- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790713777
感想・レビュー・書評
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心療内科や心理カウンセラーなど、実際に精神的な病に罹った人への治療方法に近い解説書であった。少し期待していた内容とは異なった。
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分かりやすかった。医療現場で必要とされている心理職としてのあり方や、身につけておくべき知識についても学べた。
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「医療」心理学とはなんぞや?
「臨床」なら知っているけど。
という人は多いのではないだろうか。
この書籍のなかでは「臨床」心理学も含めた様々な心理学が「医療」という実践の場で、
どのように活躍し、あるいは求められているかについて簡潔にまとめられている。
内容については実に平易な話で、以下のように構成されている。
・第1部:医療心理学の実践と理論
医療実践と心理学の関わりについて。
たとえば「小児科の現場と発達心理学」みたいな章がある。
・第2部:心理師が身につけるべき技能
方法論的な話だが、基本的には理念のお話であり、
実際的な「研究法」テキストではない。
・第3部:心理師の養成と資格制度
「医療心理学」、「臨床心理学」をめぐる政治的なアレコレ。
思えば「臨床」心理学の実践家にしても多くの場合は病院などに勤務しているわけで、
医者や看護士らとの関わりもあれば、患者や患者家族との関わりもある。
そういうなかで「医学」の範疇ではカバーしきれない問題が出てくると。
「発達」や「社会」心理学に通じた実践家の登場はこういう文脈で待望されている。
ここでクローズアップされるのが「基礎」心理学。
本書に於いては、
基礎医学→臨床医学→医療実践
という構造との対比(類似)として、
基礎心理学→臨床心理学→医療心理実践
という構造が示されていて、要は「人にアプローチするなら方法論を含めて基礎大切」
なる主張がなされていると思う。
基本的には同意なのだが、医学における基礎―実践の繋がりの強さと、
心理学におけるそれが同程度だとはなかなか思えない。
これも何かのバイアスなのかね。
「医療」の実践を医学の独り占めにせず、心理学からもアプローチできる可能性を
示すことはもちろん現場にとっても刺激的なのだろうし、研究としてもフィールドを
広げる意味で重要なのだろうと考えさせられた。
しかし一方で、医療実践の場においては医学が圧倒的に支配的なのだから、
どこかに齟齬があるはずなのだな。
それぞれの「臨床」が「治す」という言説で共闘できている間は良いが、
そのあとに来るのは何だろう?