * 『ローマの休日』を例に
     11 『ABC殺人事件』で使われている現在完了形と過去完了形

    8章 映像中心の空間vs. 行為中心の空間
     1 映像中心vs. 出来事中心の空間表現
     2 「ある」で捉える空間vs. “have" で捉える空間
     3 英語では経験を “have" で表し、日本語では「ある」で表す
     4 「ここ・そこ・あそこ」の日本語と “here" “there" の英語
     5 日本語が作る一、二人称的な空間と英語が作る三人称的な空間
     6 空間内での動きをリアルに表す英語の動詞
     7 活動の場の詳細を伝える英語の複数形
     * 英語があいまいさを嫌う理由 
     8 舞台の空間設定に係わる “the" の役割
     9 2種類の “the" の役割
     10 共有対象に付ける「は」と新規の対象に付ける「が」
     11 「は」と「が」が作る日本語のクローズアップ機能
     12 物語の中で生じる “the" と「は」、“a" と「が」の非対応
     13 シーンが決める「は」と「が」、舞台が決める “the" と “a"

    9章 日本人は英語とどう付き合うべきか?
     1 英会話と英作文に現れる日本語のクセ 
     2 “I think ~" が多く現れやすい日本人の英語
     3 英文にも表れてくる日本語の「~は……です」の発想
     4 “so" を使って結論を後ろに回す日本人の英文構成法
     5 土台の弱い受験の英語
     6 英語をグローバル言語にした英語の論理
     7 関係の論理vs. 感覚の論理
     * 「ガンガン働く」マリアさん
     8 客観的な英語の中に隠れた主観表現
     9 日本語と英語の存在理由
     10 ハイブリッドなことばと論理を求めて

    あとがき
    日本語文献 / 英語文献 / 索引 

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著者プロフィール

福井大学名誉教授

「2023年 『「英語脳」 vs.「日本語脳」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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