チェーンストアのマネジメント (チェーンストアの実務原則・シリーズ)
- 実務教育出版 (2003年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788905191
作品紹介・あらすじ
マネジメントの初歩や基礎的な部分から詳説した一冊。
感想・レビュー・書評
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チェーンストアのマネジメントとは、実務上一体どういう行動をするものかを日本で初めて解説したものである。
構成は12章立てで、かなり分量が多く、長い旅になりましたが、その骨子は科学的で解りやすいものでした。
マネジメントとは、叱責・激励ではなく、作業内容を変えていくことである。作業内容、数値を変えていくためには、継続できなければならない。楽に実行し、よい習慣づけを行うためのものをいう。マネジメントの原動力は方法の学習といい、経験の集積と、科学的思考が必要と説く。
気になった点は以下です。
・いちばん大事なことは数字で目標を表現すること、それも、あくまでも一種類であるべきだ。
・チェーンストアで問題としたい努力はよい習慣をつけることだ。数字を変えたければ、作業内容を変えなければならない。作業を変えるための方法は、命令の変更と教育の追加だ。
・マネジメントを強化したいとき、めざすべき最後のゴールは経営効率の向上である。
・コントロールというのは、数字を材料として改善策を具体的にいうことである。
・チェーンストア経営では、2つのスローガンがある。それは、「継続できる」ことと「拡大できる」ことだ。
・チェーンストア経営は、ワーク・デザインという考えをモットーにしている。理想的なあるべき経営や組織を先に想定してから、現実をそこに近づけていくための計画を策定しようというものだ。
・企業が大切にしたい人材は、確実に能力を高めていける人である。小才のきく、要領のいい人間のことではない
・「評価」とは目標を割り当てた上司が、部下の目標が達成されたかを測定し、その結果で次の教育対策を立てることである。「考課」とは目標が達成されていないとき、不足する知識と経験とを見つけ出すことをいう。
・部下がなぜ考課ができないのか、それは、上司本人が作業をマスターしていないから
・今度は絶対にわすれないようにしますは何の効果もない。なぜわすれることになったかの方が問題である。頑張りますは、改善せずに同じやり方を続けていくことである。
・適切な発注ができない理由は、販売予測の方法を教えていないから、知らない人が発注しているのでめちゃくちゃになるだけ
・エグゼクティブとは、やめる決断のできる人、新しく何かを追加する人のことではない
・うれすじ、とは売れていく商品、売る努力をしなくても売れている商品をいう
・方法を変えるには、方法を説明する言葉の勉強が出発点になる。①観察して、問題点を発見、②どのような原因でミスが起きているのかを推定、③推定に基づき現場に壱岐、事実と事情を確定してとし、④応急措置の判断をして、⑤制度対策として恒久対策の判断をする。⑥仮説をまず、1店舗で実施し、結果を見て3店舗に展開し、全店へ普及させていく。⑦それを絶えず改善していき業務に乗せていく
・コンペティション、チェンジ、チャレンジの3C主義、これがチエーンストア経営システムの基本であり、企業文化を象徴するスローガンである
・幹部の業務姿勢でまず求められる基本思想は、①科学として経営を扱うこと、②最も影響の大きい、最も立ち遅れた部分の改善・改革から着手することである
・絶対にやるべきこと、絶対にやってはならないことを最初に明示することがプロジェクトを成功に導く絶対条件である
・チェーンストアのマネジメントの期間単位は、週である、次に、13週である。月は、28日だったり、30,31日だったりと中途半端このうえもない。
・コスト・コントロールは、支払主義でなく、発生主義とすること(簿記の原則でもある)
・プロセス・マネジメントを採ること:モノや作業の流れを一段階ごとに区切って、作業のムダ・ムリ・ムラを発見し、完全作業をしながら合理化を行う改善手法である
・ムダのコストを切り、必要なコストをかけるのがプロセス・マネジメント。コストをカットするだけではない。管理会計として、ABCを用いるのがのぞましい
・マネジメントは計数で判断する。一坪あたりの営業利益高、商品ロス率、分配率、商品回転率など
・未納品が発生したあと、3~4時間以内で原因と克服対策をバイヤーが発見できなければ売場の欠品状況を改善できない。
・経営不振の店舗の手術がすすまないのは、同じ人間にやらせているから。経営システムを変えることは担当幹部を替えることを意味している。
・売上が減った原因は、わが店が客から選ばれなくなったためで、不況のせいではない。その原因を明確にしないからさらに減り続けるだけになる。
・短期対策が改善で、長期対策が改革である。
・人手をかけることが、接客ではなく、便利に気軽に買い物ができるように完全セルフサービス化を徹底することによって顧客に心から満足してもらうことが接客だ。
・組織の簡素化、①取締役・理事、②スペシャリスト、③ワーカーの3種類の階層が求められている
・生き残るためには、①商品力、②マネジメント力、③業態改革力の3つの営業施策が問われている
・来店頻度が高まることこそ日常的な店であり、日常の暮らしを豊かにする店になることがチェーンストア経営のロマンであり、社会貢献である。
・不振店対策がすすまないのは、①マネジメントに必要な数表がなく、不振の原因が特定できてないこと、②数表はあるが、どうしていいかわからないこと
・方法を知らないのに努力してもムダである。「頑張る」よりも、「知る」ことのほうが先なのである。
・経営手術を進行させる決め手は、「新しい事業を興すつもりでやれ」、そして、「修正や改善よりもゼロからの再出発構想」でやる。
・不振店の赤字克服の絶対原則とは、①店ごと、部門ごとの効率数表づくり、⇒損益計算書の作成、②原因の究明、③過去の取引の聖地を侵すこと、④経営の基礎にもどる、⑤顧客一人一人を大切に思うこと、⑥組織の変更から始まり、組織の変更で終わること、⑦本部が主導権をとること、⑧最後に顧客に受け入れられたかを確認する(客数、来店頻度の推移をみる)
・店舗数の変化に応じて、マネジメントの方法を変更しなければならない。10店⇒20店⇒30店⇒100店⇒200店⇒500店⇒1000店⇒2000店
・標準化の4つの主題 ①用語の定義、②勘定科目、③コンピュータの分類項目、④発注・検品・補充・保管・撤収の手続き
・流通業のIE(インダストリアル・エンジニアリング)の努力の方向 ①エンジニアリング=計数化、②マス化⇒大量、③標準化⇒規格の統一、手順の普及、修正しながら実施
・マニュアルは人間性の否定でない。現場にマニュアルがないということは、作業を見よう見まねで各人が勝手におこなっていることを物語る。それでいて、「ちゃんとやれ」というのは命じる側はあまりにも勝手だ。
・マニュアルの表現は、誰にも簡単に理解できることが絶対。「こうしろ」「こうしてはいけません」を書くことが慣例、他の解釈ができないこと、文章フォームを統一する。修正や訂正を考えて、バインダー方式とする、利用する人を考えて場所を決める。
・作業については、標準作業内容と、標準時間をきめておく。
・他社のマニュアルをマネしようとしている風潮があるが、ムダな努力だ。他社のマニュアルをコピーしても役にたたない。
・マニュアル作り ①草案の作成、②現場一か所で実験、草案マニュアルのみでやらせてみる。③結果を観察、分析、判断する、④ヘッドの意見、タスクフォースからの修正、未熟者への試用を繰り返して、草案を修正しつづける。⑤別の2店で再実験し、うまくいったら、1エリアで実施、⑥全店の制度とし、周知教育、練習期間を経て、⑦全面実施する。
・アウトプットマネジメントとは、計数管理と、組織管理 ①生存、そして、②成長
・収益性、安定性、技術水準、将来性の各経営指標をみながら、効率化を図っていく。ROI,一坪あたりの販売効率。
・店舗経営の最重要コストは、労働分配率と、不動産費分配率。ようは、人件費と、不動産費が店舗の営業利益率に重大な影響を与える。
・一人あたりの平均賃金は低ければいいわけではないが、いい人材をのこして、そうでない人はどんどん回転していかねばならないので、上り過ぎてもよくない。
目次は、次の通りです。
本書のまえがき
1 マネジメントの原則
2 企業文化
3 行動の意味
4 ウィークリー・マネジメント
5 マネジメントの手法
6 マネジメントの着眼点
7 マネジメントの進め方
8 不振の克服策(体質手術の進め方)
9 チェーンストアのシステムづくりと組織的運営
10 マニュアルの意味とつくり方
11 アウトプット・マネジメント
12 あるべき経営効率
用語解説
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