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- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794899620
感想・レビュー・書評
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中江兆民を中心に、明治思想史の重要な思想家たちについて考察している本です。
前半では、西周、加藤弘之、福沢諭吉がとりあげられ、明治時代の啓蒙思想のおおまかな流れが解説されています。とくに著者は、進化論を受容して功利主義的な社会思想を構想した加藤弘之の思想を批判的に検討し、そのうえで福沢諭吉にも同様の問題があったことを明らかにします。つづいて中江兆民がとりあげられ、フランス留学のさいにおける兆民の関心を明らかにし、ルソーとのかかわりについても著者自身の見解が提出されています。
明治思想史のなかに兆民の思想を位置づける試みがなされており、興味深く読みました。本書では加藤弘之を媒介させてはいますが、福沢諭吉と兆民の思想を対比するという図式がとられており、オーソドックスな枠組みのもとでていねいな議論がなされています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で偶然見かけて読んだら、面白かった。思想史は全然不勉強なのだけど、今僕がぼんやり考えているところリンクするところがあって、勉強になった。もうちょっと、思想史的な部分も勉強したいなあー。勉強することいっぱいありすぎる。
功利主義全開の明治前期の思想状況のなかで、道徳―それは内在的規範でも、外在的規範でもなく、そのいわば「中間」にあるような、リベルテー・モラル―を重視する中江兆民、という位置づけは読んでいて「そうだったのかー」と思わせてくれる。
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