エネルギーと私たちの社会: デンマークに学ぶ成熟社会

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794805591

作品紹介・あらすじ

デンマークの環境知性が贈る、社会と未来を大きく変える「未来書」。
自分自身の暮らしを見つめ直し、価値観を問い直す

 本書は20年前にデンマークで出版された。当時のデンマークは、1960年代からの高成長ののちに二度にわたる石油危機でエネルギー政策の変更を余儀なくされていた。経済成長を維持するために原子力を大量に導入しようとする政府と、それに反対し自然エネルギーを求める市民運動が対立していたところに、本書は「もう十分ではないか」という第三の選択肢を提起してベストセラーとなった。当時のデンマークに今日の日本は二重写しとなる。経済成長のために、政府は返すあてもない借金で無駄な公共事業を拡大し、「空から金をばらまいて」まで消費を促すべきだと唱える経済学者もいる。そうした経済成長社会が必ず行き詰まることを本書は教えている。持続可能な社会に向けて、私たちが自分自身の暮らしを見つめ直し、価値観を問い直し、同時に社会に働きかけて行くことによって、一人一人の力で社会と未来を大きく変えることができると著者は指摘する。本書は中高生から大人まで学べる類書なき入門書である。

坂本龍一氏(音楽家)推薦文
 すばらしい本だ。これが20年前のデンマークで書かれたということがまったく気にならないどころか、現在の日本や世界の様々な国で、まさにこれから必要とされる本であることはまちがいない。世界は無限の経済成長ではなく、足ることを知り、生産と消費を抑え、持続できる世界を選択する以外に生き残ることができないのは明らかだ。最後に添えられているイラストがとてもユーモラスで、秀逸だ。(全文より一部抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001204564

  • 素晴らしい本だ。
    僕たちが目指しているのは、ゆとりと社会的公正で満ち足りた社会。
    結局、経済成長を疑うことでしか、問題解決はない。

  • 素晴らしい本だ。原子力を大量に導入し高エネルギー社会を提唱する政府と、自然エネルギー中心にした満ち足りた社会を目指したい市民との対立。デンマークが選んだ社会とは?今の日本に参考となることが多い。
    長い感想はこちらに↓
    http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-384.html

  • 目指したいのはこんな価値観の社会

    2011年から日本を変えよう

  • 1982年にデンマークで出版された、エネルギー・環境への問題提起と将来の発展のあり方について議論を喚起した書。
    50年後の社会(2030年)に対して「高エネルギー社会」と「低エネルギー社会」という二つの可能性を提示し、経済成長が成熟した、豊かな社会ではないことを示唆している。
    この本の出版以降今日までに、デンマークにおいて「低エネルギー社会」が実現されるまでには至っていないものの、本書の成果がデンマークの全戸に相当する230万世帯に配布されたことがきっかけとなり、環境的な持続可能性を前提としたエネルギー政策が提起され、1985年に原子力オプションの放棄を議会のほぼ満場一致で決議させる成果につながった。

  • この本の内容はおおまかに将来におけるエネルギーのあり方について
    二つの進む道について述べられている。
    ①高エネルギー社会
    ②低エネルギー社会

    考慮すべき点
    現在、世界各地で起っている深刻な問題はの多くは、エネルギー消費と強く関わっている。石油資源に代表されるように、国際紛争は、現在も将来も、、やせ細るエネルギー資源からの圧力と資源の不公平な分配に大きく関わっている。私たちは、エネルギー消費を少なくすることによってこうした紛争の緩和に寄与することが出来ますが、エネルギーを多く消費すれば紛争の激化に手を貸すという意味もある。

    家電製品によって家事をする時間が短縮された。
    しかしその家電製品を買うために共働きを余儀なくされている。
    その家電製品を買うことによって、その家電製品を作るエネルギーも消費しているということにもなる。

    便利だからといってモノを買う。
    寒いからヒーターをつける。
    暑いからクーラーをつける。

    そういう行動の一つ一つが高エネルギー社会に繋がるということを
    学んだ。さらにそういう行動は季節感覚を無くすし、
    昔の日本を知ることも出来なくなっていくと思う。

    またエネルギー消費ということは身近に感じることが出来ないから電気とかそういったものに対して消費というものを感じるのはとても難しいのだと思う。
    その辺りはアメリカとは違う考え方がある。

    良い勉強になった。

  • タイトルは中学校の教科書みたいだが、中身は新鮮で分かりやすい。20年以上前に書かれたとは思えない。

  • 再生可能エネルギー社会へ

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著者プロフィール

ヨアン・S ・ノルゴー博士は世界的に著名な省エネルギー学者であり、ベンテ・L ・クリステンセン女史とは、1970年代の初め、2 人が学生のとき以来の長いパートナーである。もともと生態学者であったクリステンセン女史は、その後、コペンハーゲン大学で社会学を学んだ。技術者としての経験ももつノルゴー教授は、デンマーク工科大学で資源・環境問題を長く研究してきた。1973年に 2人は、アメリカで『成長の限界』を出版したばかりのドネラ・メドウス博士およびデニス・メドウス博士の所で共同研究を始めた。その後すぐに 2人は、環境面から持続可能な発展を目指せば、必然的により人間的な社会に向かわざるを得ないことに気づいた。その研究結果は数多くの論文として著され、一般向けとして本書が1982年に出版された。現在、ノルゴー教授は、デンマーク工科大学で研究活動と教育に携わっている。クリステンセン女史は自宅を活動の場としながら、論文だけでなく小説なども執筆している。

「2002年 『エネルギーと私たちの社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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