復讐には天使の優しさを (ディネーセン・コレクション 4)

  • 晶文社
3.67
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 15
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794913456

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつか読んでやろうとバンコクに持ってきたら、買ってから31年経っていたという・・・。

    20世紀最大の作家の一人と言われながら日本では知られていないディネーセン。いわゆる純文学かと思いきや一読驚嘆。
    デンマークの国民小説でありながらこれは少女小説。70年前に記されたハーレクウィン・ロマンスであり、少女冒険譚であり、ゴシック・ロマンの衣を纏いながら当時デンマークを占領していたナチスを告発する書でもある。

    大部であるにも拘わらずリーダビリティは高く飽きさせない。

    変名で発表した著者が、この軽い読み物を自作と認めるのを拒み通したのは興味深いが、当時のデンマーク市民はこのような物語をこそ求めていたわけで、小説というのは面白い。

  • 図書館でふと、借りた本。

    ディネーセンの「アフリカの夜」、
    うん、題名は聞いたことあった。
    出版後一躍注目を浴びた
    「七つのゴシック物語」、ふーん、

    でも選んだのはなぜかこの本。

    主人公ルーカン・ペレンデンはまだ二十歳くらいの若い娘。

    両親とは死に別れ、
    二人の弟たちはそれぞれ親戚のもとへ引き取られている。

    今は、妻に死に別れた事業家のお屋敷で
    その子供たちの家庭教師をしている。
    ある日、ルーカンはそのあるじに、
    弱い立場につけこんだ形の愛なき結婚を迫られ、
    屋敷を抜け出す…

    頼るのはたった一人、学校時代の親友ゾジーヌ

    久しぶりに会い、変わらぬ友情を確かめ合った二人だったが、
    ゾジーヌの父親の身にある事件が降りかかり、
    住むところを無くした二人

    職業安定所の紹介で
    自分の娘を失ったある牧師の
    「かわいそうな身の上の若い女性を引き取って育てたい」
    と言う申し出を受けイギリスからフランスへ
    しかしこの牧師夫婦と言うのは…

    二人が牧師夫婦の「秘密」に気付いてから、
    とにかく息もつかせぬ展開に。

    最後の雨の日の夜の場面では
    あまりにのめり込んで読んだために
    気付いたら体が本をもった姿勢で固まってしまっていた!

    二人はいくらでも逃げる事が出来たのに逃げなかった。
    最後のシーン、あの人が助けに来てくれて吃驚。
    でもあっち側のあの人でも良かったのに!と思ったが、
    それでは違うんだなあ。
    (これから読む方をがっかりさせないために
    あれ、あっち、あの人と言う表現にしました)

    と言うのはこの本は占領下のデンマークで出版され、
    過酷な生活の中の人々を励ます意味もあったようだ。

    なので、弱い立場の人が挫けず、正義の為に
    立ち向かっていくストーリー言うのが、大事なのだね。

    第二次世界大戦中、デンマークではたくさんのユダヤの人を
    隣国スウェーデンに小舟で送り届けて救った。
    逃げるのも、それを助けるのも命がけであったそうだ。

    この本は当時のデンマークの人々と実情と重なる部分もあり、
    大変な人気だったよう。

    美しい主人公二人、ラブロマンスもあり、サスペンスあり、
    綺麗なドレス、素敵なお屋敷…

    大変に楽しめたのに、作者本人があまりこの作品を
    気に入っていないと言うのが淋しいのう。

    私は好きですよ!

    「秘密の花園」や「小公女」などが好きな方は是非是非。

全2件中 1 - 2件を表示

アイザック・ディネーセンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×