韓国の大統領はなぜ逮捕されるのか: 北朝鮮対南工作の深い闇

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794225795

作品紹介・あらすじ

 韓国の大統領選が2022年3月、5年ぶりに行われ、その結果を受けて5月10日、尹錫悦(ユンソギョル)が新大統領に就任した。与党候補・李在明を0・7%という僅差で破って5年間の文在寅政権に終止符を打った。極左ともいえる文在寅時代の政権運営によって韓国は北朝鮮による地下工作が進み今、危うい親北反日国家となっている。新大統領はこれを正常化できるのか。韓国の大統領は政権交代すると前大統領は必ずと言っていいほど逮捕されてきた。文の前の朴槿恵は弾劾・逮捕され、禁固22年の刑を受けていたが、作2021年末、仮釈放されて出獄してきた。その前の李明博はいまだ収監中である。その前の盧武鉉は親族の汚職追及から自殺した。文在寅と李在明は逮捕訴追されるのか、あるいは、尹錫悦にそれができるのか。

 本書は日韓問題、韓国研究で第一人者の著者が、独自情報をふんだんに盛り込んで韓国の今の政治状況の危機の構図を描いた最新韓国論である。尹錫悦は今では文在寅の対立者、急先峯の糾弾者だが、ついこの前までは文が抜擢した検事総長で、文の指示のもとに理不尽ともいえる朴槿恵弾劾・逮捕を強行した当事者である。そんな彼に文在寅逮捕や文政権要職者の不正捜査が実行できるのか、はなはだ懐疑的だと著者は予測している。2012年の朴槿恵政権時代から始まる北朝鮮の対南工作と、その意を呈した文在寅政権の間に起きたことを本書ではつぶさに追いかけているが、日本から見ると信じられないような社会変革が進行していることに著者は激しい警鐘を鳴らしている。朴槿恵は日本では「つげ口外交」と言われて評判が悪いが、実は保守主義者として最後の砦を守った政治家だった。危険な親北勢力の一掃を試み、金正恩暗殺に陰ながら協力したことで、北の激しい怒りを買い、狙い撃ちされたのだ。その訴追の内容のあまりにもお粗末で、恣意的な裁判にはあきれるばかりだ。それを実行したのが尹である。

 北朝鮮で起きていた反体制運動の実態(どうやって秘密裏にUSBメモリを持ちこむのか)、韓国内に浸透していた大物スパイの脱北後の告白(十分に韓国内スパイの数は足りているので、北はもういらないと言っている)、韓国破壊工作活動家の口述(通信施設ほか拠点の占拠法)など、珍しい事実やエピソード、記事などを豊富に引用しつつ、もはや早晩、釜山まで赤旗が翻るのは時間の問題と言われ、対馬海峡をはさんで60万人韓国軍が日本に対峙することになるやもしれないという悪夢。今、必読の力作評論である。

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  • 東2法経図・6F開架:312.21A/N86k//K

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著者プロフィール

西岡 力(にしおか・つとむ)
1956年、東京都生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。1982年~84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。東京基督教大学教授を経て、現在、(公財)モラロジー道徳教育財団教授・歴史研究室長、麗澤大学客員教授。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」会長。歴史認識問題研究会会長。最新刊に『韓国の大統領はなぜ逮捕されるのか』(草思社)、ほかに『わが体験的コリア論』(モラロジー道徳教育財団)、『日韓「歴史認識問題」の40年』(草思社)、『増補新版 よくわかる慰安婦問題』(草思社文庫)など多数。

「2022年 『文庫 増補新版 でっちあげの徴用工問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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