誰が第二次世界大戦を起こしたのか: フーバー大統領『裏切られた自由』を読み解く
- 草思社 (2017年7月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794222770
作品紹介・あらすじ
本書は、アメリカ大統領ハーバート・フーバーの大著『裏切られた自由』を翻訳した歴史家・渡辺惣樹氏が、同書の読みどころ紹介しつつ、新解釈の「日米戦争史」を提示する一冊です。フーバーは自身の感情を抑え、可能なかぎり「資料に語らせる」ことを心掛けて『裏切られた自由』を書き上げました。世界各国の政治指導者、また米軍の最高幹部とも直接やりとりできる立場にいたフーバーの記録について、著者は「第二次世界大戦を、この『裏切られた自由』に触れずして語ることはもはやできない」と書いています。第二次世界大戦にいたった真の原因は、じつはルーズベルト外交にあったのだという『裏切られた自由』の主張をコンパクトに手際よく紹介しながら、本書はまったく新しい第二次世界大戦像を浮かび上がらせます。原爆投下についても、米軍幹部の言葉を引用することで批判的に記述するなど、アメリカの元国家元首としては異例の記述も満載です。現代史に関心のある読者なら、文句なしに関心をもつ一冊といえます。
感想・レビュー・書評
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最近、歴史修正主義に興味を持ったため、読んでみようと思いました。
書かれている内容(歴史)が事実だとすると、正直なところ非常に腹立たしいことだと思いました。(作者に対してではなく、歴史に対してです)
内容としては、第二次世界大戦を始めたのは米ルーズベルトが始めたもので、決して日本が悪かったわけではないというもの。日本が戦争を始めたきっかけはハルノートをたたきつけられたということは知っていましたが、ルーズベルトが大衆をだまして(公約を無視して)、かつ日本を窮地に追いやっていることを国民には公表しなかった事実は、大罪だと感じました。
一方で、フーバー大統領については在職期間が短かく不評な大統領だったと認識していましたが、非常に実直・誠実な方だということをあらためて認識しました。
読むべき1冊だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後教育により、対米戦争は、日本の無謀な拡張主義、軍部の暴走によって引き起こされたというイメージをわれわれは灼きつけられているのではないだろうか。それが、全く史実と違うということを、この本は暴いている。ルーズベルトは、大戦に参加する口実をつくるために、謀略を巡らせ、日本を陥れた。ヤルタ会談の秘密合意でわさわざソ連を対日戦争に呼び込んで、大判振る舞いで領土を約束し、結果、共産主義は東アジアの地図も赤く染めることになった。まったくもって史観の大転換を引き起こす内容。日本人は、このような史実を踏まえて、戦後の75年をもう一度やりなおささなければならないのではないか。
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結局あの大戦は共産主義化のためにしかなっていない。多くの死を取り繕うため、日本が悪者とされたのだ。
もし、日本のインテリジェンスが優れ欧米の状況を把握していたら、ハルノートを無視して開戦を避ければ良かった。 -
2019-11-10 Yahoo pointkounyu
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草思社 フーバー元大統領 「 裏切られた自由 」の訳者 渡辺惣樹 による解説本。歴史修正主義に基づき、フーバーが第二次世界大戦の歴史観を修正している
歴史修正主義という言葉を初めて聞いた。フーバーの主要論点は、ルーズベルトやチャーチルの外交の愚かさから 日米戦争を含む第二次世界大戦を再評価すること
国際社会の敵であった日独をスターリンやソビエト共産主義の抑止力という観点から見直している。ルーズベルトやチャーチルの外交は世界戦争を引き起こし、日独を崩壊させ、スターリンとソビエト共産主義を拡張させたという再評価している
日本については 近衛文麿内閣の戦争回避外交、真珠湾攻撃、朝鮮統治、原爆、ポツダム宣言を再評価している。結果的に 日本を擁護し「それでも日本が戦争を選んだ」という主張を批判している。
原爆について「原爆がなくても日本は降伏した」とし、原爆の真の目的を ソビエトに圧力を与えることとしている。朝鮮統治についての日本擁護的な歴史修正は 日本側でも再検証した方がいいと思う
真珠湾攻撃について 日本からの外交を拒否した上で 真珠湾攻撃を起こさせ、ヨーロッパ問題不介入の世論を 第二次世界大戦参戦やむなしに変えたとしている
第二次世界大戦の発生原因は「ポーランドの対独外交の態度」にあるとし、その「態度」は ルーズベルトや英仏の支持を背景としたもというフーバーの主張は アメリカのために ポーランドをドイツと併合させるべきとも聞こえる
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日本に「戦争か隷属か」の選択しかなかったルーズベルト外交…健気で哀れな日本。
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この本を読んで改めて大学で自分の学びについて考えることができた。学校で学んだ歴史は全て正しいわけではない。そして、私がまだ知らない隠された歴史があると思った。歴史は話す人によってその解釈が変わるので、同じ出来事でも違う人が話すと違う情報が得られる。この本では、フーバー元大統領の目線からみたローズベルト大統領とチャーチル大統領の外交によって第二次世界大戦がどのような展開されたのかが分かる。彼らの決定権と選択によって何百万人の命を犠牲にする。このような出来事がもう二度と起こらないように、私たちは歴史から学ばなければならないのに、「裏切られた自由」が2011年でやっと出発されたことが衝撃的だった。
これを通して、私は大学生活での学び、そして今後の人生での学びについて改めて見つめ直し、そしてさらにもっと勉強する必要があると考えた。情報社会であるこの時代では、私たちに毎日大量の情報が入ってくる。高校までは教科書を中心で学習していたが、大学では大学の講義だけではなく、本やインターネットを通じて自分で情報を収集して学習しなければならない。偏った情報や全てを鵜吞みにするのではなく、常に「これが本当に正しいのか」と疑いながら、様々な観点から世界の動きを学ぶ必要があると強く思った。そして学習だけではなく、考える力も必要である。自分の周りの人の意見を聞くことと、自分の考えも言葉にして伝えることはとても大事だと考えた。
グローバル社会で「騙されない」ようにするためには、今までの自分の学習方法は意味ないと気づいた。もっと沢山の本を読み、世界のことを理解しないと、正しいニュースや情報を見抜く力も身につかないと思った。私自身は人を疑うことをあまり好まないが、今の時代には「疑う」ことがとても必要であると感じた。様々な本を読み、もっと批判的な思考を身につけたいと思う。そして、新たな観点を得て、自分の視野を広げていきたいと考える。今の時代では自ら考え、行動できる人になりたい。 -
歴史や政治が専門でなくて、『裏切られた自由』を読んでなくても(読めなくても)、その内容が分かりやすく解説してある。この本だけでも十分勉強になる。
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大学図・1F開架 209.7A/W46d
東2法経図・6F開架 209.7A/W46d//K -
フーバーは大統領時代、給料をもらわなかった。
ソビエトを国家承認したのはルーズベルト。それまではだれもしなかったし、国務省は警戒していたがルーズベルトは無視した。
ヤルタ会談でルーズベルトのすぐ横で補佐役をつとめていたアルジャー・ヒスはソ連のスパイだった。
当時の米国がソ連と国交を結びたかったのは、落ち目だった経済を復活させるためソ連と貿易したかったことが要因かも。
ヒトラー時代のドイツ経済の再興の原資になったのはアメリカからの投資で、その投資をリードしたのが後の米国務長官ジョン・ダレス。
チェンバレンがいきなりポーランド独立保証を宣言した背後には、ルーズベルト政権からの指示を受けた。
大西洋憲章は内容からすべば明白な対独宣戦布告だが、まだ宣戦していないアメリカがこれを主導したのは変。だから協定内容には「望む」とか「希望する」といった表現がちりばめられている。
大西洋憲章には、大英帝国にとって不利となりそうな第3項があったが、国際世論に訴えるには必要だったのでチャーチルは了承し、閣議においても「面倒なことは言わないでほしい」と警告し閣議決定した。
ルーズベルト政権にあった、日本との暫定協定を結ぶ案をつぶしたのが、蒋介石政権の顧問として送り込まれていたオーウェン・ラティモア。
ルーズベルトには5人の愛人がいた。
カサブランカ会談の後の記者会見でいきなりルーズベルトが無条件降伏を求めることを宣言し、チャーチルも驚いたが追認した。
ヤルタ会談によって、イギリスが開放したソ連の捕虜をソ連へ送還することになった。ただしソ連は捕虜をいたって反逆的とみなし、強制労働や処刑をたくさんした。この実態はニコライ・トルストイ(トルストイの末裔)によって暴かれた。