- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794217783
作品紹介・あらすじ
1852年7月、ペリー出港の4カ月前にニューヨークで出版された本書は、アメリカの日本開国計画の成否を固唾をのんで見つめていた米英知識人のニーズに応え、大英帝国の一流の歴史・地誌学者が書いた「日本の履歴書」だ。著者に鎖国日本への訪日経験はない。スペイン、ポルトガル、オランダ人の記録をはじめとする玉石とりまぜた文献・情報をもとに日本の歴史、地理から日本人のルーツや民族性まで網羅し解説しているのだが、天皇と将軍の権威の並立をはっきりと認識するなど、その分析力は驚くほど的確だ。死を覚悟して戦い、勤勉で社交的な日本人の資質も高く評価。米英はすでに1853年のペリー来航以前に、日本および日本人について恐るべき精度で把握していたのだとわかる。アメリカのペリー派遣の本当の目的を知り、米英の対日イメージの原点を理解するための最重要資料の初の全訳である。
感想・レビュー・書評
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Japan: An Account, Geographical and Historical
Charles MacFarlane
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ペリーが開国交渉に来るまでに、日本の情報がこれほど体系的に整えられていたとは、驚愕です。著者は英国人ですが、米国が威嚇による開国交渉をすること、開国には将軍の了解だけではなく、帝の承認が必要なことなど、的確に分析しています。叙述に不正確な箇所や誤解した箇所がありますが、そんなことは問題ではありません。しかも、機密文書ではなく、出版物というから、更に驚きです。迎える日本にはどれほどの情報があったのでしょう。そして、この彼我の違いは克服できたのでしょうか?
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相当面白かった。ペリー来航は西欧知識人にとっても大きな関心事だったのね。ペリーの出発4ヶ月前にニューヨークで出版されたという本書は、イギリス有数の歴史・地誌学者によって書かれただけあり、なかなか正確で公正に感じられた。
15世紀以来西欧人たちが蓄積してきた日本に関する資料と、近過去に起こったフェートン号事件やモリソン号事件といった小競り合いの顛末を分析して、日本を色々な面から解説。内裏と将軍の関係や、自由闊達で豊かでモラルの高い庶民の存在、武力ではなく5人組などの監視体制により平和と治安の良さを保っていることなど、するどーいご指摘。読み終わったあと、本から目を上げ、いまの日本という「後日談」を眺めるのも愉しい。