文庫 モンゴル最後の王女: 文化大革命を生き抜いたチンギス・ハーンの末裔 (草思社文庫 よ 2-1)

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794224286

作品紹介・あらすじ

1927年、内モンゴル・オルドスにチンギス・ハーンの血を受け継ぐ
最後の王女スチンカンルが生まれた。
17歳の冬、父の従者だったボロルディと結婚し、一人息子に恵まれて
穏やかに暮らしていたが、中華人民共和国建国後、その人生に暗雲が立ち込める。
スチンカンルは反革命分子のレッテルを貼られ、使役に駆り出され、
祖先を祀る聖地を開墾する屈辱に甘んじなければならなかった。
そして、あの文化大革命が始まる――。

著者の楊海英氏自身も内モンゴル・オルドスの出身。
中国で現在もなお続く苛烈な民族問題の知られざる実態を、激動を生き抜いた
女性の半生を通じて描きあげた迫真のドキュメンタリー。
『チンギス・ハーンの末裔』改題


はじめに 写真が語る歴史

第一章 黄金家族のたそがれ
 チンギス・ハーンの末裔
 名門西公シャンの没落
 共産党のアヘンと小銃
 従者と結婚した王女

第二章 草原の夜明けの星
 草原の人民政府
「積極分子」の婦女主任
 生産互助組の誕生
 人民のための活躍
「共産党のためなんだ」

第三章 草原に上った赤い太陽
 階級ごとに二分された合作社
 牧主階級を批判せよ
 モンゴル人の「独立王国」
 右派をつまみ出せ
 中国に貢献したモンゴル人の頭飾り

第四章 モンゴル高原にのしかかる中国の黒雲
 生態を無視した深耕作業
 王侯貴族を打倒せよ
 病んだ母に会えぬ「黒五類」
 拝火祭の夜の葛藤
 豚小屋で寝られた喜び

第五章 中国人の「牛鬼邪神」
 開墾された祖先の墓域
 屍肉の誘惑
 教育権を奪われたモンゴル人
 悲嘆の故郷
 中国に奪われた財産

第六章 吹きすさぶ文革の嵐
 政治的厄災の予感
 フランス製の柱時計と頭飾り
 殺気だつ批判闘争集会
 造反派の暴力
「反省する」モンゴル人

第七章 名誉回復への道
 ロバに乗せられた「女妖怪」
 中国人からの復讐
 文革時の生と死
 林彪事件のおかげ
「だれをも恨まない」

感想・レビュー・書評

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  • スチンカンルの人生自体はとても興味深いし、特に文革時期にどう過ごしたのかに特化した内容は非常に面白かった。時代背景を逐次入れてあるので同時期に日本がどんな状態だったかを比較して知ることができたのも良かった。ただ、小説なのかノンフィクションドキュメンタリーなのかわかりにくい文体で少し読み辛い。

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著者プロフィール

1964年南モンゴル・オルドス高原生まれ。静岡大学人文社会科学部教授。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。専攻は文化人類学。博士(文学)。著書に『「中国」という神話』(文春新書)、『墓標なき草原――内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(岩波書店・司馬遼太郎賞受賞)、『日本陸軍とモンゴル』(中公新書)、『逆転の大中国史』(文藝春秋)など多数。

「2018年 『モンゴル人の中国革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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