アフリカの日本企業 (法政大学イノベーション・マネジメント研究センター叢書 18)
- 時潮社 (2019年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788807280
感想・レビュー・書評
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日本的生産経営方式がアフリカに転用できるか論じた書籍。各大学の教授が寄せた10本ほどの論文が結集している。内容自体は幾分か勉強になった部分はあるが、実地分析ではなく終始他の論文の転用や企業の公開情報を切り貼りしただけなものもあり、残念な章もあった。さらには、誤字脱字がありにひどく目も当てられないレベルの論文も散見されており、これで3500円を取るのはいかがかと思った。せめて誤字脱字は最小限となるよう頑張ってほしいところである。(発表前に自分の論文を読み直さないのか、まただれも指摘しないのか、不思議である)
さて、肝心の中身で勉強になったのは以下の通り。
・アフリカの賃金はブルーワーカーであっても、アジアに比べて相当高い。理由は解明されていないが、1つはインフラ未整備による食費の価格が高いことが挙げられる。そのほかには、アフリカの代表的産業が資源ビジネス・観光ビジネスであり、地域性が強いため競争環境に置かれず高い賃金となる(それが他の産業に対してもマーケットスタンダードになってしまう)。労働組合が強く、平気でストライキをする土壌である。
→これによって、多国籍企業が生産拠点をアフリカに置く意義は薄くなる。
・南アフリカでは、自動車製造業に対し、税制の優遇を行なっており、自動車製造が盛ん。年間60万台を生産する。bmwやベンツの日本輸出向け(右ハンドル)は南アフリカの生産が多くを占める。
・Ubuntu経営;サブサハラの価値観。the belief in a universal bindi of sharing that connects all humanity. 助け合いや一体感・他者への思いやりが重視される。人間の関係性
・中国のアフリカ進出パターンは、国家主席などトップ外交によって実現することが多い。また、中国企業はメンツを尊重した人間関係重視の経営を行っており、本社トップダウン型の欧米式経営管理体制よりも中国企業とのパートナーシップの方がアフリカの文化とマッチしやすい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:509A/Ku39a//K