- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794215758
作品紹介・あらすじ
昭和20年12月、元首相近衛文麿は巣鴨への収監を予知して自死した。
しかし、その背後には元内大臣木戸幸一と進駐軍の調査官E・H・ノーマンによる
驚くべき陰謀があった。
近衛に開戦責任を負わせ自死させることにより歴史の何が隠蔽されたか。
感想・レビュー・書評
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近衛文麿はインテリで、育ちが良い。また、若くして総理大臣を務め、若者にも共感を示した。その国民的人気ゆえ、この不遇の時代に引っ張り出された人だ。
関東軍や海軍から戦争の実態を知らされず、彼らの存在に怯えつつ、天皇からの好意で僅かな情報が得られていた。やがて「国家総動員法」や「大政翼賛会」で、国民的人気も失う…。そして本著で元内大臣からの陰謀で、自決に至る。何とまあ、悲劇の人だ。
本著では関東軍vs海軍という図式も描かれ、またそこに絡む人々がみな自尊心が強く、誰も手を引こうとしない。事態は更に悪化したんだな。
ただ彼の後、総理になった方々は、数ヵ月で辞任している。なす術のない状況に、みな匙を投げたのに。もちろん、近衛文麿の至らなさもあるけれども。しかし木戸の陰謀は、酷いな。
とにかく読んでいて、シンドイ本だ。元気じゃなけれは、読めない。ただこのような陰謀というのは、企業でもよくある話だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『文献渉猟2007』より。
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【要約】
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【ノート】
・草思社の折り込みチラシ(地図本) -
ちょっと難しくてイマイチ理解できていない。近衛、木戸ともに対米和平を模索した政治家、という程度の理解だったが。
明治の政治制度が分権、細分化され機能不全である以上、内大臣の職責が非常に重いことを指摘する。その木戸は無作為を重ねたと断ずる。さらにその遠因が皇道派と統制派の争いに依るという。
官僚的な発想というか、無誤謬性、自己否定ができない日本人気質の悪い面の積み重ねが破滅的な結末に繋がったものと理解した。うーん、今も何も変わらない気がする。 -
図書館
前に読んだ「近衛文麿の戦争責任」とは打って変わり、近衛に責任は無く、というか近衛だけに責任があるという認識は間違っていると指摘した内容。歴史の事実を書物から知ろうとすると、こういったトリックに引っかかることがあるのですね。 -
先述の「魔性の歴史」や「憲法「押しつけ」論の幻」もそうだが,どうして昭和初期戦前戦中あたりに材を取った史論は,このような羊頭狗肉というかインチキ臭いサブタイトルを付けるのだろう.このような必要以上のセンセーショナリズムは自ら書品をおとしめるようなものだと思う.
内容は「すりかえられた」ではなく,一言で言えば木戸内府と近衛文磨の戦争責任のなすり付け合いを描いたもの.但し論旨は仮定に仮定を重ね,推測に憶測を重ねて典拠を明示せず,また事実と推測を厳格に区別せず,地の文に推測に基づく会話を挿入したりするスタイルなので,ノンフィクション形式の小説として読めばよいのだろうか.とすると,先の「憲法「押しつけ」論の幻」よりも小説寄りに書かれていると言えよう.