ホロコーストからガザへ: パレスチナの政治経済学

制作 : 岡真理  小田切拓  早尾貴紀 
  • 青土社
2.00
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791776337

感想・レビュー・書評

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  • 「ホロコーストからガザへ」書評 極限まできた「反開発」を実証|好書好日(朝⽇新聞掲載:2010年01月17日)
    https://book.asahi.com/article/11647978

    『ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学』|感想・レビュー - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/289929

    [Report] "Learning from the Holocaust" | Blog | University of Tokyo Center for Philosophy
    https://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2009/03/reflections-on-sara-roys-talk/

    The Long War on Gaza | Sara Roy | The New York Review of Books
    https://www.nybooks.com/online/2023/12/19/the-long-war-on-gaza/

    青土社 ||歴史/ドキュメント:ホロコーストからガザへ
    http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3907

  • 緊急復刊!!

    ひとつの社会全体が崩壊しようとしている

    「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助のゆくえ。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。いまもっとも読むべき一冊。(http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3907

    イスラエルがいかにガザや西岸を分断し、対立させ、資源と土地を奪い、仕事を奪い、経済の自由を奪い、政治的主体から援助なしでは成立できない「物乞い」に弱体化させてきたかということ。
    そうすることで、人々の希望を打ち砕き、結束を不可能にしてきたかということ。

    シオニズムと本来のユダヤ教的価値観とは相容れないものであるということ。
    イスラエルではホロコースト犠牲者、生存者を侮辱し、その一方でホロコーストを利用し、パレスチナへの攻撃、占領を正当化しているダブルスタンダードがあること。

    多くのイスラエル人が加害者として向き合うことの難しさ、われわれと他者の線引きによって起こされるパレスチナの人々の破壊。

    ホロコースト生存者を両親に持つユダヤ系アメリカ人としての視点と、政治経済学の視点の二軸で語られることで、今起きていることの問題をより明確にしてくれる本。

    さらに徐京植さんのレスポンスと対話では、在日韓国・朝鮮人と日本の問題にも繋がる。
    過去の人間の過ちを薄めることなく、今起きている問題との共通項を認めること、ホロコーストからガザ、そして日本へ、そうした考え方こそ必要であり、人文学を学び、社会に還元するということなのだと思う。

    以下、引用。

    「パレスチナ自治政府が樹立されてからは、イスラエルは都合のいいときだけ「相手」を独立した主権として扱った。いかにもパレスチナ自治政府の飛び地が占領下には置かれていないかのように。このきわめて効果的なプロパガンダのおかげで、たいていのイスラエル人は、自治政府の樹立が独立国家の建国と同等のものだと信じており、にもかかわらずパレスチナ人は恩知らずなことに、平和を求める小さなイスラエルを攻撃してきていると思い込んでいる」。(p.97)

    痛みの感覚を同族にだけ認めること、人間としての苦痛を認める範囲を「われわれ」だけに狭めること、これが究極的な課題とされているのです。こうして意図的に盲目となることによって、原則を破壊し、人びとを破壊し、相手を抱擁するあらゆる可能性を抹消し、そうして他方では悲劇的なかたちで自分自身だけが安楽を得ているのです。(p.191)

    自分が抑圧者で加害者であるだなんてことは誰も信じたくはないわけです。とりわけイスラエル内外のユダヤ人は、自身を被害者だと認識していますし、また無垢な民であると肯定したい強い欲求があります。実際、過去から現在にいたるまで自分たちがパレスチナ人に対して何をしてきたのか、それはぞっとするほどの不正義であり犯罪行為なわけですが、それを直視するのはつらく難しいことですし、加害者として被害者のパレスチナ人と向き合うということもなかなかできません。こういったことがユダヤ人の自己認識を支えていると、自分たちが無垢であるという思い込みから抜け出そうという意思も能力も出てこないのです。(p.255)

    自分の前に見えている亀裂、自分の知らない何かがあった、このドアの向こうに、日頃気づいていないけど、恐ろしい差別や殺戮があった、というその気配を感じたときに、その気配の前で、どのくらいわれわれが敏感になれるか、ということだと思います。(中略)自分たちは知らない、知らないかもしれない、しかし、知らないということが恐ろしい、知らなくていいはずはない。こういう自問こそが、連帯の基盤、新しい普遍性への基盤なのだと思います。(p.269)

  • おそらく、パレスチナイスラエル問題に関する本の中でも上級者向けと思われる。
    なかなか難しい言い回しや言葉が出てくる為、
    理解しづらい。

    冷静に、本質を見極めろ。
    不正義が罷り通りすぎている。
    今に至るまでも占領という名の圧倒的暴力に歯止めがきかない。
    他者への想像力を。

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