- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794808028
作品紹介・あらすじ
学ぶことへの欲望と「人間らしい」生き方に子どもたちを誘いながら、
大人自身の欲望をも問う、珠玉の哲学的啓蒙。
10歳から読める「小さな講演会」邦訳の第2弾は、ベルナール・スティグレールによる「向上心について」である。
かつて『現勢化』のなかで自身の数奇な経歴を告白しながらスティグレールは、哲学とはすべての人間が潜在的に与っている使命であると語っていたが、その哲学者の潜在態の範例は「子ども」かもしれない。子どもたちの好奇心、彼らが立ち上がり、手を伸ばし、高いところへ駆け登ろうとするさまは、哲学者の身ぶりとも言えるのである。
講演で子どもたちを前にスティグレールは、そもそも人類の歴史そのものが、さらに上へ向かおうとするこの欲望に牽引されてきたのだという寓話を語り、つねにより良い自分をめざして学び続ける「人間らしい」生き方へと彼らをいざなう。それは困難な道には違いないが、だが簡単なことをやっていたのでは退屈してしまうというのが、まさに哲学者と子どもの共通点なのだ。子どもたち向けにやさしい言葉で語られているこの講演は、親を始めとする大人たちへの呼びかけでもある。なぜなら子どもの向上心をある程度まで守り育て、その力を他者との共生のために振り向けるよう導くのは周りの大人の責任なのだから。
ところが今日では大人自身が、市場原理が優先される社会で生き残るのに精一杯になってしまったり、あるいは向上心を格差社会における上昇志向とはき違えたりしてはいないだろうか。大人が自分そして自分たちの社会に欠けているものを求め、未来を模索しようとしない限り、子どもに学びへの真の動機付けを与えることはできないだろう。どんな世界を子どもたちに手渡したいのか。どんな子どもたちを世界に送り出したいのか。問われているのは大人の欲望である。(訳者 メランベルジェ眞紀 上智大学教員)
感想・レビュー・書評
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最近行った講演会で「向上心」が大事だというお話があって気になっている本。
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2012/11/10読了
向上心というよりかは、私たちにとって所謂「哲学」の入門書といったところ。
人が本能のままに求めた「知りたい」「行きたい」「見たい」…といった欲求の本質。また、それについての問題点やジレンマなどを指摘した本であろうか。
かつてより人間はこの「~したい」などの思いから文明を作り、発展してきたのだから、この感情は本質部分を考えるに当たって最も注目すべきところではある。
子ども向けなので、考察しやすい。
哲学書の入門としてはおすすめかもしれない。 -
上を目指すことは人間の本能のようなもの。
だから直立歩行するようになって、乗り物を作り、宇宙までいくようになったんだ。
哲学とはわからないことが知りたいと思うこ
知を愛する人
子供は難しいことを好む、つまり人間は潜在的に哲学者である
TVはきばらしの手段であり、学びから遠ざけるもの
テレビによって怠慢になりは -
本文中にあった「地球上に最初に現れた頃の人間と、現代の人間との間には、どんな共通点があるのでしょうか?」っていうQが頭から離れない。
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201007
bookoff -
201007
bookoff