文庫 自分の「異常性」に気づかない人たち: 病識と否認の心理 (草思社文庫 に 3-2)
- 草思社 (2018年12月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794223654
感想・レビュー・書評
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まさに精神科臨床現場の声。
ドクターも人間だもの。
やっぱり手のかかる患者は手のかかる相手だし、苦労もひとしおなのだと思った。
「病識のない」=自分が病気だと気づいていない
というのがキーワードだが、心理学にまるで興味がない人にとっては予測もつかない事態なわけで、精神的に病んでいるという結論に達するまでは、周囲の助言がどれだけ大事かが分かった。
「あなたちょっとおかしいよ」って気づかせてあげることは勇気がいるが、それが本人の助けとなる場合もあるのだからそこはさらりと助言する思いやりも必要なんだなと感じた。
あと、環境と誰かの支えがどれだけ大事か。
薬以上の特効薬だと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この著者もどうだろうと思ったけれど、異常と正常を分けるのは難しいと思う
あと、題名には少々騙されたかも -
途中まで
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精神医療の難しさを、臨床の現場から描いたストリー仕立てで描かれていてわかりやすかった。正常とは何か、異常とは何かという命題は果たして決めるべきなのか。でも、他害的で自害的な行動は、はたから見てやっぱりおかしいと思ってしまう。アスペルガーの認知が広がったけど、彼らの異常性は環境によって、迫害されるし、受容されるし、異常と受け取るかも、一部他社の評価に依存するなと。
そして、テーマの中に繰り返しでてくる「病識」。精神病患者にとって、その認識を持つ難しさを病気が内包してしまっているなと。
何より精神科医をしている人の苦労がよくわかり、某精神科医のマンガにでてくるような「少しズレている」人の方が、適性があるのかもしれない。 -
医師である著者が言うように、異常性とは何なのか、自分は異常ではなく正常と言い切れるのか、その境界は難しい。
大学病院に勤める著者が実際に診た患者の例をもとに、様々な問題や治療の難しさなどがわかる。
医学の道に進みたい人には参考になる内容だと思う。
小説のような文体で、途中、小説を読んでいるような感覚になった。 -
精神病(障害)なのか個性なのか、精神科はなかなかに繊細で慎重な判断と対処を求められるところだが、実際の患者とのやりとりを具体的に書いており、あっという間に読み終えた。精神科への受診は一昔前に比べれば随分ハードルが下がったが、それでも何かしら抵抗感を持つ人が多いのもまた事実。だが、精神の病気と思わず脳の病気と思えばより早く受診でき、回復も容易になるだろう。早めの受診や薬の服用の重要性も分かりやすかった。